子どもがなにか事件を起こしたときなどに論争を巻き起こす「テレビゲームは子どもにとって良いモノか、悪いモノか」という議論。はたして、いつ終止符が打たれるのでしょうか……。今回、東京西徳洲会病院小児医療センターの秋谷進小児科医が、国内外の論文をもとに、ゲームが子どもに与える影響を検証していきます。
「テレビゲーム」は結局、子どもにとって良い?悪い?小児科医の回答 (※写真はイメージです/PIXTA)

使い方を誤ると…ゲームのリスク

前述したさまざまなメリットは、ゲームを「正しく」使った場合に限られます。使い方を誤ると、ゲームは子どもに悪影響をおよぼす可能性があります。

 

一番大きい影響として考えられるのは「ゲームに時間をとられること」でしょう。6歳〜9歳の男の子を対象にゲームを購入した子と購入していない子に分けて学業成績を比較したところ。購入した子の成績のほうが下がったという報告があります。

 

同論文では、ゲームを購入した子の方がゲームに時間をとられて、ゲーム以外の宿題や読書などの時間がなくなっていたことが原因ではないかと結論付けています。

 

また、米国小児科学会(AAP)は6歳未満の子どもに対して、TVやYouTubeなどの動画を含めた、いわゆる「スクリーンタイム」を厳格に制限すること推奨しています。一方で、それよりも年齢が高い子どものスクリーンタイムに関しては明記をしていません。それはいくつかの研究において、「有害性」と「有益性」の双方が示されていて、統一した見解が得られていないためです。

 

しかし、スクリーンタイムによって運動や睡眠に影響がおよぶ状況は避けるべきであり、毎日1時間以上の運動と適切な睡眠(年齢に応じて8~12時間の睡眠)を確保することを明記しています。

 

ゲームは比較的簡単に達成感を得ることのできる娯楽です。できそうでできないミッションをクリアできれば、大きな幸福感や爽快感を生み出します。子どもがこんなものを簡単に手放せるわけはありません。

 

ゲームそのものは脳にとって悪いものではありません。しかし、子どもは時間の使い方を十分熟知しているとはいえません。ゲームを適切に使って良い影響を与えられるように、親と子どもが一緒にゲームとの付き合い方について考えていくとよいですね。

 

秋谷 進

東京西徳洲会病院小児医療センター

小児科医