住宅ローンの審査に落ちてしまう原因は、複数考えられます。もし審査に落ちてしまったとしても、原因を分析して有効な対策を講じれば、次回の審査で通過できる可能性があります。本記事では、住宅ローンの審査に落ちてしまう理由や有効な対策法について解説します。
住宅ローン審査に通らない理由とは?審査に落ちたときの対処法も紹介 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンの審査に通過できるかどうか、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

 

また、住宅ローンの審査に落ちてしまった方は、次に審査を受けるまでに対策をしておくことで、審査を通過できる可能性があります。審査に通過するためには、金融機関が行っている審査のポイントを知ることや効果的な対策を行うことが重要です。

 

そこで、本記事では、住宅ローンの審査が通らない原因や、効果的な対策について詳しく解説していきます。

1. 住宅ローンの仮審査に通らない5つの原因
1.1. 完済時の年齢が上限をオーバーする
1.2. 年収が少ないまたは収入が安定していない
1.3. 勤続年数が短い
1.4. 他社の借り入れが多い
1.5. 過去に延滞などの履歴がある
2. 住宅ローンの仮審査に落ちたときにできる対処法
2.1. 借入希望額を下げる
2.2. 収入合算やペアローンを申し込む
2.3. 他社の借入をできるだけ完済する
2.4. 信用情報がきれいになってから改めて申し込む
3. 仮審査は通過!次の本審査が通らない原因は?
3.1. 仮審査と本審査は審査の内容や方法が違う
3.2. 本審査時の情報が仮審査の内容と異なるのはNG
4. 住宅ローンの審査に通らないときに試したい4つの最終手段
4.1. 返済能力を裏付ける追加書類を提出する
4.2. 事業計画書を提出する
4.3. 住宅ローンの斡旋業者を変更する
4.4. プロパーローンの利用を検討する
5. 住宅ローンの審査に関するQ&A
Q1. ブラックリストに載ると審査に通らないというのは本当か?
Q2. 住宅ローンの審査に通りやすい金融機関や商品はあるか?
Q3. 住宅ローンの審査に落ちたらすぐに次を申し込める?
まとめ

1. 住宅ローンの仮審査に通らない5つの原因

住宅ローンの仮審査に通らない人の5つの特徴
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

住宅ローン審査は、「仮審査」と「本審査」の2段階構成になっています。まずは、仮審査に通らない原因についてみていきましょう。

 

1.1. 完済時の年齢が上限をオーバーする

金融機関では住宅ローンの審査にあたって、ローン完済時の年齢に上限を設けています(多くの金融機関が80歳前後に設定)。

 

仮審査を申し込んだ際に、完済時の年齢が上限をオーバーしていると、残念ながら仮審査に落ちてしまうでしょう。そのため、仮審査申込時に「完済時の年齢が何歳になっているか」を確認することが大切です。

 

1.2. 年収が少ないまたは収入が安定していない

年収が不安定だと、債権者である金融機関から「貸し倒れのリスクがある」と判断される場合があります。

 

たとえば、年収にブレがある個人事業主や派遣社員など、年収が不安定な働き方をしていると仮審査に落ちてしまう可能性が高いのです。公務員や正社員のように安定した収入を得ていれば「信用度が高い」と判断されますが、収入が不安定だと「信用度が低い」と判断される傾向があります。

 

1.3. 勤続年数が短い

勤続年数も信用度に大きく影響するポイントなので、転職して間もない方などは注意が必要です

 

実際に、審査に通過するためには「勤続年数2~3年以上」という条件を設けている金融機関もあるなど、多くの金融機関では勤続年数を重視しています。逆に、長く同じ会社に勤めている方は「信用度が高い」と評価されるため、仮審査に通過できる可能性が高いのです。

 

1.4. 他社の借り入れが多い

金融機関は、年収に対する年間返済額の割合を示す「返済比率」も重視しています。

 

一般的に、返済比率が低ければ低いほど無理のない返済が可能と見なされるため、返済比率が高いと審査で不利になります

 

年間返済額には、住宅ローン以外の他社の借り入れも含むため、ほかの借り入れが多いと返済比率が高まり、仮審査に通りづらくなる点に留意しましょう。

 

1.4.1. クレジットカードの利用状況にも注意

クレジットカードは非常に便利ですが、厳密にいえば「借金」です。

 

また、日ごろからクレジットカードのリボ払いを利用していると、利子の支払負担が大きくなり、結果的に返済比率を高めることに繋がります。

 

そのため、住宅ローンの仮審査に通るためには、クレジットカードの利用状況にも注意する必要があります

 

「一括払いを徹底する」「必要以上にカードを利用しない」など、健全にクレジットカードを利用することが重要になります。

 

1.4.2. 奨学金の借り入れ状況も影響する

働きながら奨学金を返済している方には、それが不利に作用することがあります。

 

当然のことながら、奨学金も借金に含まれるので、奨学金の返済をしている方は住宅ローンの仮審査において不利に作用します。経済的に余力がある場合は、繰り上げ返済などを活用して、速やかに返済すると住宅ローンの仮審査に通過するうえで効果的です。

 

1.4.3. カードローン・キャッシングの利用限度額が盲点になることも

カードローンやキャッシングを利用している場合も、住宅ローンの仮審査に悪い影響を及ぼす可能性があります

 

そもそも、収入以上の支出をしていなければ、カードローンに頼る必要はありません。カードローンやキャッシングを利用している時点で印象が悪いものです。

 

また、利用限度額が高いと返済比率が上昇してしまう可能性があるうえに、返済能力を疑われる可能性もあります。そのため、カードローンやキャッシングはなるべく利用せず、日ごろから家計の管理をしっかり行いましょう。

 

1.5. 過去に延滞などの履歴がある

過去にクレジットカードの延滞などを起こしている場合は、仮審査に通過できる可能性が低くなります。

 

金融機関や消費者金融は、ローン審査にあたって申込者のクレジットカードの利用歴や延滞歴などの「信用情報」を重視しています。信用情報のなかに、クレジットカードや奨学金などの支払い遅延があると、返済能力に疑問を持たれるのは当然のことです。

 

もちろん「うっかり忘れてしまった」というケースでも信用情報に傷は付いてしまうため、日ごろから延滞や遅延には気を付けましょう。

2. 住宅ローンの仮審査に落ちたときにできる対処法

住宅ローンの仮審査に落ちたときにできる対処法
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

続いて、住宅ローンの仮審査に落ちたときの対処法について解説していきます。

 

一度仮審査に落ちてしまったとしても、次の審査で通過できる可能性は大いにあるため、諦めずに対応することが大切です。

 

2.1. 借入希望額を下げる

頭金を多く用意する、あるいは購入する物件の予算を下げるなどの対策を行うことで、借入希望額を低く抑えることができます

 

借入希望額が低くなれば、審査に通過できる可能性が高まるため、もし仮審査に落ちた経験がある方は借入希望額を下げる工夫を行いましょう。

 

借入希望額を下げることで返済比率にも影響が出るため、金融機関からも「返済能力がある」という印象を持たれ、信頼されやすくなるメリットがあります。

 

2.2. 収入合算やペアローンを申し込む

共働き夫婦の場合、収入合算やペアローンを活用することで仮審査に通過できる確率を高めることができます。

 

収入合算とは、その名の通り夫婦の収入を合算することです。合算した収入額で審査を受けることができますが、一般的に収入合算者は連帯保証人となることが条件となります。

 

たとえば、夫の年収が500万円・妻の年収が300万円の場合、合算した800万円をベースにローン審査を行います。

 

ペアローンとは、夫と妻それぞれが主たる債務者としてお互いが連帯保証人となりローンを組むことです。2人の借入額を合わせることで「1人でローンを組む場合」よりも大きな金額を借り入れることができる可能性があります。

 

2.3. 他社の借入をできるだけ完済する

金融機関が住宅ローンの仮審査を行う際には、他社からの借入状況などの「信用情報」をチェックします。他社からの借入があると返済比率が高まるうえに、返済能力に対する懸念を持たれてしまうため、審査が不利になります。

 

そのため、仮審査を申し込む際に他社からの借入がある場合、できれば完済した状態で行うのがベターです。

 

完済した記録があれば、「十分な返済能力がある」という証明にもなるため、住宅ローンの仮審査に通過する可能性が高まるでしょう。

 

2.4. 信用情報がきれいになってから改めて申し込む

もし、過去にクレジットカードの支払いを遅延させたなど、信用情報に傷を付ける行為をした経験がある方は、信用情報がきれいになってからローン審査に申し込むことをおすすめします

 

信用情報に傷が付いていると、当然のことながらお金を貸す立場にある金融機関からすると「信用がない」と判断をせざるを得ません。

 

実際に、多くの金融機関は住宅ローン審査の際に信用情報をチェックしているため、自身の信用情報に傷が付いている場合は要注意です

 

クレジットカードの返済遅延はもちろん、カードローンの返済に遅れた場合も、審査で不利となる点は知っておきましょう。

 

なお、信用情報は日本信用情報機構(JICC)、シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センターなどの機関で管理・登録されており、誰でも手数料を支払えば自分の信用情報をチェックできます。

 

延滞の状態が解消されてから、5年程度の期間が経過すれば信用情報はきれいになるため、不安がある方は本人開示を請求して自身の情報を確認してみてください。

3. 仮審査は通過!次の本審査が通らない原因は?

仮審査は通過!次の本審査が通らない理由は?
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

住宅ローンの審査は、仮審査と本審査の2段階構成になっています。仮審査に通過したあとに本審査で落ちてしまう可能性は低いものの、ゼロではありません。

 

3.1. 仮審査と本審査は審査の内容や方法が違う

住宅ローンの仮審査と本審査は、審査内容や審査方法が異なります。そのため、それぞれの審査の違いや特徴を把握しておくことが大切です。

 

3.1.1. 仮審査は簡易であり、本審査は保証会社による精査もある

住宅ローンの仮審査は、あくまでも簡易的な審査に過ぎません。物件の売買契約を締結する前に実施し、住宅ローンを申し込んだ金融機関が審査を行います。

 

仮審査はあくまでも簡易的な審査なので、申し込んでから2~3日程度で結果がわかることが多く、スピードが早い点が特徴です。

 

一方で、本審査は物件の契約手続きと並行しながら行われ、審査をするのは金融機関と住宅ローンの保証会社です。

 

なお、保証会社とは、ローン契約者が返済できない状況に陥った際に、契約者に代わって金融機関にローンの残債を支払うという役割を担っていることから、仮審査よりも審査が厳しく行われます。

 

また、本審査は結果が出るまでに2~4週間程度かかることが一般的なので、仮審査よりも時間がかかる点も知っておきましょう。

 

3.1.2. 物件の担保価値のチェックが行われる

住宅ローンを組む際には、購入する土地や建物を担保として提供することになります。もしローン契約者がローンの返済ができなくなった場合は、土地や建物を売却してローンの残債に充てることになるため、保証会社は物件の担保価値をチェックします。

 

なお、土地や建物の購入額がそのまま担保評価額となるわけではなく、金融機関の定める評価基準によって物件価値が決められるため、購入価格に比べて担保価値が低いというケースは多々あります

 

もし物件の担保価値が借入希望額に対して低い場合は、本審査に通らなくなってしまいます。

 

3.2. 本審査時の情報が仮審査の内容と異なるのはNG

仮審査に通過したあとに、本審査での自身の情報が事前申告と異なる場合、審査に影響が出る可能性があります。

 

たとえば、仮審査通過後にカードローンなどの新たな借入を行った場合や、勤務先が変わった場合は、当然のことながら審査に大きな影響が出ます

 

年収に大きく影響を及ぼす変化や、信用情報に変動が起こるような行為を行っていると、仮審査通過後でも本審査に通過できなくなる可能性があります。

 

事前審査に通過したからといって安心せず、状況を極力変えないことが重要です。

4. 住宅ローンの審査に通らないときに試したい4つの最終手段

住宅ローンの審査に通らないときに試したい4つの最終手段
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

いくら対策を行ったとしても、残念ながら住宅ローンの審査に通らないことはあります。もし住宅ローンの審査に通過できずに困っている場合は、下記の対策を行ってみてください。

 

4.1. 返済能力を裏付ける追加書類を提出する

金融機関にとって最も避けたいのは、返済ができずにローンが貸し倒れになってしまうことです。

 

もし転職して間もないタイミングで勤続年数が短い場合などは、職務経歴書などの返済能力の裏付けとなる書類を追加で提出するとよいでしょう。

 

ほかにも、収入や資産を証明する書類として納税証明書や預金残高証明書が挙げられるため、必要に応じて提出することで、審査に通過する可能性を高めることができます。

 

4.2. 事業計画書を提出する

個人事業主やフリーランスの方は、会社員よりも収入のブレが大きいです。そのため、金融機関側から「信用力が不十分」と評価されてしまうこともあります。

 

そこで、安定した収入を得られる見込みを証明する追加書類として、事業計画書を提出する方法があります。個人事業主やフリーランスでも安定した返済能力があることを証明できれば、住宅ローンの審査に通過できる可能性は高まるため、実践する価値はあるでしょう。

 

4.3. 住宅ローンの斡旋業者を変更する

不動産業界には、住宅ローンに強い斡旋業者がいます。そのため、住宅ローンに強い斡旋業者を利用することで、審査に通過する可能性を高めることができます

 

住宅ローン審査が通るか微妙な場合、斡旋業者や営業マンの腕次第で、結果がよい方向に進むこともあります。

 

経験と知識が豊富な斡旋業者や営業マンの場合、住宅ローンの審査に通りやすい金融機関の情報にも精通しているため、斡旋業者を変更することも検討しましょう。

 

4.4. プロパーローンの利用を検討する

プロパーローンとは、保証会社を通さずに金融機関が自社でリスクを引き受け、ローンを組む商品です。すべての金融機関がプロパーローンを取り扱っているわけではありませんが、プロパーローンであれば金融機関の独自基準をクリアできれば、ローンを組むことができます。

 

金融機関の審査基準は保証会社の審査基準とは異なる独自のものですので、審査に通過できる可能性が高まる場合もあるでしょう。

 

なお、多くのプロパーローンでは、保証人や連帯保証人を立てることが条件となっているものが多いため、事前に確認しておきましょう。

5. 住宅ローンの審査に関するQ&A

住宅ローンの審査に関するQ&A
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

最後に、住宅ローンの審査に関するよくある質問と、その回答を紹介していきます。多くの人が疑問に感じているポイントなので、参考にしてください。

 

Q1. ブラックリストに載ると審査に通らないというのは本当か?

クレジットカードやカードローンの返済が遅延した場合や、債務整理などを受けて信用情報機関に「個人信用情報」に登録されると「ブラックリストに載る」ことになります。

 

ブラックリストになっている状態は、いわゆる「信用力が著しく低下している」状態なので、住宅ローンの審査に通るのは困難といわれています。

 

先述したように、登録された信用情報が抹消されるまでには、ローンの完済から起算して約5年程度(自己破産の場合は最大10年程度)の期間を待つ必要があります。もしカードの延滞などを起こした際には、ブラックリストから自身の情報が抹消されるまで待つしかありません。

 

Q2. 住宅ローンの審査に通りやすい金融機関や商品はあるか?

下記の金融機関や商品は、比較的住宅ローンの審査に通りやすいといわれています。

 

  • 地方銀行
  • 住宅金融支援機構のフラット35
  • ノンバンク

 

地方銀行とは、地域に根ざして金融サービスを行っているため、メガバンクよりも柔軟にローンの審査を行ってくれる傾向にあります

 

地方銀行の口座を長期にわたって利用していると「優良顧客」と見なしてくれることもあるため、好印象を持ってもらえるメリットも期待できます。

 

フラット35は、住宅金融支援機構が審査を行っているサービスで、金融機関とは異なることから、審査基準が緩い傾向にあります

 

ノンバンクとは、融資業務だけを行う金融機関です。融資業務に特化しているため、柔軟な審査を行ってくれる傾向があります。しかし、その代わりに金利はかなり高く設定されています。

 

Q3. 住宅ローンの審査に落ちたらすぐに次を申し込める?

住宅ローンの審査に落ちてしまったとしても、金融機関は明確な理由を教えてくれません。審査に落ちたあとに、期間を空けずに立て続けに申し込んでも、残念ながら審査に通る可能性は低いでしょう

 

したがって、再度住宅ローンを申し込む際には「なぜ審査に落ちたのか」を自分で分析したうえで、その原因に対する有効な対策を施してから申し込む必要があります。

まとめ

住宅ローンの審査に落ちてしまう理由や、再び審査落ちすることを防ぐ方法などを解説してきました。

 

審査に落ちてしまっても、金融機関が理由を教えてくれない以上、 自分自身で問題を分析する必要があります。住宅ローンの審査に通過する可能性を高められる方法はいくつかあるため、ローンの申し込みを検討している方は、申し込み前に各種対策を実践してみてください。

 

審査に落ちる理由や対処法を把握し、住宅ローンの審査に通過できるようにしましょう。