介護が必要になったら「施設で暮らす」を望む人が半数
現役を引退したら、どこでどんな生活をするかイメージできているでしょうか。田舎に帰って自然のなかで暮らす、海外へ移住する、子どもと同居する、いまの家で生涯過ごすなど、人それぞれの考えがあるかと思います。
厚生労働省が2018年に公開した『高齢期における社会保障に関する意識調査報告書(調査元:平成30年国民生活基礎調査/対象20歳以上)』によると、「年をとって配偶者がいなくなり1人となったときに、自宅(これまで住み続けた自宅、子どもの家への転居を含む)で過ごしたい」と答えた人が64.7%にのぼりました。
一方で「介護を必要とする状態となった場合」に「自宅に住み続けること」を望む人はわずか14.7%。対して「特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設」や「高齢者のための住宅」と回答した人は49.3%でした。
半数近くの人が、見守りや介護が保証された場所で暮らしたいと考えていることがわかりました。現場での実態も85歳前後で入居する人がもっとも多い印象です。
夫婦で早期に入居するケースも増えてきている
「元気なうちは自宅で、体がつらくなったら施設に入ればいい」というのは、家族に迷惑をかけずに終末期を過ごしたいと考えるからでしょう。しかし、この方法をとると、自分の入りたい施設を選ぶことは難しく、家族が探してきた、そしてたまたま空いていた施設に入らなければならないケースが多くなります。
実際、これまで悠々自適で暮らしてきた人が、いきなり知らない施設に入居した結果、「人生の最後の場所を自分で決めておくべきだった」と語るケースは少なくありません。
お金を出せば解決できると思われるかもしれませんが、エグゼクティブの選ぶ高級老人ホームは入居金が高額なところから埋まる傾向があり、理想の部屋を手に入れるのは簡単ではないのです。
最近は、すでに先見の明を持って終の棲家を考える人たちが、夫婦ともに元気なうちに老人ホームに入居する例が急速に増えてきています。ホームから仕事に通う人や、自宅も持ちながら週末だけホームでくつろぐ別荘のような使い方をしている人もいます。
また、安心した老後の暮らしが保障されることから、1人暮らしでも、お子さんがいない場合は早くからホームを決める傾向が高くなっています。
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