(※写真はイメージです/PIXTA)

身内が亡くなってから、喪に服して身を慎む期間である「喪中」。喪中期間は、祝い事や年賀はがきを控えるなどさまざまな行動を慎みますが、旅行も控えるべきなのでしょうか。そこで、本記事では喪中の旅行について、株式会社ハウスボートクラブの代表取締役社長・赤羽真聡氏が解説します。

喪中に旅行へ行ってもいいの?

旅行を計画していたが、身内に不幸が起きてしまった……。葬儀や喪中のあいだに旅行へ行くことは不謹慎ではないかと悩まれたことはありますか? 一般的に、喪中の旅行は控えたほうがよいとされています。

 

喪に服す身内の範囲は基本的に2親等までとされています。

 

1親等=親や配偶者の親、自分の子ども

2親等=自分の兄弟姉妹や祖父母、孫、兄弟姉妹の配偶者

 

喪中に旅行を避けるべき理由

喪中の期間は故人の死を悼んで身を慎み、派手な行動は避けるとされています。そのため、祝い事や遊興、年賀はがきを控えるといった風習があります。

 

遡ること1684年、徳川綱吉によって「服忌令」という、近親者の死去に際して喪に服す「服喪」と、穢れを忌む「忌引」を定めた法律が発令されました。その後、明治政府に引き継がれ、明治時代に旅行は娯楽にあたるとして、「服忌令」では喪中の避けるべきだと定められていました。

 

自分が計画したわけではない「社員旅行」や「新婚旅行」はどうする?

葬儀や喪中のあいだの旅行は、社員旅行であってもなるべく避けたほうがいいでしょう。しかし、自分自身が計画した旅行ではないため、立場や旅行の趣旨を踏まえたうえで、会社やご家族に相談して決めるといいでしょう。

 

新婚旅行の場合は、祝い事にあたりため、日程を改めるなどの調整をされることをおすすめします。有休取得やキャンセル料の関係などでどうしても調整が難しい場合はお互いの心境をよく考えて話あったうえで判断されるといいでしょう。

 

いつから旅行に行ってもいいのか?

喪中の期間

忌中は故人が亡くなってから四十九日の法要まで(神式では五十日祭まで)の期間ですが、喪中の期間は忌中を含めた1年間です。喪中は故人の一周忌を執り行った段階で明けるとされています。喪中の期間は故人との関係性によっても異なるとされています。

 

以下は、明治政府が発布した「太政官布告(だじょうかんふこく)」をもとに、一般的となった期間です。現在において法令は無効となっていますが、いまでも続いている慣習といえます。

 

父母:13ヵ月

義父母:150日

配偶者:13ヵ月

娘、息子:90日

兄弟姉妹:90日

祖父母(父方):150日

祖父母(母方):90日

 

身内の不幸のあと、旅行に行ってもよいタイミング

旅行に行ってもいいのは、基本的に喪中が明けてからになります。喪中の期間とされている1年以内は、一般的には派手なことや祝い事は避けたほうがよいとされています。

 

2親等までの場合は、お葬式の前後は手続きや相続などで忙しい日々を過ごすことになります。大切な方を亡くされた方はグリーフ状態になっていることがほとんどで、元気に振舞えていても実際には冷静な判断ができないこともあります。無事に供養を終えて、心身共に落ち着くとされているのが、一周忌が終わってからとなります。

 

旅行へ行くかどうか決めるのはご遺族次第

実際に両親や兄妹のお葬式の前後に旅行に行くことは現実的には考えられないと思います。しかし、祖父母の場合は自分との関係性や離れて暮らしていたなどの理由から、判断が変わることもあるでしょう。これは「絶対にしてはいけません」といった決まりがあるわけではなく、旅行を自粛するのはあくまでも慣習であるため、喪中が明ける前に旅行に行くかどうかは個人の判断になります。

 

ご自身のお気持ちと、ご遺族と相談されたうえで判断されるといいでしょう。

 

喪中に旅行へ行くなら…

故人の思い出の場所をめぐる

家族の予定や事情から、どうしてもお葬式直後や喪中に旅行がキャンセルできない場合は、旅行の内容を変えてみてはいかがでしょうか。レジャーが中心となっていた旅行から「故人を偲ぶ旅行」に趣旨を変え、故人の思い出の場所をめぐるなどの工夫をすることができます。

 

ご家族との思い出の場所をめぐる

家族旅行であれば、生前に一緒に行った思い出の場所を訪れて故人を偲ぶ時間にしてみてもいいでしょう。「こんな時に旅行に行くなんて不謹慎だ」という思いを少しでも軽減することができます。

 

たとえば、以前一緒に行ったお店で食事をするだけでも、昔の記憶が蘇り、家族で思い出話ができるかもしれません。

葬儀・喪中期間の旅行は、故人を偲ぶ気持ちを忘れずに…

大切な家族を亡くされた場合、喪中期間となる一年間は(お葬式や喪中の間)旅行へいくことを一般的には控えることとされています。祝い事や遊興は可能な限り控えるようにしましょう。

 

故人と近しい関係の方は、心の状態がグリーフであることを理解し、普段と様子が違う場合は無理に動くことはおすすめできません。

 

旅行は前もって休みを調整していることもあり、キャンセルは心苦しいこともあると思います。突然の訃報の場合であれば特に旅行のキャンセル料が高額になってしまうこともあり、判断が難しいこともあるでしょう。どんな選択をされたとしても、お葬式・喪中期間の旅行は、故人を偲ぶ気持ちと喪に服す気持ちを忘れずに過ごすことが大切です。