年金だけでは生活費は足りず…100人に1人は無年金の高齢者
裁判所の「司法統計月報(速報値)令和4年度8月度」によると、全地裁で新たに受理された破産事件は5,611件。1月からの累計は4万5,495件で、前年同時期比94.7%で推移しています。8月の破産件数のうち、自己破産は5,585件。そのうち個人の自己破産は5,153件。都道府県別にみていくと最も多いのが「東京都」で610件。「大阪府」「神奈川県」「埼玉県」「北海道」と続きます。人口10万人あたりの自己破産件数は全国平均4.08件ですが、都道府県別にみると、最も多いのが「大分県」で人口10万人あたり6.05件。「北海道」5.64件、「鹿児島県」5.41件、「大阪府」5.15件、「秋田県」5.10件と続きます。
自己破産は、財産や収入が不足し、借金返済の見込みがないこと(=支払不能)を裁判所で認めてもらい、借金の支払い義務を免除してもらう(=免責)手続きのこと。特別な債務を除き、借金の支払い義務がなくなるので、生活を立て直すのに有利になります。ただし、生活に不可欠な財産は処分されませんが、高価な財産を処分しなければなりません。
一方、破産でよく語られるのが「老後破産」。これは現役を引退し、年金生活になった際に、破産状態に追い込まれることを指します。日本弁護士連合協会、消費者問題対策委員会による『2020年破産事件及び個人再生事件記録調査』によると、60歳以上の自己破産者は全体の25%超。また70歳以上はおよそ10%となっています。
老後破産に追い込まれるのは、どのような人なのでしょうか。まず考えられるのが、老後生活の糧となる年金収入の低い人。厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金受給者の平均受取額は月額5万6,358円、厚生年金受給者の平均受取額月額14万6,145円。
もちろんこれは平均値。厚生年金を受け取ることのできる元会社員でも、年金が10万円に満たない人は23%と、5人に1人以上もいます。また厚生労働省『令和3年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』によると、無年金の人は全国に52万1,803人。65歳以上人口は3,600万人ほどですから、「年金なし」の人は高齢者の1.44%。100人の高齢者がいたら、1人以上はいる計算です。