副反応の心配は?
ワクチンの話になると必ず意識されるのが「副反応」です。予防接種の副反応はよくあるものとしては発熱や接種部位の腫れなどがあります。重篤なものとしては、けいれんやワクチンの成分に対して強いアレルギー反応がおこるアナフィラキシーなどがあります。
ワクチン接種の重篤な副反応については厚生科学審議会でまとめられ結果が公表されています。この統計は接種後に健康状態が変わったものを集計しているのでワクチンとの因果関係が考えにくいものも含まれています。
その上で、ワクチンの重篤な副反応は10万接種に1例程度と考えられます。ピンとこない人のために比較対象を見て見ましょう。
食べ物で重篤なアレルギーであるアナフィラキシーを引き起こした児童の割合は小学生で0.15%と言われています。つまり1万人中1.5人が何かしらの食べ物で重いアレルギーを引き起こしているということになります。
ワクチン接種によるアレルギーの頻度10万接種で1人ですので、食べ物によるアナフィラキシーの頻度を下回るのです。
こうした数値からも、ワクチン接種をするリスクよりも、ワクチン接種をしないリスクのほうがはるかに大きいことがわかります。
まとめ
今回は子どものワクチン接種について見ていきました。生まれたばかりの子にワクチンをいくつも打つのは抵抗があるという思いは、なんらおかしくはありません。
しかし、データを見てみると、予防接種の意義は非常に大きいものです。接種しないことで重篤な感染症による死亡や後遺症のリスクが跳ね上がってしまいます。
自分で予防接種するかを選べない子どものためにも、ワクチン接種はしっかりと行うことが重要です。
秋谷 進
東京西徳洲会病院小児医療センター
小児科医