持家率の低い独身者…高齢者は「部屋を借りられない」リスクも
次に、単身世帯のお財布事情の「マイナス」について。独身者で「借入金」がある世帯は、15.3%。とくに30代は2割を超えています。「借入金あり」という人の平均額は384万円、中央値で100万円。
20代:14.9%(188万円/80万円)
30代:20.1%(629万円/100万円)
40代:19.8%(536万円/133万円)
50代:19.9%(318万円/100万円)
60代:14.6%(259万円/100万円)
70代:6.8%(494万円/85万円)
※数値左より「借入金有」の割合(借入金の平均額/借入金の中央値)
さらに「借入の目的」をみてみると、すべての世代でもっとも多かったものは「日常の生活資金」(全世代平均44.8%)。2番目以降には「耐久消費財の購入資金」(13.4%)、「旅行、レジャーの資金」(10.5%)、「住宅の取得または増改築などの資金」(10.2%)と続きます。
独身者が資産運用を行う目的として、もっとも回答が多かったのは「老後の生活資金」というものですが、60歳未満で「老後が心配」だと考えている世帯は84.5%。心配する理由として多いのが「十分な金融資産がないから」(72.5%)や「年金や保険が十分でないから」(52.8%)で、いずれも過半数を超えています。
とくに心配なのは、老後の住まいの問題。総務省の調査によれば、日本人の持ち家率は6割を超えますが、独身者の非持家率は全世代の平均で67%。50歳代だけを切り取ると66.4%に上ることから、独身者のうち相当数が「生涯賃貸暮らし」を想定していることが推測されます。
高齢化の進行に伴ってさまざまな制度が変更になる可能性はあるものの、少なくとも現状では「単身高齢者は賃貸は借りづらい」というのが事実です。
「高齢者」とされる年齢になってから、「それまで暮らしていた賃貸物件の建て替えを機に引っ越しを迫られたものの、新居の審査に落ちた」等の理由で、「住むところがない」という悲しい事態に陥る可能性は十分に考えられます。
これは独身者に限ったことではありませんが、非持ち家率の高い単身世帯はとくに、老後に向けた「資産形成」と同時に、「住まいの問題」についても慎重に検討しておく必要がありそうです。