高齢のおひとり様、4人に1人は「経済的に余裕はなく…」
全国に700万人弱のおひとり様高齢者。死別や離別で単身となった人もいるので、一概にいうことはできませんが、生涯おひとり様の場合、経済的にも余裕があり、悠々自適に独身生活を満喫してきたという人も多いでしょう。そんなおひとり様の老後生活は、どのようなものなのでしょうか。
高齢者の生活の基盤となるのは、まずは公的年金。厚生労働省の調査によると、厚生年金受給者の平均受給額は14万円ほど。年金だけで暮らすには一人暮らしでも心許ない金額です。足りない分は貯蓄でカバーとなりますが、すべてのおひとり様が余裕があるわけではありません。
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和3年』によると、「金融資産を保有していない」という人は、60代で28.8%、70代で25.1%。ここでいう「金融資産」は「運用や将来に備えて蓄えている部分」。経済的に余裕のないおひとり様高齢者は、4人に1人以上という水準です。
さらに「金融資産あり」と回答したおひとり様高齢者の保有額は、60代平均で2,645万円、中央値は1,180万円、70代で平均2,396万円、中央値で1,380万円。ライフスタイルによりますが、余裕のあるセカンドライフが送れそうな金額。しかし「金融資産あり」でも保有額300万円未満という人たちが、60代で21.1%、70代で15.1%。たとえプラスαの資産があったとしても、そのすべてが悠々自適とは限らないのです。
そこに「老い」という心配もプラスされます。年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合*をみていくと、70代後半では12.7%が要支援・要介護認定を受けていましたが、80代前半では26.4%、85歳以上では59.8%と、過半数を超えてきます。
*厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」、総務省「人口推計月報」より
そこから逆算すると、後期高齢者となったおひとり様高齢者379万人のうち、約130万人が要支援・要介護認定を受けているという計算になります。
支援や介護が必要となった時、おひとり様だと身内に頼ることはしづらく、事業者に頼ることになるでしょう。ただ頼るにも、無償というわけにはいきません。前述のとおり、経済的に余裕のないおひとり様高齢者の割合は、4人に1人以上。生きていくのにサポートが必要なのに受けられず、社会からも孤立してしまう……まさに「孤独死」のリスクに直面している人たちが、この日本にはあふれているのです。