年金、少なっ!と嘆くなら…年金受取額を増やすことのができる〈2つの方法〉
では、50歳になり、これまでの納付実績に基づき、60歳まで保険料を納めた場合の年金見込み額が記されるようになると、どうなるのでしょうか。単純計算、厚生年金は月10.3万円、国民年金は月6.6万円、合計16.9万円ほどと記されるようになるでしょう。
前年の加入実績に基づく年金額に比べてプラス4万円ほどの年金見込み額。50代前半では月収は41.0万円、手取りにすると31万円ほど。会社員人生の中でも給与はピークに達しようとしている時です。そのようなタイミングで「65歳からの年金額は月17円程度です」と告げられ、「65歳からは月17万円しかもらえないんだ、やっぱり少なっ!」とショックを受ける人もいるでしょう。しかも年金は雑所得。実際の手取りは、額面の85~90%程度なので、65歳からの収入は月14万~15万円程度と考えておく必要があります。
このような現実を前に、少しでも年金を増やすことができたら……と考える人も多いのではないでしょうか。そこで会社員が将来の年金受取額を増やすことのできる、2つの正攻法をみていきましょう。
年金受取額を増やす正攻法① 年金の繰下げ受給を活用
65歳から受給することができる老齢年金を、最長75歳まで繰り下げることで、年金受給額を増やすことができる制度です。繰り下げた分だけ増額率が加算され、その増額率は月0.7%。7年繰り下げて66歳から受給をスタートさせると8.4%増額、3年繰り下げて68歳からだと25.2%、5年だと42.0%、そして10年だと84.0%の増額となります。
老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて増額され、増額は生涯続き、どちらか一方のみ繰下げすることも可能です。
年金受取額を増やす正攻法② 60歳以降も厚生年金に加入する
厚生年金の保険料は、60歳を過ぎても企業に勤めていて加入資格があるなら、70歳到達時まで支払います。当然、長く保険料を納付すれば、その分、年金受取額は増えていきます。仮に年収400万円で65歳まで働けば、月9,000円程度増額となります。
なお70歳以降は保険料の支払いはありませんが、要件を満たす人が70歳を過ぎても企業で働く場合は、任意加入が可能です。
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ほかにも、もし国民年金の加入月数が480ヵ月に満たないのであれば、任意加入により満額受給に近づけることも。また国民年金の第1号被保険者と任意加入被保険者であれば、付加年金の制度を利用し、国民年金保険料に上乗せして月400円の付加保険料を納付すると、「200円×付加保険料納付月数」の付加年金が支給されます。
年金を増やすための裏技のようなものはありませんが、1円でも受給額を増やしたいと考えるなら、受取時期を先伸ばしたり、定年後も働いたりして年金額を増やすことができます。制度を利用するかどうかで定年後のライフプランも大きく変わるので、まずはじっくりと検討することが重要です。