以前のように“職場の飲み会”も減り、若者を中心に酒離れがいわれている昨今。それでも新型コロナ感染の第8波などと騒がれていても「ちょっと早めに忘年会を」などと、何かにつけて飲むのが好きな日本人。どれほどお酒にお金を使っているか、地域別にみていきます。
都道府県「お酒の支出額」ランキング…流行のRTD、一番の愛飲者は「埼玉県人」 (※写真はイメージです/PIXTA)

都道府県別「酒支出額」ランキング…酒の種類別にみる地域性

コロナ禍を機に、お酒を買う機会もぐっと増えましたが、出所:総務省統計局『家計調査(2021年)』(家計収支編/二人以上の世帯)によると、1年間の酒類の支出額は全国平均4万5,230円。経年で見みていくと、2000年以降、年によって上下はあるものの、減少傾向にありました。その主な原因は若者の酒離れなどといわれていましたが、2020年に一気に上昇。外出自粛、行動制限のなか、自宅でお酒を愉しむ機会が増えたのでしょう。2021年後半には行動制限が緩和され、その影響もあってか再び減少しましたが、それでも高い水準を保っています(図表)

 

出所:総務省統計局『家計調査』(家計収支編/二人以上の世帯/品目分類)より作成
【図表】お酒の支出額の推移 出所:総務省統計局『家計調査』(家計収支編/二人以上の世帯/品目分類)より作成

 

都道府県別にお酒の支出額をみていくと、最も多いのが「東京都」で6万2,561円。続いて「青森県」が5万9,341円。「千葉県」「秋田県」「岩手県」と続きます。一方で最も支出額が少ないのが「和歌山県」で3万1,572円。続く「茨城県」は3万4,314円。「岐阜県」「愛媛県」「山梨県」と続きます。「東京都」で支出額が多いのは、コロナ禍、飲食店の休業が相次ぎ、“外で飲む機会”に恵まれなかったことも影響しているかもしれません。

 

さらに消費支出に占めるお酒の支出額の割合をみていくと、最も多いのが「青森県」で全消費に占めるお酒の割合は2.02%。続き「秋田県」は1.91%。「岩手県」「東京都」「千葉県」と続きます。支出額は「東京都」がトップですが、家計に占める割合は「青森県」がトップ。どちらかが酒飲みか、と問われれば、「青森県」となりそうです。

 

ではお酒の種類別にみていきましょう。まず「清酒」。そのトップは「新潟県」で1万0,678円。やはり米どころ。美味しいお酒が作れるのでしょう。上位に東北地方が多いのは、米の生産が多いことも関連していると考えられます。

 

同じように原料と密接に関係ありそうなのが「焼酎」。トップは芋焼酎で有名な「宮崎県」で1万2,312円。同じく芋焼酎で有名な「鹿児島県」は3位、泡盛で有名な「沖縄県」は4位です。

 

続いて「まずは……」という人も減ってきた「ビール」。トップは「東京都」で1万6,771円。「千葉県」「青森県」「石川県」「新潟県」と続きます。一方、ビールの代わりとしてファンも多い「発泡酒等」のトップは「高知県」1万7,523円。「福島県」「青森県」「山口県」「岩手県」と続きます。ここでは「東京都」は31位。存在感はありません。

 

同じように「東京都」の存在感が光るのが「ワイン」で、その支出額は1万0,612円とぶっちぎり。「千葉県」「神奈川県」「埼玉県」「宮城県」と続きます。東日本の大都市を有する地域で支出額が多いのが特徴です。

 

そして前出RTDの「チューハイ・カクテル」のトップは「埼玉県」で9,185円。一方で47位は「鹿児島県」で2,874円。全国的なブームとはいえ、1位と47位では3倍以上の差が生じています。東京の職場からの帰り道、ちょっとコンビニに寄ってその場でお酒を愉しむ……そんな機会が多そうな埼玉県人。一方、自分だけのこだわりの飲み方があり、RTDには手が伸びない鹿児島県人……。そんなイメージでしょうか。

 

地域性が色濃く出る、お酒の都道府県ランキング。なお実際の家計調査は県庁所在地等、市単位の調査であり、都道府県の実情を正しく反映しているとはいえないことに留意が必要です。