24年1月より、投資枠の大幅な引き上げや投資枠の再利用などの見直しが図られた新NISA制度がスタートします。本稿では、ニッセイ基礎研究所の岩佐浩人氏が、Jリートを例に挙げ、新NISAによる資産形成のシミュレーションを行います。
「新NISA」×「Jリート」で考える資産形成 (写真はイメージです/PIXTA)

長期・非課税・複利を味方に

 

「新NISA」×「Jリート」の資産運用では、長期・非課税(運用コスト低減)・複利(分配金再投資)の効果を味方に、投資成果の向上を目指したい。



まずは、非課税と複利の効果を確認する。Jリート100万円投資(20年間)について、ケース①「課税なし&再投資あり」とケース②「課税あり&再投資なし」を比較すると、ケース①は20年後219万円(元本100万円+分配金80万円+複利効果39万円)、ケース②は20年後164万円(元本100万円+分配金64万円)となり、両者で55万円(税金16万円、複利効果39万円)の格差が生じる[図表2]。

 

 

 

次に、実際のJリートの収益率(03年3末~23年3末)を適用して計算すると、ケース①は20年後420万円、ケース②は20年後264万円となり、両者で156万円(税金41万円、複利効果115万円)の格差が生じる[図表3]。このように、長期の資産形成では、NISAによる税制優遇と分配金の再投資による複利効果が大きな効力を発揮することになる。

 

 

 

 

もちろん、上記のシミュレーションは将来にわたる投資リターンを約束するものではない。しかし、「派手さはないが、安定成長が期待できる金融資産は長期投資家に素晴らしいリターンをもたらしてくれること」、「高利回りを謳う詐欺的商品に手を出す必要など全くないこと」を示唆している。

 

いずれにしても、今回の「資産所得倍増プラン」のもと、家計・個人が2,000兆円を超える金融資産を有効活用し、企業価値の向上がもたらす成長の果実を享受することで、より豊かな社会の実現を期待したい。