茶室空間をテクノロジーでアップデート
茶室空間をテクノロジーで演出した、大胆な茶道が登場しました。壁面や畳に映像を映し出し、お茶会のシーンに応じて切り替わるような演出を楽しめす。最新技術によるエンターテインメント性と、伝統芸道の奥深さを同時に楽しむことができるため、茶道に親しみのない方が興味をもつきっかけとしても期待されます。
茶道の新たな魅力に触れる「ネオ茶道」な取り組み
伝統芸能に最新テクノロジーを掛け合わせ付加価値を得ることで、茶道は大きく進化しています。「ネオ茶道」と呼びたくなるような、アップデートされた取り組みの一部をご紹介します。
オンライン/VR茶会「茶空会 sakue」
千利休を祖とする千家の家督を継いだ千家流茶道の本家である「表千家」の岡田宗凱(そうがい)氏が主催する「世界茶会」による、オンラインで茶の湯を体験できるイベントです。世界中がコロナ禍にあった2020年9月に、世界初の「VR茶会」を開催し話題になりました。
参加者は事前に送付されたお茶菓子を準備し、岡田氏が抹茶を点てる様子を見ながら自分でも手元の抹茶を点てて味わいます。
また、VRならではの取り組みとして仮想空間に再現された茶器の見学も。拡大縮小したり回転させたり、自由にじっくり観察することができるのも特徴です。詳細な意匠を観察するという視点では、実際に手に取るより有効だと言えます。
・茶空会 sakue
茶道チューターロボット「千のロビ」
「茶道は敷居が高くて親しみにくい」という若者たちの声をきっかけに開発されたのが、茶道チューターロボット「千のロビ」です。「千のロビ」という名前は、千利休にちなんで命名されています。
「千のロビ」には音声認識機能が搭載されているため、こちらの呼びかけに応えながら、茶道の作法や歴史などを教えてくれます。英語と日本語に対応しており、茶道の初心者や海外の人にも気負うことなく楽しめます。
また、「千のロビ」が教えてくれるとおりの手順を踏むことで、誰でも簡単にお茶を点てることができます。
茶道チューターとして登場するロボットと会話しながら、参加者とおだやかで楽しい時間を共有できる、ユニークなお茶会を提供してくれます。
・千のロビ
まだまだある「テクノロジー×茶道」な取り組み
茶道で使う無数の道具を識別「お茶会ロボットシステム」
2020年1月、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)開催のシンポジウム「AI&ROBOT NEXT」にて人工知能とロボットについての研究発表の展示や各ロボットのデモが行われました。そこで登場したのが、産業技術総合研究所、中京大学、中部大学の連盟で展示された「お茶会ロボットシステム」です。
「お茶会ロボットシステム」はきめ細かな動作で抹茶を点てる姿が印象的なロボットです。映像認識機能を搭載しており、茶道具の種類や機能を認識し、その扱いを自律的に判断します。
抹茶をすくう茶杓の長さを認識し、棗(抹茶を入れるのに用いる茶器の一種)に差し込む深さを調整する……まるで人間のように繊細な動作ができることに驚かされます。さらに、人間の動きの軌跡を学習しているため、お茶を点てる茶筅の動かし方も滑らかで自然です。
・お茶会ロボットシステム