2年もの国債利回りが15年ぶりの高値
9月23日、アメリカの2年物国債利回りは15年ぶりの高値となる4.266%に上昇しました。10年物国債も同様に上昇し、11年ぶりの高値となる 3.829% に達しました。
この急上昇は、FRBによるさらなる利上げの影響を反映したものです。通常、金利が上昇すると債券価格は下落します。また、債券利回りは債券価格と反比例します。つまり、利上げが行われると、債券利回りが上昇するのは定石通りで、それ自体は驚くべきことではありません。
ただし、2年ものの利回りが10年もののそれを大きく上回っている点には注意が必要です。通常、債権の利回りは償却期間が長いものほど利回りが良くなります。そのため、債券商品を2年もの、10年もの、30年ものと、償却期間の短い順に並べて利回りを比較するグラフ(イールドカーブ)を描いた場合、右肩上がりの曲線になるのが一般的です。しかし現在、2年ものの利回りが10年ものを上回る「逆イールドカーブ」状態に陥っています。
高まる米国経済の先行きへの不安感
この「逆イールドカーブ」は、景気後退への市場の警戒感が高まった際に発生すると言われています。金融緩和によりコロナショックをいち早く脱した米国経済ですが、度重なる利上げによりその勢いがストップしてしまいました。特に、グロース銘柄と呼ばれる、設備・人材への投資を重ねて急成長を遂げていた企業群は、借り入れ金利の上昇とともに投資の手を緩めざるを得ず、成長に陰りが見えます。
ファイブシーズンズ・ファイナンシャル・プランニング社の代表認定ファイナンシャルプランナーのポール・ウィンターは「債券利回りが高くなると、株式市場に投資される可能性のあった資金が債券に流れることで競争が激しくなる」とし、米国株式市場にとって好ましくない状況であると説明しています。
こうした不安定な市場環境化では、ボラティリティの高い資産の割合を高めないことが重要です。安定性の高い資産、つまり債券やバリュー銘柄、そして不動産などへの持ち替えもご検討ください。