ソニー生命が公表した『子どもの教育資金に関する調査 2023』。大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1,000名へのアンケートですが、そこから見えてきたのは、子育て世帯の厳しい現状でした。みていきましょう。
年収520万円・50代サラリーマン、子ども大学進学に眩暈…思わず「ツライ」とこぼす子育て世帯の悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

親「子どもに大学進学まで望む」も「教育資金に不安」の現実

子どもの進学が決まったという人も多い季節。喜び半分、出費増に不安半分といったところでしょうか。ソニー生命『子どもの教育資金に関する調査 2023』によると、未就学児の親に「子どもの教育のための資金について、いくらくらい必要だと見積もっているのか」聞いたところ、 平均予想金額は1,436万円。調査開始以来最高額だといいます。

 

教育資金で家計を圧迫している要因のひとつとして、インターネットを活用した教育システムがあると分析。確かにコロナ禍でオンライン授業は当たり前となり、たとえば高校進学で端末購入が必須だった、という家庭も。

 

教育費負担が大きくなることを覚悟しつつ、親の8割強が「多少費用がかさんでも大学等へ進学させたい」と意気込む一方で、親の7割弱は「子どもの教育資金に不安を感じる」と回答。その理由のトップが「収入の維持や増加に自信がない」で41.8%。「教育資金がどのくらい必要となるか分からない」が38.5%、「社会保険料の負担増」34.7%と続きます。

 

その不安は多くが的中するというのが現状。「子どもの教育費の負担を重いと感じる」と回答した親が6割強、大学生の親に限定すると8割強にもなります。

 

同調査では親の6割強が「子どもの学力や学歴は教育費次第で決まる」と実感していることから、できるだけ子どもの教育にはお金をかけたいと思うものの、やはり負担は大きいよう。思わず「ツライ……」とこぼしてしまうのも無理はありません。

 

同調査からも、大学進学で教育費の負担は一段上のレベルになっているのは明らか。

 

文部科学省『国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』によると、国立大学の入学金は28万2,000円、授業料は53万5,800円。単純計算、4年間の学費は250万円ほどになります。一方、文部科学省『私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査』によると、私立大学の初年度納付金は平均135万7,080円。文系学部・理系学部でみていくと、文系は平均118万8,991円、理系156万6,262円。さらに医歯系学部になると489万0,539円になります。4年で卒業できたとしたら、文系学部で407万円、理系学部で551万円。医歯系学部は6年で2,300万円ほどかかる計算です。

 

さらに親元を離れて下宿となると、さらに仕送りが家計を圧迫します。全国大学生活協同組合連合会『第57回学生生活実態調査』(2022年3月1日公表)によると、下宿生への仕送りは平均7万1,880円。年間86万円、4年で350万円ほど仕送りをすることになります。

そしてこれは、大学生1人にかかる費用。子どもが2人なら、3人なら……眩暈がしそうです。