長年「世界でもっとも安全な国」といわれてきた日本。しかし近年、豪邸を狙った強盗事件が複数発生していることや、「闇バイト」による強盗や傷害などの犯罪のニュースを耳にすることも増え、“体感治安”は悪くなっています。とはいえ、少子高齢化が進み、こうした犯罪を抑止し治安を維持する人手は減少する一方です。そこで注目したいのが、「防犯テック」。テクノロジーを利用し、犯罪を予防するしくみが米国を中心に増えています。今回は、そんな「防犯テック」の実例や今後の課題についてみていきましょう。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
犯罪被害を防ぐ「予知防犯」まで!進化する世界の最新防犯テック…犯罪ゼロ社会への道のり (※写真はイメージです/PIXTA)

“体感治安”が悪化…「安全な日本」を維持するために

世界でも有数の“安全国”である日本。警察庁の犯罪情勢統計※1によると、2022年の刑法犯罪の認知件数は60万1,389件と、2002年の285万件をピークに大幅に減少しています。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

しかし、昨年11月に警察庁が行ったアンケート調査(注)によると、「ここ10年で治安はよくなったか」という設問に対して、「悪くなっている」「どちらかといえば悪くなっている」と答えた人は67.1%にのぼりました。

 

(注)2022年11月、5,000人を対象にネット上で実施。

 

国内の治安は高いレベルで保たれているものの、いわゆる“体感治安”は悪くなっているというのが実態のようです。

 

しかも日本は今後、本格的な少子高齢社会を迎えることから、警察官をはじめ、治安を維持するための人的・物的リソースが不足することが考えられます。ほかのさまざまな社会課題と同様、防犯の世界にも「テクノロジー」を持ち込んで進化させることが、日本の安全な環境を維持していくために重要となってくるでしょう。

 

ここでは、こうしたいわゆる「防犯テック」に取り組んでいる企業を紹介していきます。