建設会社が破産…投資家が取れる対処法と進め方
前回は、「土地から新築」のメリットに加え、その陰に潜む建設会社の破産というリスク。しかも、それが起こるのは決して珍しいことではないことについて説明した。では、建設会社が実際に破産してしまったとき投資家には、どのような損害が発生するのだろうか。
大神「たとえば7,000万円を支払っていたとして建設会社が破産してしまったとしましょう。実際の工事の進捗としては5,000万円分まで進行していて、そこで工事がストップしてしまうと、単純に2,000万円の損害となります」
そのようなときに、施主である投資家は何をすべきなのだろうか。
大神「最初にしなければならないのは、法的対応。具体的には弁護士を用意することです」
建設中の建物を引き継いで工事を進めるにしても、売却などの処分をするにしても、破産した建設会社から施主に所有権が移ってからでないと、
次にすべきなのが解決方法の検討だ。
大神「建設途中に建設会社が破産したら、①エージェントに残務処理を委任する ②土地を現場ごと売却して精算する ③既存構造物を除去し更地で売却して精算する ④工事を引き継ぎ別のゼネコンで建物を完成させる、この4つが現実として考えられます」
より具体的には、①の場合は宅建資格を持つ任意売却コンサルタントなどにエージェントになってもらい、金融機関との交渉や売却先を見つけてもらう、②では建設に知見があり、買取再販が得意な不動産業者を探して売却する、③の場合には戸建ての解体工事や新築・販売などができる建売業者を見つけて売却する、④では工事を引き継いでもらえる建設会社を自分で探して依頼することになる。
また、問題解決にあたっては、以下のことも重要だと言う。
・選んだ対処法を進めることができ、自分が破産しないで済むだけの資金の準備
・工事がどこまで進んでいたのかを把握し、適切なパートナーに後処理を承諾してもらうための現場対応
・施主が弱い立場になったことを自覚しつつも、関係者との利害調整は適切に進めるためのネゴシエーション
だが、一般投資家にとってこれらは決して簡単なことではないだろう。
建設会社が破産したときの対処法のベストアンサーは?
これらのようにいずれの方法でもデメリットが大きい中で、投資家にとってベストな解決方法はどれだろうか。
大神「エージェントに残務処理を委任する(①)のは、ある意味でいちばん楽な方法ですが、その分さらに資金がかかります。土地を現場ごと売却する(③)ことも考えられますが、そのような現場を購入できる人は多くなく、買い叩かれ、しかも建物も手に入りません。工事があまり進んでいなければ、更地にして土地を売却して精算する(②)こともできますが、それは使った建設資金を捨てるという選択です」
そして、④が一番スマートに見えるが、その場合には、そもそもの計画に問題はないのか、設計は成り立っているのか、実際の工事はどこまで進んでいるのか、中間検査や完了検査をクリアするための書類を集められるかなど、施主が捌くことになる工事対応のタスクは膨大なものとなる。
さらに、破産するような会社が建設していた物件は、お金や人が回っておらず、安くて質の悪い建材や設備を使っていたり、壁に断熱材を入れていなかったりなど、品質の悪い建設になっている可能性が極めて高い。工事を引き継いでくれる建設業者が見つかったとしても、見積もりが高くなる可能性が大きいという。
大神「これらすべての方法、どれをとっても数千万円の損害になります。しかも、その損害額は実際に動いてみてからでないと分からないのに、どの方法がより損失を少なくできるのか見極める必要があります。最初に契約した建設会社が破産している時点で、投資としては既に失敗していると言えるのです」
建設会社の破綻に直面したとき、すでに投資としては失敗は確定であり、あとはいかに損失を圧縮させるかしか手立てはない。次回、「土地から新築」において建設会社の破綻リスクを回避する方法を探っていく。