生涯未婚率が上昇傾向にあります。そこで不安視されているのは老後のお金問題。「1人の力で生きていく」ために必要な金額はいくらなのでしょうか? 本記事では、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の川淵ゆかり氏が、Aさんの事例とともに、おひとりさま男性が生きていくのに最低限必要な金額について解説します。
賃貸マンション暮らしの65歳独居老人…「年金だけ」で生活できる?おひとりさま男性が生きていくのに最低限必要な金額 (※画像はイメージです/PIXTA)

東京都でも増える一人暮らしの高齢者

(※画像はイメージです/PIXTA)
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東京都でも増える一人暮らしの高齢者令和5年1月に東京都が作成した「『未来の東京』戦略附属資料東京の将来人口」によると、次のように述べています。

 

・高齢化の進行に伴って、世帯主の年齢が65歳以上の高齢世帯が増加し、65歳以上の単独世帯は、2020年の92万世帯から2050年の126万世帯まで増加を続け、2065年には115万世帯となる見込みである。

 

・とりわけ、75歳以上の高齢者を世帯主とする単独世帯の増加が顕著であり、2020年の52万世帯から2055年には77万世帯に増加し、単独世帯に占める割合は20.2%となる。

 

・65歳以上の単独世帯に、世帯主の年齢が65歳以上の夫婦のみの世帯を合わせた世帯数は、2020年の150万世帯から2065年には179万世帯となり、全世帯(668万世帯)の約3割が高齢者の一人暮らしや二人暮らしによって占められる。

 

※出所:『未来の東京』戦略附属資料東京の将来人口02東京都の将来人口及び世帯数の推計7世帯主の年齢階級別単独世帯数の推移
[図表2]増加する65歳以上の高齢単独世帯と夫婦のみの世帯 ※出所:『未来の東京』戦略附属資料東京の将来人口 02東京都の将来人口及び世帯数の推計7世帯主の年齢階級別単独世帯数の推移

 

東京でも「独居老人」「老々介護」「高齢者の貧困」といった問題が年々大きくなっていきます。介護施設や福祉サービスの整備が求められ、高齢者にとっての暮らしやすい街づくりの必要性が高まってくるでしょう。

 

空き家も増えてくる今後、持ち家のある人は売却や相続についても早めに考えておく必要がありますが、現役時代から「終の棲家」を中心に考え、老後の資金計画を立てるようにしておきましょう。

 

 

川淵 ゆかり(川淵ゆかり事務所代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)

国立大学行政事務(国家公務員)後にシステムエンジニアとして、物流・会計・都市銀行などのシステム開発を担当。その後FPとして独立し、ライフプランやマネープランのセミナーのほか、日商簿記1級、CFP、情報処理技術者試験の合格経験を活かして、企業や大学での資格講座・短期大学や専門学校での非常勤講師としても勤める。