平均手取り15万円…非正規が多い母子世帯
母子世帯を語る際、一緒に語られることが多いのが「貧困」。なぜ、母子世帯が困窮するかはその就業形態にあります。
64.6万の母子世帯のうち、就業者は53.1万世帯で、会社勤めは50.2世帯。そのうち正社員は26.2万世帯、派遣社員は2.3万世帯、パート・アルバイトが20.7万世帯。完全な失業者も2万8,316世帯います。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、女性正社員の平均給与(所定内給与)は平均月27万0,600万円。手取りにすると月21万円ほどで、年収は421万9,100円です。一方、女性非正規の平均給与は月19万5,400円。手取りにすると15万円、年収は262万9,500円です。またパート・アルバイトの1ヵ月の月給は平均9万9,532円*。1人で生きていくのもやっとです。
*厚生労働省『毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)』
出産を機に会社を辞めたり、働き方を変えたりする女性は多く、ひとり親となったときに正社員を目指すものの難しく、仕方なく非正規を選択するケースが多くあります。
――1日の生活費は200円。どう生きていけばいいのか
そんな母子世帯がクローズアップされ、一時話題になりましたが、決して大げさではない現状があります。そんな母子をサポートする公的機関等の支援はいろいろあります。
まず、ひとり親のみならず、0歳から中学校卒業までの子どもを養育している人に支給される「児童手当」。また離別によるひとり親世帯の生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される「児童扶養手当」。 18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある子ども(障害児の場合は20歳未満)を監護している母、または監護しかつ生計を同じくする父、もしくは父母に代わってその児童を養育している祖父母等に支給されます。
手当は全部支給なら月4万3,070円。子どもの人数により加算があり、子ども2人目で月1万0,170円、子ども3人目以降は1人につき6,100円。ただし所得制限があり、2人世帯の場合、全部支給で160万円、一部支給で365万円となっています。
いざという時は「公的貸付制度」も。自治体をはじめとする公的機関やそれに準ずる機関が実施している貸し付けで、原則的に返済が必要であるものの、無利子や低利子であったり、返済に関して一般の金融機関よりも柔軟に対応してくれたりします。代表的な「母子福祉資金」や「生活福祉資金貸付制度」などさまざまなものがあり、返済負担が最少になるような仕組みが取られています。
どのような支援が受けられるのか、母子世帯でも事情はさまざまなので、まずは市区町村の窓口に相談するのが第一歩。それにも関わらず、意外と支援を受けていない母子世帯も多いといいます。生活に余裕がないなか、次第に周囲から孤立していく……そのようなケースも珍しくないのです。母子世帯にまず必要なのは、孤立させない周囲の目かもしれません。