世帯年収1,000万円の同い年35歳夫婦。今後、住宅購入や第2子出産の希望もあり、ライフイベントが盛りだくさん。そのようななかでも、今から10年で2,000万円貯めることは可能なのでしょうか? 本記事では、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の川淵ゆかり氏が、Aさんの事例とともに、10年で2,000万円貯める具体的な方法を解説します。
世帯年収1,000万円の30代夫婦…いまから10年で「2,000万円」貯める驚きの方法【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

独立に向けて10年で2,000万円作りたいAさん

(※画像はイメージです/PIXTA)
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Aさんは、郊外の賃貸マンションに住む世帯年収1,000万円の35歳の会社員です。パート勤めの同い年の奥様と3歳の長男と3人家族ですが、もう1人子どもも欲しいし、住宅の購入も考えています。

 

また、Aさんには最近実家から介護施設に入居した70歳の母親がいます(父親はすでに死亡)。Aさんは、かねてから独立を考えており、独立費用や子どもの教育資金など10年後には2,000万円の貯金を作りたい、との相談がありました。

 

※ご本人の了解を得て、一部脚色して記載しています。

 

Aさんの資産状況

・金融資産:約300万円

・住まい:賃貸マンション 家賃:約10万円

・世帯年収:約1,000万円(夫:会社員、妻:パート)

 

10年で2,000万円を作るために必要な積立額は?

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

10年で2,000万円を作るとなると、毎年いくらくらいの積立額が必要なのかを、①元手がない場合と②元手がある場合にわけてシミュレーションしてみましょう。

 

①元手がない場合

まとまった資金がまったく無い場合、どのくらい積み立てていかないといけないかをシミュレーションしてみます。年利率に応じた必要な毎年の積立額は、

 

■目標額:2,000万円 期間:10年

■年利率:

・年1%の場合、積立年額:192万円(毎月の積立額:16万円)

・年3%の場合、積立年額:174万円(毎月の積立額:14万5,000円)

・年5%の場合、積立年額:160万円(毎月の積立額:13万3,334円)

 

となります。これを目安に金融商品を選んでいただくことになります。

 

ただし、この金額は、税金も手数料も考慮していませんので注意が必要です。特に手数料については、金融商品によって違いがありますので、説明をよく聞かずに金融商品を選んだことによって失敗するケースもよくあります。また、当然ですが、投資となると運用成績は毎年変わってきますので、定期的な確認が必要です。

 

10年で2,000万円と聞くと難しそうですが、贅沢をせずにAさん夫婦のように世帯年収が1,000万円もあるようなご家庭なら、夫婦2人で力を合わせれば難しい金額でもありません。

 

なお、利率が高ければ積立額も少なくてすみますが、住まいの購入や子どもの教育資金などの予定があれば、ハイリスクハイリターンの商品も利用しにくくなりますので、そういった面からも目標の利率を決定しましょう。

 

②元手がある場合

次にある程度まとまった資金がすでにあるケースを考えてみましょう。Aさんご夫婦の場合、現在の預貯金は300万円ほどありましたので、この運用と併せて積立てをすることで、2,000万円を作ることを考えてみました。この場合の年利率に応じた運用成果は、

 

■元金:300万円 運用期間:10年

■年利率:

・年1%の場合、運用結果:約331万円

・年3%の場合、運用結果:約403万円

・年5%の場合、運用結果:約488万円

 

となります。たとえば、10年後には400万円になると考えると、残りの1,600万円が積立分の目標金額となります。この場合の年利率に応じた必要な毎年の積立額は、

 

■目標額:1,600万円 期間:10年

■年利率:

・年1%の場合、積立年額:154万円(毎月の積立額:12万8,334円)

・年3%の場合、積立年額:140万円(毎月の積立額:11万6,667円)

・年5%の場合、積立年額:128万円(毎月の積立額:10万6,667円)

 

となります。以上により、まとまって持っている300万円と毎月の積立てで、ゴールとなる2,000万円を作ることができます。

 

このように、「いつまでにいくら作る」といった目標が決まると、資産計画は立てやすくなります。なんとなく「儲かりそうだからこれに決めよう」とか「勧められたからこれにしよう」といった理由で目標額も決めずに金融商品を選んでしまい、資産運用が成功しているのか失敗しているのか、わからなくなっている人も多いものです。

 

途中経過を定期的にチェックして、最初に決めたゴールに順調に進んでいるかどうかを確認する必要があります。

 

さて、金融商品が決まったあとは、年間百数十万円になる積立額を捻出しないといけません。そのためには、いまの生活にムダがないか、「家計の見直し」が重要になります。