「平均的に、あと何年生きるか」は平均余命で見る
まず、平均寿命の平均とは何か。これは、生まれたばかりの0歳の人が、平均的に何年生きるかを示すものだ。それ以外の人には、平均寿命は当てはまらない。そこで出てくるのが、「平均余命(よめい)」だ。平均余命は、ある年齢の人々が、平均的に何年生きるかを示す。つまり、生まれたばかりの0歳の平均余命が、平均寿命ということになる。
例えば、令和3年簡易生命表によると、40歳の人の平均余命は、男性42.40年、女性48.24年となっている。平均寿命から年齢(40歳)を差し引いた年数(男性41.47年、女性47.57年)と比べると、男性で0.93年、女性で0.67年長い。40歳では、半年以上長いわけだ。
下記の表(図表1)の通り、この差は高齢になるほど大きくなっていく。
40歳の人は、生まれてから40年間亡くならずに生きてきた。当然のことだが、同じ時に生まれてこの40年間に亡くなった人は、寿命が40歳未満だった。40歳の人は、寿命が短かった人を除いた集団と言うことができる。このため、40歳の人の平均余命は、平均寿命-年齢よりも、長いことになる。
平均余命と、「平均寿命-年齢」の差
40歳のうち半数の人は平均余命よりも2年以上長生きする
平均余命は、ある年齢の人々が、平均的に、あと何年生きるかを示す。実は、この「平均的に」というのがクセモノだ。
「40歳の男性の平均余命は42.40年」と聞くと、「40歳のうちの半数の人が42.40年生きる」と考えてしまいがちだ。ところが、実際には40歳の人々の集団が半減する年数は、約44.6年であり、平均余命よりも2年以上長い。
平均余命は、今後の生存年数の“平均”だ。以下の「各年齢での生存者数」の図で、棒グラフの面積と四角形の面積が等しくなるような年数となる。
一方、40歳の人が半減するのは、以下の「各年齢での死亡者数」の図で、棒グラフの面積が左右で等しくなる年数となる。
「令和3年簡易生命表」で、各年齢での死亡者数を見てみると、男性は80代後半、女性は90代前半でピークを迎える。問題は、そのピークの前後だ。死亡者数は左右対称には分布していない。ピークに至るまでは、年齢が進むにつれて緩やかに死亡者数が増加する。しかし、ピークを超えた後は急に減少する。このため、平均余命や、生存者が半減する年数は、このピーク前までに前倒しされる。
40歳の人の場合、この前倒しは、平均余命のほうが、生存者が半減する年数よりも強く効いている。その結果、40歳のうち半数の人は平均余命よりも2年以上長生きする、ということになる(図表2~6)。