会社員と比べ厚生年金に加入できない分、自営業者やフリーランスの国民年金の支給額は少なくなります。そのような不安に対し、「2年でもとが取れる」老後資金を確実に増やす方法をサンモールFP事務所代表の辰田光司氏が解説します。
年金月13万円「年金だけじゃキツい」…自営業夫婦「2年でもとが取れる」老後資金の確実な増やし方【CFPの解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

40代自営業夫婦に支給される国民年金の額は?

自営業をされている40代のご夫婦から、家計相談をお受けしました。

 

「老後の年金は、夫婦でいくらもらえますか? 生活していけますか?」

 

お2人の「ねんきん定期便」を拝見し、概算額を計算してお答えしたところ、お2人とも深いため息をつかれ、しばしの沈黙が……。

 

自営業者やフリーランス(以下、自営業者等)は厚生年金に加入できませんので、支給される公的年金は国民年金のみとなります。その額は、20歳から60歳までの40年間すべての保険料を納めても、777,800円(令和4年度の額)。月額にすると6万5,000円弱。夫婦2人分で13万円弱です。

 

国(総務省)は、国民の家計収支などの実態を把握するため「家計調査」を毎月行っていますが、これによると65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、非消費支出(税金や社会保険料)を含めた支出額は月額約25万5000円(2021年)です。また、公益財団法人生命保険文化センターが2019年度に行った「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で生活するうえで「ゆとりある老後生活費」として考える額の平均は、月額36万1000円でした。

 

これらの額は平均値であり、実際にかかる生活費は1人ひとり異なりますが、これでは老後の生活が厳しいことは間違いないでしょう。自営業者等は、まさに「自助努力」で、老後資金を捻出する必要があると考えます。

自営業者にとってお得な「付加年金」制度

ここで、ぜひお勧めしたい制度を紹介します。国民年金には、「付加年金」という制度があることをご存じでしょうか。これは、国民年金保険料に月額400円を加算して納めることで、年金受給時に「200円×付加年金の支払月数」の金額が毎年加算される制度です。

 

たとえば、20歳から60歳までの40年間(480か月)付加保険料を納めた場合、

 

・付加保険料400円×480ヵ月=192,000円
・付加年金額200円×480ヵ月=96,000円(年額)

 

となり、老齢基礎年金に毎年96,000円(月額8,000円)が加算されます。

 

付加年金の主なメリットとデメリットとして、

 

【メリット】
・必ず「2年でもとが取れる」(※)

 

【デメリット】
・66歳以前に亡くなった場合(※)、支払保険料と年金受取額の差額分が損となる
・インフレ(物価上昇)リスクに対応できない(付加年金は定額であるため)

 

※65歳から年金を受け取る場合

 

がありますが、私はメリットのほうが明らかに上回る「お得な制度」と考えます。

 

なお、年金の受給開始を繰り上げたり繰り下げたりした場合には、付加年金も、年金の増減額率に応じて増減します。また、国民年金基金の加入者は付加年金に加入できません(基金の1口目の給付に、付加年金相当が含まれているためです)。