日本の長引く低金利と海外の金利上昇を背景に「外貨建て保険」の販売が急増しています。なかでも「米ドル建て終身保険」への加入を検討する人は多いそうです。本記事では「米ドル建て終身保険」含め、外貨建て保険に加入する際に注意すべきデメリットをサンモールFP事務所代表の辰田光司氏が解説します。
いま「米ドル建て終身保険」が人気だが…加入時に注意すべきデメリット【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

急増する「外貨建て保険」の販売…加入すべき?

先日、40代前半のお客様からご相談をお受けした際、このようなことを聞かれました。

 

保険ショップに行ったら、"米ドル建て終身保険"のパンフレットを渡されて、 「アメリカの金利が上昇しているので、おすすめですよ!」といわれました。 実際、金利も魅力的にみえますが、どうなのでしょうか?

 

最近は、海外の金利上昇を背景に、「外貨建て保険」の販売が急増しているようです。 米ドルで運用する「外貨建て保険」は、多くの商品の積立利率が年3%以上になっており、とても魅力的な商品に映るでしょう。逆に日本はといえば、日本銀行の金融政策もあり、現在も低金利が続いています。このような背景もあり、保険会社などが積極的に「外貨建て保険」をすすめやすい状況となっています。これは、少なくとも日本と海外(特にアメリカ)の金利差が縮小に向かうまでは続くのではないかと考えます。

「保険」が大好きな日本人

「日本人は保険好きな国民」、とよく耳にします。 生命保険文化センターによると、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.8%、世帯の年間払込保険料の平均は年間37.1万円(月額約3万1,000円)なのだそうです(出所:令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」(速報版))。

 

生命保険の契約は「超長期」におよぶことが多いものです。30年、40年、あるいはそれ以上の期間、保険料を支払うこともあるでしょう。そして、仮に年間37.1万円の保険料を30年支払うと約1,100万円、40年だと約1,500万円になります。そう考えますと、保険に加入をしたり、見直しをする際には、 「保険会社にすすめられた保険」に加入するのではなく、 「ご自身にとって本当に必要な保障」のみを、できるだけ安く確保することが重要と、私は考えています。

「外貨建て終身保険」は「貯蓄型保険」の一種だが…

「外貨建て保険」の話題に戻ります。これも先日、60代のお客様と雑談をしていたときに、たまたま「外貨建て保険」の話題になりました。このお客様は「外貨建て保険」の仕組みをご存じなかったためご説明をしたところ、「そうなの!?」と、大変驚いていました。 驚かれた理由は、「外貨建て保険」は、 元本(正確には「円建ての元本」)が、保証されない可能性があるということです。

 

貯蓄型保険(たとえば「終身保険」や「養老保険」)の保険金は、元本保証されるのが当たり前と考えている方は多いですし、そのことが、さまざまな金融商品のなかから貯蓄型保険が選ばれる大きな理由となっています。このお客様が驚かれたのも、無理はないでしょう。