アメリカ不動産の情報を調べたり、記事を読んだりしていると、馴染みのない用語を目にすることがよくあります。それらの用語を検索してみても、いまいち要領を得ない、ということがあります。今回、焦点を当てるのは「Fixer Upper(フィクサーアッパー)」。これは修繕(Fix)によってグレードアップしないと住めない物件のこと。詳しくみていきましょう。

「ボロ屋敷」に近いレベルの家もあるFixer Upper

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「Fixer Upper」は修繕が必要な住宅のことで、地域によっては「TLC(Tender Loving Care:繊細に扱う必要あり)」と呼ばれることも。乱暴な言い方をするといわゆる「ボロ屋敷」と言っても差し支えないかもしれませんが、中古物件市場が発達しており、かつDIY好きが多いアメリカではFixer Upper物件は多く出回っています。

 

未修繕の状態で引き渡しする物件のことを「As is」とも言いますが、Fixer Upperはそのなかでも特に損傷が激しいものを指します。例えば、壁紙が剥がれていたり、天井に穴が空いていたり、屋根や床が大きくたわんでいたりと、人がしばらく住んでおらず荒れてしまった空き家がイメージとして近いかもしれません。

 

アメリカでは過去に同名のテレビ番組『Fixer Upper』が放映されていました。設計士と大工の夫婦が廃墟のような住宅をリフォームしていく様子を追いかけたドキュメンタリーで、シーズン5まで制作されるほど人気があった番組です。Fixer Upper物件がどれくらい傷んでいるのか想像がつきにくいという人は、この番組を見れば損傷のレベルがわかるかもしれません。

「低コスト」が買い手と売り手双方のメリットに

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買い手にとってのFixer Upper物件のメリットは、なんといっても購入費用が安いこと。同都市の「Turn Key(ターンキー:修繕の必要ない家。鍵を回すだけでそのまま住みはじめられることから)」物件に比べ、Fixer Upper物件は20〜25%ほど安く値付けされることが多いとされています。

 

近年、Turn Key物件の価格が急騰していますが、Fixer Upper物件の価格は値上がりもゆるやかなため、その価格差はさらに広がっています。なかには50%以上の価格差がある都市もあり、ネブラスカ州オマハに至っては65%ほども安くなっているようです。

 

もちろん、購入後に修繕費用がかかるため、コスト感を総合的に判断する必要はありますが、ほとんどの場合Fixer Upper物件を購入するほうが、コストは少なく済むケースが多いと言えるでしょう。

 

一方、売り手にとっても修繕費用がかからない点が最大のメリットとなっています。販売のためにコストをかけて修繕したものの、買い手が見つからなかった場合、売り手側は赤字になってしまいますが、Fixer Upperとして販売すればそうしたリスクはありません。また、単純にさまざまな“手間”を減らせる点も、売り手にとっては魅力的です。不動産販売が本業でない人にとって、修繕や清掃は、自分で行う場合も業者を手配する場合でも一苦労。「そうした手間が不要になるのであれば、多少売値が下がってもいい」と考える人は少なくないようです。

 

このような特徴から、Fixer Upperは買い手と売り手、双方にとって金銭的負担を抑えることがメリットな販売形態だと言えるでしょう。

Fixer Upperは玄人向きの物件?

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Fixer Upperを好んで購入するのは、不動産会社や玄人投資家に多いとされており、彼らはしばしば、購入した不動産を自分では使用したり貸したりせず、すぐに売却して稼ぐ「Flipping(フリッピング)」という手法を取ります。Flippingのキモは、安く買って高く売ることにあります。Turn Keyの物件を安く買うのは難しいため、Fixer Upperの物件を安く購入し、修繕して付加価値のあるTurn Key物件として売るのです。

 

不動産の需要を把握しており、修繕業者のネットワークも豊富に持つプロは“ちょうど良い”レベルの修繕も得意なため、住宅購入者たちのニーズを満たしつつ、修繕コストを抑えて仕上げることも容易です。一方、経験や不動産知識に乏しい人の場合、コストを削るあまり修繕が甘くなって買い手が付かなかったり、オーバースペックの修繕で利益を出せなかったりといった事態にも陥りがちです。

 

このようにFixer Upperを活用した不動産投資はどちらかというと玄人向けではありますが、うまくいけば短期間で大きなリターンを見込めるため、初心者の方も知識として頭に入れておくとよいでしょう。

本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。