「住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置」により、住宅資金の贈与が非課税の対象になりました。これから住宅の購入を予定している人のなかには、この制度の利用を検討している人も少なくないのではないでしょうか。しかし、制度の使い方を間違えると課税対象になってしまうことも……。本記事では、住宅資金の贈与を受けたYさん夫婦の事例とともに、制度利用の際に注意すべきポイントについて長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
世帯年収740万円の30代夫婦…非課税枠内で「親からの住宅資金贈与」にニヤリも、まさかの“課税対象”に「時間を戻したい」【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

Yさん夫婦はどうするべきだったのか?

(※画像はイメージです/PIXTA)
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持分割合を決めるときの基本は、持分割合とそれぞれが費用を負担した割合をイコールにすることです。

 

考えられる最善の方法としては、土地の購入はYさんの贈与分とYさんの貯蓄300万円で購入、名義はYさんの単独名義にする。建物の自己資金分を妻の贈与分で支払い、夫と共有名義にする。これで非課税枠が使えることになります。夫婦間での贈与税も発生しません。

 

また、住宅メーカーに上棟までのスケジュールを確認し、間に合うようであれば贈与を受け土地の契約と決済を行う。間に合わないようであれば、土地購入に住宅ローンを利用し、翌年になってから贈与を受ける。贈与された資金は建物の自己資金に使う。一般論として考えると、このような流れで贈与と住宅購入を行えば非課税枠を有効活用できます。

 

大きな資金が動く住宅資金贈与の非課税制度は、慎重にお金の流れと登記の仕方を精査する必要があります。複雑な状況である場合、ネットから得た知識だけで判断せず、税理士、弁護士などの専門家に具体的に相談して判断してください。

 

ファイナンシャルプランナーや住宅メーカー、不動産会社が状況を交通整理し、税理士・弁護士を紹介することも可能です。

大きく変わろうとしている「生前贈与のあり方」

2022年12月16日に自由民主党・公明党が公表した「令和5年度税制改正大綱」にこのような文言が掲載されていました。

 

(2)資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築

高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、いわゆる「老老相続」が増加するなど、若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することとなれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。

 

一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たすうえで重要な役割を担っている。高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば、格差の固定化につながりかねない。

 

③ 贈与税の非課税措置

経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっており、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、不断の見直しを行っていく必要がある。

 

わかりやすく解説すると、相続税と贈与税の一体化を検討しているということ、現在の住宅資金贈与や教育資金贈与の非課税制度などは国民間の経済格差を広げる心配があるので廃止する恐れがある、ということです。

 

令和5年度の税制大綱に住宅資金贈与の非課税制度については言及がなく、廃止が近いのではという意見が多いのが現状です。したがって、これから駆け込みで贈与するケースが増える可能性があります。その場合、事例でも紹介した通り翌年度の3月15日に上棟されていなければ非課税は適用になりません。

 

昨今の建築資材の不足や人材の不足によって着工が遅れているケースが少なくなく、3月15日に間に合わないこともあり得えます。十分にスケジュールを確認して贈与を行う必要があります。

 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表