マイホーム取得にあたっては「頭金」を用意するのが常識とさえいわれていますが、マンション購入者の1割程度は「フルローン」、つまり頭金ゼロで住宅購入に踏み切っているとする調査があります。もちろん、慎重なプランニングの末に利用する限りフルローンには何ら問題はありませんが、そうでない場合「一生働き続けるしかない」未来を迎えることになるかもしれません。詳しくみていきましょう。
40歳・サラリーマン、“頭金ゼロ”で憧れの新築マンション購入も…住宅ローン完済後、70代で迎える〈悲しい結末〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

固定金利は軒並み引き上げも…変動金利「引き下げ」に踏み切る銀行も

――住宅ローン、固定と変動、どちらにすべき?

 

最近とくにマスメディアで頻繁に目にするようになった議論。マイホーム取得にあたっては、大半の人が1,000万円単位の住宅ローンを組みますから、わずかな金利の違いにも敏感になるのは当然でしょう。

 

直近では日銀による長期金利の上限引き上げなど、金融政策転換の影響を受け、大手行が相次いで固定型の住宅ローン金利を引き上げています。10年固定は概ね1%前後、35年固定型は概ね1.8%前後となっており、フラット35(借入期間21年以上35年以下、融資比率9割以下)の最低金利は1.88%。前月比0.08%上昇しています。

 

一方の変動金利については金利引き上げの動きはみられないどころか、むしろ引き下げに踏み切った銀行もあり、金融機関同士、激しい競争を繰り広げている様子がうかがい知れます。

顧客獲得のため「頭金は要りません」をウリにする金融機関が増加

超低金利を背景に、不動産業者が「いまがマイホーム取得のチャンス」と広く宣伝し、また金融機関は顧客獲得競争を勝ち抜くため、より有利な条件のローンを提案していることから、多くの人がローンを利用して住宅購入に踏み切っています。

 

金融機関が顧客獲得のために仕掛ける提案の1つが「フルローン」。

 

通常、マイホーム購入にあたっては費用の2~3割の頭金として用意するのが常識とされています。国土交通省『令和4年度住宅市場動向調査』によると、三大都市圏における新築マンションの購入価格の平均は5,048万円で、うち頭金は1,438万円。マンション購入者は平均28.5%の自己資金を用意していることがわかります。

 

頭金が多ければ多いほど借入額は減り、負担する利息も削減できます。一方で、多額の自己資金は一朝一夕で用意できるものではなく、コツコツとお金を貯めている間に「あのマンションに憧れていたのに、完売してしまった」と、購入機会を逃すケースも想定されます。また一生懸命貯めた預金の大部分を頭金に回し、手元資金がなくなってしまえば、急な出費に耐えられず、最悪の場合、破綻に至るリスクも。

 

そんななか、ネット銀行を中心に「頭金は要りませんよ」との提案が繰り広げられており、実際マンション購入者の1割程度は頭金ナシの全額ローンだとする調査もあります。