大学進学率が5割を超え、いまや「大学卒」が多数派。大学を出ていることが高収入を得る条件になっていることから、「とりあえず大学」という流れを加速させています。しかし大学を卒業しても、苦しい生活を強いられる場合もあるようです。みていきましょう。
月収37万円…「悔やんでいます」30代・3人家族の〈私大卒サラリーマン〉の悲鳴 (※写真はイメージです/PIXTA)

月1万5,000円…奨学金返済が「人生」に影響を与えるなんて

結構な金額になる大学生の教育費。さらに実家を離れ、下宿となると仕送りもプラスされます。一方で親の懐は冷え込んでいて、なかなか厳しい状況。そのような状況を反映してか、下宿生の仕送りは平均6万7,650円と、前年から4,230円のマイナス(全国大学生活協同組合連合会『第58回学生生活実態調査』より)。大学生の懐も同様に厳しい状況にあります。

 

そこで助けになるのが奨学金。大きく返済しなくてよい「給付型」、無利息で借りられる「貸与型第一種」、利息がつく「貸与型第二種」の3種類あります。ほかにも大学が独自に実施しているものや、地方公共団体が実施しているものなど、いろいろあります。

 

労働者福祉中央協議会『奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書』によると、奨学金の借入金額は平均約310万円、月々の返済額は平均1.5万円ほど。返済期間は平均14.5年。留年もせずに、真面目に4年で大学を卒業したとして、40代を目前にして返済がやっと終わるという、結構長い道のりです。

 

さらに返済の負担感については、「余裕がある」はわずか9.6%。一方で「苦しい」は44.5%、なかでも「かなり苦しい」は20.8%でした。

 

総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、世帯主34歳以下世帯(世帯人数3.35人)において、世帯主(男)の収入は月37.6万円。手取りは29万円ほどです。それに対し、消費支出は25万7,611円。もし住宅ローンを抱えていたとすると、34歳未満では平均9万1,082円を返済しています。共働きでないと家計はなりたたないでしょう。

 

また奨学金の返済に関しては「あなたが学生のときの借金なんだから、あなたの財布から払ってね」と家計とは別に返済を進めているケースも。

 

ーー月1万5,000円の奨学金の返済、きつすぎる!

 

ランチ代を削って何とかやりくりをしているサラリーマンからは悲鳴が聞こえてきます。しかし苦しい思いをしながらも、結婚して子どもも誕生と、幸せ家族の王道をいっている人はまだいいのかもしれません。前出の奨学金の調査では、「奨学金返済が結婚に影響を与えている」と回答した人が4割弱、「子育てや出産、住宅購入に影響がある」は3割強。「月1.5万円の返済」がその後の人生に大きな影響を及ぼしている人が、こんなにもいるのです。

 

ーーこんな思いをすると知っていれば、大学なんていかなかったのに。悔やんでいます

 

そう後悔を口にする、「とりあえず大学に行っておこう」と進学をする人たち。大学卒業したあとには、わずか「月1.5万円の返済」で人生に影響を与えるようなサラリーマン人生が待っています。本当に奨学金を利用してまで大学に行く必要があるのか……その後の影響もきちんと見据えて、親子でしっかりと考えていきたいものです。