住宅ローンを借り入れるとき、諸費用として数十万円~数百万円がかかります。費用の相場は、住宅が新築物件なら物件価格の3%~7%、中古物件なら物件価格の6%~10%です。本記事では、諸費用の詳細や諸費用を抑えるポイント、手元資金が足りないときの対処法についてご紹介します。
住宅ローン諸費用の内容、相場は?節約する方法とともに解説 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンを借り入れるとき、付随費用としてどれぐらいの費用がかかり、総費用としてどれだけ資金が必要になるか気になる方は多いのではないでしょうか。

 

本記事では、住宅ローンの契約に伴って必要となる諸費用の詳細と、諸費用を抑えるポイント、手元資金が足りないときの対処法についてご紹介します。ぜひ、最後までお読みいただき、住宅ローン契約を検討する際の参考にしてください。

1. 住宅ローン契約で生じる諸費用とは?大まかな目安
2. 住宅ローン・住宅購入の主な諸費用の内訳は?いつ払う?
2.1. 住宅ローンの借り入れに必要な諸費用
2.2. 住宅購入による登記に伴う諸費用
2.3. 住宅購入によるその他の諸費用
3. 住宅ローンの諸費用をできるだけ安く抑える方法
3.1. 諸費用が少ない住宅ローンを選択する
3.2. 頭金を増やして借入額を抑える
3.3. 電子契約を利用する
3.4. 物件購入時に仲介会社を介さない
3.5. 火災保険の補償は不要な項目を外す
4. 住宅ローンの諸費用が安い金融機関は?
5. 諸費用|手元資金が不足している場合の対処法
5.1. 諸費用を住宅ローンに「組み込み」して借りる
5.2. 諸費用ローンを利用して資金を借りる
まとめ

1. 住宅ローン契約で生じる諸費用とは?大まかな目安

住宅ローン契約で生じる諸費用とは?大まかな目安
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

住宅の購入時には、物件の購入代金のほかに諸費用が発生します。借り入れに伴う諸費用は、数十万円~数百万円かかるのが一般的です。新築物件なら物件価格の3%~7%、中古物件なら物件価格の6%~10%が相場といわれています。

 

諸費用には、大別すると「借り入れに関する費用」と「登記に関する費用」があります。具体的には、「借り入れに関する費用」は金融機関や保証会社に支払う手数料など、「登記に関する費用」は登記手続きに伴って司法書士に支払う報酬などです。

 

諸費用の多寡は、借入期間の長短や金融機関、住宅ローンの種類などによって異なります。

2. 住宅ローン・住宅購入の主な諸費用の内訳は?いつ払う?

住宅ローン・住宅購入の主な諸費用の内訳は?いつ払う?
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

では、具体的にどのような費用が必要になるのでしょうか。詳細を見ていきましょう。

 

2.1. 住宅ローンの借り入れに必要な諸費用

「借り入れに関する費用」として一般的なのは、以下のものです。

 

種別

内容

融資手数料

金融機関に対する事務手数料や保証会社に対する保証料など

印紙税

課税文書の作成時にかかる税金

 

2.1.1. 融資手数料(融資実行時)

融資手数料とは、金融機関に対する事務手数料や、保証会社に対する保証料などです。事務手数料は金融機関が自由に設定できるため、金融機関によって料金が異なります。

 

事務手数料は、金融機関に支払う手数料です。物件の引渡日に支払います。事務手数料には定率型と定額型があり、以下のような違いがあります。

 

  • 定率型:「借入額×〇%」というように、借入額の割合に応じて手数料を支払う。手数料の相場は2.2%が一般的。
  • 定額型:借入額に関係なく、金融機関が定めた手数料を支払う。手数料水準は22,000円~110,000円程度。

 

保証料は、金融機関が指定する保証会社に代位弁済してもらうために支払う費用です。連帯保証人の代行費用だと考えてよいでしょう。債務者が住宅ローンを返済できないときは、保証会社が金融機関に住宅ローンを返済します。債務者に返済義務は残り、債権者は金融機関から保証会社に変更されます。

 

保証料の料金は、金融機関や保証会社ごとに異なるのが一般的です。「借入額×〇%」というように、借入額の割合に応じた料金を支払います。相場は0%~2%です。

 

保証料は「一括前払い型」と「金利上乗せ型」の2種類の支払方法があります。

 

  • 一括前払い型:借入契約時に一括で支払う
  • 金利上乗せ型:月々の住宅ローンの適用金利に、金利を上乗せして支払う

 

2.1.2. 金銭消費貸借契約書にかかる印紙税(契約書作成時)

印紙税とは、経済取引に伴って作成する、契約書や金銭の受取書などに課される税金です。「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書(課税文書)が対象となり、文書を作成した際に納税義務が発生します。文書の種類や契約金額によって、税額が異なるため注意が必要です。

 

住宅ローンの借り入れにあたって交わす書類は「金銭消費貸借契約書」であり、「印紙税額一覧表」の「消費貸借に関する契約書」にあたるもので第1号文書に該当します。

 

第1号文書の契約金額に応じた税額は以下の通りです(一部抜粋)。

 

契約金額

税額

500万円超1,000万円以下

1万円

1,000万円超5,000万円以下

2万円

5,000万円超1億円以下

6万円

※ 電子契約の場合は、文書を作成したことにはならないため印紙は不要です。

 

2.2. 住宅購入による登記に伴う諸費用

「登記に関する費用」として一般的なのは、以下のものです。

 

種別

内容

司法書士手数料

登記手続きに対する司法書士への報酬です。

登録免許税

登記時にかかる税金です。

 

登記とは、重要な権利・義務などを公示し、公開された帳簿に記載することです。不動産登記の場合は、土地や建物ひとつひとつの所在・面積・所有者・抵当権などの権利関係を公にします。要するに、不動産登記とは土地や建物の所有権を対外的に示すことです。

 

登記は基本的に司法書士に手続きの代行を依頼します。

 

種別

税率

土地の所有権の移転登記(売買)

1,000分の20(軽減税率:1,000分の15)

建物の登記:所有権の保存(新築)

1,000分の4(住宅用家屋の軽減税率:1,000分の1.5)

建物の登記:所有権の保存(中古)

1,000分の20(住宅用家屋の軽減税率:1,000分の3)

抵当権設定登記(住宅ローン)

1,000分の4(住宅用家屋の軽減税率:1,000分の1)

 

これらの料金は、残金決済・物件の引渡日に支払います。

 

2.3. 住宅購入によるその他の諸費用

「借り入れに関する費用」「登記に関する費用」以外の費用についても、見ていきましょう。

 

2.3.1. 団体信用生命保険料(住宅ローン金利組み込み)

債務者が債務を全額返済しないうちに死亡・高度障害などになったときに、保険金から金融機関に債務を弁済する保険です。住宅ローンを借り入れるときや、借り換えをするときにだけ契約できます。ほとんどの金融機関が、団体信用保険への加入を融資の条件としています。

 

保険料は、ローンの金利に組み込まれているのが一般的です。

 

2.3.2. 仲介手数料(売買契約時・引き渡し時)

不動産を売買するときに、不動産会社を仲介した場合に支払うのが仲介手数料です。売買成立による成功報酬のほかに、売主と買主の売買契約の条件の調整・契約書類作成・契約から引き渡しまでの手続きなどの代行費用も含まれています。

 

仲介手数料は、契約の成立時または物件の引き渡し時に支払うのが一般的です。

 

■仲介手数料の上限額

物件価格

上限額

400万円超

物件価格×3%+6万円+消費税

200万円以上400万円以下

物件価格×4%+2万円+消費税

200万円以下

物件価格×5%+消費税

 

2.3.3. 火災保険料(引き渡しまで)

火災保険は、火災や落雷、破裂・爆発、風災、雪災、盗難などが原因で保険の目的である建物や家財に損害が生じた場合などに保険金が払われる制度です。対象となる事故は補償内容によって変わります。

 

金融機関で住宅ローンを借り入れる際は、火災保険に加入することがほぼ必須です。火災保険は、保険期間を物件の引渡日から始まるように契約します。そして、料金を保険の始期日までに支払うのが一般的です。

 

2.3.4. 不動産取得税(指定された納期限まで)

不動産取得税は、不動産を取得したときに課せられる税金です。「不動産の評価額×税率」で算出します。税額は、以下の通りです。

※ 新築や増築などを除いて、原則的には固定資産課税台帳に登録されている価格です。

 

不動産の取得日

土地・建物(住宅)

建物(非住宅)

2024年3月31日まで

3%

4%

※ 2024年3月31日までに宅地などを購入した場合は、その土地の評価額は価格の半分となります。

 

不動産の取得日から原則として60日以内に、所在地を所管する都道府県税事務所に申告します。自治体によって期限が異なりますので注意しましょう。申告後に都道府県税事務所から届く納税通知書で納付します。

3. 住宅ローンの諸費用をできるだけ安く抑える方法

住宅ローンの諸費用をできるだけ安く抑える方法
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ここまでお読みいただいたことで、安くない金額が諸費用として必要であることがわかったのではないでしょうか。それでは、この諸費用をできるだけ抑えるにはどうすればよいのでしょうか。

 

3.1. 諸費用が少ない住宅ローンを選択する

「借り入れに関する費用」としてご紹介した融資手数料は、金融機関や保証会社によって金額や手数料率が大きく異なります。比較検討を行い、「事務手数料」「保証料」の低いローンを選ぶことで費用を抑えることが可能です。

 

事務手数料は「定額型」と「定率型」がありますので、借入額に応じてどちらのほうが費用を抑えられるかについても考慮するとよいでしょう。

 

3.2. 頭金を増やして借入額を抑える

融資手数料は、借入額に比例して高額になります。よって、頭金を多くすることで借入額を減らせば、融資手数料を抑えることが可能です。

 

3.3. 電子契約を利用する

金融機関にもよりますが、住宅ローンの契約は電子契約が可能です。電子契約なら、印紙代を節約できます

 

印紙税法において、「課税文書の作成は用紙への記載によるもの」と定義されています。紙媒体の文書が前提とされているため、電子データで契約を取り交わす電子契約は課税文書を作成したことにはならないと解釈されています。

 

そのため、電子契約であれば契約書1通につき、数万円かかる印紙税を支払わなくてよいのです。

 

3.4. 物件購入時に仲介会社を介さない

物件の購入時に不動産業者を利用すれば、仲介手数料を支払うことになります。物件の売主から直接購入できれば、この費用をカットすることが可能です。

 

売買契約の条件の調整・契約書類作成・契約から引き渡しまでの手続きなどを引き受けられるなら、売主から直接物件を購入するとよいでしょう。

 

3.5. 火災保険の補償は不要な項目を外す

火災保険料は補償内容の手厚さによって、料金が変わります。過剰な補償内容になっていないか確認しましょう

 

地形的に洪水や浸水のリスクの少ない地域なら「水災」の補償を外したり、セキュリティの心配がなければ「盗難」の補償を外したりするという選択肢があります。

 

また、臨時費用などについてのオプションも、自分に必要な補償なのか考慮しましょう。

4. 住宅ローンの諸費用が安い金融機関は?

住宅ローンの諸費用が安い金融機関は?
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

諸費用で大きなウェイトを占めるのが、「事務手数料」「保証料」です。主要なネット銀行と都市銀行を比較してみましょう。

 

事務手数料は、ある程度まとまった金額を借り入れるなら定額型が安いといえます。定額型を扱っているのは、以下の4行です。

 

  • ソニー銀行(4.4万円)
  • 新生銀行(5.5万円)
  • イオン銀行(11万円)
  • 楽天銀行(33万円)

 

定率型は、ネット銀行も都市銀行も借入額に2.2%を乗じた金額となっています。

 

仮に定率型で2,000万円を借り入れると、事務手数料は44万円です。定額型で最も高い楽天銀行の事務手数料より11万円も高くなります。よって、定率型よりも定額型のほうが事務手数料を抑えやすいでしょう。

 

また、保証料はネット銀行なら保証料がかかりません。大半の都市銀行の保証料は、借入額に2.06%を乗じて3.3万円を足した金額がかかります。

 

ネット銀行のほうが、諸費用の面では安あがりといえます。しかし、諸費用が安いからといって、金利が低いとは言い切れません。諸費用と金利をセットにして、総費用の安い住宅ローンを選びましょう。

5. 諸費用|手元資金が不足している場合の対処法

諸費用|手元資金が不足している場合の対処法
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

すべての諸費用を支払うだけの資金余力がないときは、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

5.1. 諸費用を住宅ローンに「組み込み」して借りる

融資手数料などの諸費用を住宅ローンに組み入れる「オーバーローン」に対応している金融機関が多くあります。手元資金が足りなければ、住宅ローンと一緒に諸費用を借りるのも1つの選択肢です。

 

借り入れられる諸費用は金融機関によって異なります。傾向として、ネット銀行はさまざまな諸費用を貸し出してくれる一方で、みずほ銀行以外の大手銀行はオーバーローンに未対応・もしくはホームページに明記していないことが多いです。

 

5.1.1. 諸費用を住宅ローンに組み込むときの注意点

諸費用分だけ借入額が大きくなれば、それだけ支払う利息も多くなり、総返済額が膨らみます。オーバーローンを利用する際は、月々の支払が厳しくならないように総返済負担率を目安として20%以下になるように留意しましょう。

 

5.2. 諸費用ローンを利用して資金を借りる

諸費用のみを借り入れる方法もあります。ただし、オーバーローンが住宅ローンの金利が適用されるのに対して、諸費用ローンは2%~3%程度の金利がかかるのが一般的です。

 

返済方法や借り入れできる額は各金融機関によって異なります。各金融機関のホームページで確認しましょう。

 

5.2.1. 諸費用ローンを取り扱う金融機関

諸費用ローンを取り扱っている金融機関は以下の通りです。

 

  • みずほ銀行
  • 三井住友銀行
  • 三菱UFJ銀行
  • りそな銀行
  • 三井住友信託銀行
  • フラット35
  • イオン銀行
  • 楽天銀行

 

5.2.2. 諸費用ローンを利用するときの注意点

諸費用ローンも、借り入れには審査が必要です。審査に通らなければ借り入れはできません。住宅ローンと諸費用ローンを合算した金額が、返済負担率の基準を超えた場合などは審査に通らないでしょう。

 

また、前述したように住宅ローンの金利より高い、2%~3%程度の金利がかかります。加えて、諸費用ローンを借り入れるための手続きと諸費用が必要です。

まとめ

住宅ローン諸費用まとめ
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

住宅ローンを借り入れるとき、諸費用として数十万円~数百万円がかかります。費用の相場は、住宅が新築物件なら物件価格の3%~7%、中古物件なら物件価格の6%~10%です。

 

諸費用は、諸費用の安い住宅ローンを選んだり、頭金を増やしたり、電子契約を活用したりすることで削減できます。また、事務手数料と保証料は金融機関・保証会社によって金額に差がありますので、十分に比較したうえで検討しましょう。