FXトレーダーであれば誰でも、ポジションが含み益状態になれば嬉しいでしょう。しかし、利益確定するまで油断は禁物と、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。本記事では含み益が出たことに満足し、油断してしまった初心者トレーダーの事例とともに、含み益に対する有効な対処法を解説します。
「含み益だから大丈夫」と目を離したFX初心者の末路【プロトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

プロトレーダーが実践している「含み益」への効率的な対処法

実は、FXのなかで損切り以上に難しいことは「利益確定」です。損切りや新規のポジション取りは、ある程度の価格の目安をもてますが、利益確定は常に価格変動を意識しなければなりません。さらに、ポジションを持っている状態なので、常に含み益が変動していて、心理的にも不安定な状態が続きます。「まだまだ利益が伸びるかもしれない。ここで利益確定しないと相場が反転するかもしれない」など、さまざまな不安に打ち勝たなければ、安定した利益確定はできません。

 

プロのトレーダーでも利益確定を苦手としている人は多いです。難易度の高い含み益の処理ですが、プロのトレーダーはひと工夫することで、含み益がもたらす心理的不安を解消しています。

 

プロのトレーダーのなかには分割して利益を確定する人もいます。さらに、大きく含み益が出た場合、建値に決済の注文を入れることで、心理的に追い込まれる前に決済しています。

 

利益確定を分割することで、利益を平均化することができ、「あのとき決済せずにそのままポジションを持っておけばよかった」という機会損失を軽減することができます。また、建値に決済の注文を置くことで、初心者トレーダーが起こしがちな、含み益が含み損になった瞬間に損切りできなくなる現象を事前に防ぐことができるのです。

 

このようにプロトレーダーは、トレードにひと工夫加えることで感情的なトレードを限りなく減らし、相場から機械的に利益を得ようとしています。

利益確定をマスターすればプロトレーダーを目指せる

今回は、含み益が出た状態に満足してしまった初心者トレーダーが、大きな損失を被ってしまった例をもとに、含み益が幻であることを意識する重要性と含み益との向き合い方について解説しました。

 

初心者トレーダーであればあるほど、含み益が膨らんでいく喜びに気を取られ、その後のリスクを意識することができません。プロトレーダーでも難しいと感じる利益確定を、日頃のトレードで真剣に意識していけば、確実にトレードスキルが向上するでしょう。日々の意識が習慣となり、気づいたときには、安定した収益を稼ぐプロトレーダーになっているかもしれません。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員