子どもの教育費に、住宅ローンに……現役世代の人たちを悩ませる、お金の問題。引退するころには不安もなくなるかといえば、そうではなく、反対に心配は大きくなるばかり。自由を満喫してきた単身者であれば、老後不安は大きなものになるでしょう。さらに頼りの年金も期待できない、低年金者であれば、その不安は計り知れません。みていきましょう。
年金月10万円…元会社員・低年金の単身高齢者、要介護の絶体絶命に「もう、生きていけない」 (※写真はイメージです/PIXTA)

70代でも毎日が不安です…お金の不安は老後も続く

結婚をしていない、いわゆる「おひとり様」は増加傾向にあります。2020年「生涯未婚率」は「男性」で28.3%、女性で17.8%。生涯未婚率は「45~49歳」と「50~54歳」未婚率の平均値から、50歳時点での結婚したことがない人の割合を算出したものなので、その後、パートナーを見つけるパターンもありますが、日本人男性の4人に1人は、生涯独身であろうとされています。

 

既婚者にとって、独身という身軽な状態はある意味、羨ましくありますが、おひとり様で心配されるのは、やはり老後。収入も年金だけと限られてくるでしょうし、健康的な不安も年を重ねるごとに大きくなっていきます。そんなとき、パートナーがいるかいないかは、大きな差となるでしょう。

 

そんな不安のために、十分な蓄えがあれば安心ですが、いまどきのおひとり様はどれほどの余裕があるのでしょうか。

 

金融広報中央委員会『令和3年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]』によると、単身世帯の「金融資産保有額(金融資産保有世帯)」は平均1,614万円。年齢別にみていくと、40代で1,000万円に、60代では2,000万円に達します。ただ平均値は一部の人が大きく数値をあげることがあるので、中央値もみてみると、単身世帯平均では500万円。60代で1,000万円強ほど蓄えている、というのが、「おひとり様のちょうど真ん中」となります。

 

【単身世帯の貯蓄額の平均値と中央値】

20代:302万円/100万円

30代:965万円/294万円

40代:1,294万円/440万円

50代:1,675万円/675万円

60代:2,645万円/1,180万円

70代:2,396万円/1,380万円

 

出所:金融広報中央委員会『令和3年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]』

※数値は金融資産保有世帯の貯蓄額で非保有世帯は含めない。数値左は平均値で、右は中央値

 

老後の生活、つまり今現在の生活については、「心配である(「多少心配である」「非常に心配である」の合計)」が60代で73.7%。高齢者になってまだ日が浅く、漠然とした不安を抱えているのでしょうか。その割合は70代で53.0%と、「こんなものか……」という人が増えるからでしょうか、どの年代よりも低水準です。一方で、70代にしてまだ生活に不安がある人が過半数を超えるとなると、やはり老後は不安に思えてきます。

 

老後を心配する理由……60代以降で最多は「十分な金融資産がないから」で60代で67.1%、70代で70.3%、「年金や保険が十分でないから」が60代で65.2%、70代で63.6%と、高い不安を抱えています。一方で、「物価上昇」に対しては60代で18.1%、70代で26.8%と、年を重ねると増加。「貯蓄などの準備不足」は60代で31.7%、70代で25.1%と、年齢を重ねると減少していきます。年を重ねるごとに、「不安の種」は変化していくようです。