世帯年収1,200万円と平均よりも裕福なはずのA夫婦。しかし、特段贅沢しているつもりはないのになぜか貯蓄は一向に増えない……。一体なぜなのでしょうか? 本記事では、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の川淵ゆかり氏が、A夫婦のマネープランについて助言します。
世帯年収1,200万円の40代共働き夫婦「贅沢していないのになぜ?」…貯蓄が増えないワケ【FPの助言】 (※画像はイメージです/PIXTA)

貯蓄できない人の天敵「固定費」

(※画像はイメージです/PIXTA)
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貯蓄ができない人は、毎月の支出のなかでも「固定費」が大きいことが問題です。Aさんの前述の支出だと、習い事や家賃(住宅ローン)が固定費になります。ほかにも固定費は、保険料やスマホ代やインターネット料金、水道光熱費の基本料金などがあります。

 

「なんとなく」で大きくなる出費

固定費は「なんとなく」で大きくなってしまうので、注意しましょう。たとえば、

 

注意すべき固定費

・サブスク料金(映画やドラマといった動画配信への複数加入)

・フィットネスやトレーニングジムの料金

・高額な習い事やセミナー代

・エステや美容院の料金

 

といったものもあります。本当に自分に必要かどうかを考えて、不要であれば解約するのはもちろん、ほかに安い所を探したり、回数を減らしたりという方法でも節約は可能です。月額1,000円程度のサブスクでも「塵積も」ですから、貯蓄に回すようにしましょう。

 

ほかにも、合計してみると結構な金額になっているのがコンビニの利用です。毎日のように寄ってしまう人も多いですが、なんとなく買ってしまうお菓子や飲み物などありませんか? コンビニはついつい衝動買いをしてしまう場所ですから注意しましょう。コンビニに行く回数を減らしたり、ドラッグストアで金額を決めてまとめて購入したりすることでも節約になります。

 

衝動買いというとネットショッピングやテレビショッピングもそうですね。「これ、安い!」と思って「我先に」と購入ボタンを押してしまったり、電話をかけてしまったり、という人も多いです。本当に必要かどうか考えてから購入を決めましょう。

まずは「先引き」貯蓄の方法で、貯蓄優先の家計に

(※画像はイメージです/PIXTA)
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Aさんは、節約も重要ですが、年齢的にも貯蓄を増やすことが大切です。「収入が低くて毎日の生活がやっと」という人は難しいでしょうが、サラリーマンなどある程度の収入のある人は、前述の見直し方法で貯蓄に回せる金額を増やすことができます。

 

給料やボーナスが入ったら、まず最初に一定の金額を差し引いて貯蓄してしまいましょう。その後、残りの金額で家計をやりくりします。つまり、「収入-貯蓄=家計支出」で考えることです。

 

資産作りには、まず目標金額を決めることから始めましょう。目標額が決まれば、毎月の積立額や運用利率も見えてきます。一番悪いのは、目標も決めずなんとなく積み立てていくことです。

 

物価が上がり、これからも人手不足や食料不足などで家計は厳しくなっていくと思われます。どのくらいのリターンが得られるのか、得られたのかを定期的に判断して運用していくようにしましょう。

 

Aさん夫婦が25年後に3,000万円貯めるには?

たとえば、Aさん夫婦が老後資金作りとして、60歳直前の25年後に3,000万円を作ることを考えてみましょう。前述のように20年後には住宅ローンも終わる計画ですし、子供2人も大学を卒業しますから、25年という期間でのシミュレーションとしてみました。

 

Aさん夫婦の資産作りシミュレーション

■目標額:3,000万円期間:25年

■年利率:

年1%の場合、年間の積立額105万円(毎月の積立額:8万7,500円)

年3%の場合、年間の積立額81万円(毎月の積立額:6万7,500円)

年5%の場合、年間の積立額63万円(毎月の積立額:5万2,500円)

 

積立の金額と運用利率が決まったら、金融商品を選んでいきます。ただし、この金額は、税金も手数料も考慮していませんので注意が必要です。

 

特に手数料についての説明をよく聞かずに金融商品を選んでしまい、「思ったより増えなかった」と思ったときは手遅れになっているケースもよくあります。また、運用成績は毎年変わってきますので、定期的な確認が必要です。

 

Aさんは家計の見直しにより、最低でも毎月10万円の積み立ては可能になりましたので、3,000万円の目標金額は楽に達成できそうです。

 

 

川淵 ゆかり(川淵ゆかり事務所代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)

国立大学行政事務(国家公務員)後にシステムエンジニアとして、物流・会計・都市銀行などのシステム開発を担当。その後FPとして独立し、ライフプランやマネープランのセミナーのほか、日商簿記1級、CFP、情報処理技術者試験の合格経験を活かして、企業や大学での資格講座・短期大学や専門学校での非常勤講師としても勤める。