現役時代は大手IT企業の管理職だったAさん。順風満帆の老後をスタートした矢先、妻の異変に事態は急変してしまいます……。一体なにがあったのでしょうか。本記事では、FP dream代表の藤原洋子氏がAさんの事例とともに、計画的な老後プランについて解説します。                        
年収1,200万円、定年退職時の貯蓄額4,500万円だった61歳・元エリート会社員…「勝ち組人生」を崩壊させた“妻の異変”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

公的介護サービスを利用できる条件

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

私たちは40歳になると介護保険に加入し保険料を納めています。そのため、介護サービスを原則1割の自己負担で利用できます。介護が必要になり介護サービスの利用を希望する場合は、市区町村の窓口に要介護認定の申請を行います。地域包括支援センターなどで、代行してもらうことも可能です。

 

被保険者は、65歳以上の方を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の方を第2号被保険者といいます。65歳以上の方は、原因に関わらず、認定を受けると介護サービスを利用できます。第2号被保険者は、介護サービスが受けられないかというとそうではありません。16種類の加齢に伴う疾病を原因として認定を受けたときは利用できるとされています。

 

Aさんの妻の場合は、特定疾病のうち「初老期における認知症」に該当しますので、要介護認定が受けられると、自宅や施設などで受ける介護サービスを利用することができることがわかりました。 Aさんは、症状が進んでも介護サービスを利用すれば、介護費用を抑えながらご自身の仕事を続けることは不可能ではないと判断されたそうです。

介護費用も見据えた老後資金計画を

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

今後Aさんが見込める収入として、仕事による収入のほかに年金収入があります。Aさんが65歳になると、Aさんの老齢年金20万円と加給年金約40万円を、妻が65歳になると、加えて妻の老齢年金8万円と加給年金に代わるものとして振替加算約1万5,000円を受給できます。

 

妻の症状などが、65歳未満で障害基礎年金の受給要件を満たすと、障害等級1級に該当すれば約99万円、2級であれば約80万円受給できます。65歳になると、障害基礎年金かご自身の老齢年金か、どちらか選択して受給することができます。

 

もしもAさんが、65歳よりも前に自分の年金を受け取ろうとすると、繰上げ受給を請求した月から65歳の前月までの月数に0.4%をかけた金額が減額され、一生涯その金額になってしまいます。Aさん本人の老齢年金は毎月20万円ですから、3年前から受給すると毎月17万1,200円です。

 

2021年度の介護を行った期間の平均は5年1か月、一時的な費用の平均は74万円、在宅の介護費用は月に平均4.8万円、施設を利用すると平均12.2万円です。要介護度があがると負担額も増えるでしょう。

 

2019年の日本の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳。健康寿命との差は、男性で約9年、女性で約12年です。平均より長い期間介護を行うケースもあります。病気やケガは突然自分達に降りかかることがありますので、余裕をもたせたライフプランや老後資金計画を立てようと意識することが重要です。

 

参考文献

・厚生労働省「若年性認知症ハンドブック」

https://www.mhlw.go.jp/content/000569242.pdf

・厚生労働省「介護保険制度について」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/2gou_leaflet.pdf

・生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」

https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html

・日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/index.html

 

 

藤原 洋子

FP dream

代表FP