投資を始めてみたいけれど「損するのが怖い……」と感じている人もいるでしょう。確かに、投資は元本割れのリスクもありますが、銀行にお金を預けるよりも資産を増やせる可能性があります。
特にこれからの時代は、自分たちで老後資金を用意しなければいけないと言われています。この記事では、投資の必要性、金融商品の種類、リスクを減らして投資を行う方法について紹介します。
1. 投資とは?
まず、投資の必要性や利益を得る方法について説明します。
1.1. 投資の必要性
投資とは、利益を見込んで自己資金を投じることです。投資は、元本保証のものはなく、多かれ少なかれリスクがあります。しかし、メガバンクの普通預金利息が0.001%のいま、銀行預金は元本保証されていても資産を増やすことはできません。
また、厚生労働省の資料「平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」によると、日本人の給与は過去30年間横ばいです。
物価の上昇に伴い、給与が上がっている欧州とどんどん差がついているのが実情です。さらに少子高齢化の影響で、税金や社会保険料などが増えて手取りが減っています。だからこそ、私たちが資産を増やすには、投資をしてお金に働いてもらうことが大事なのです。
政府も、投資で得た利益が一定額まで非課税になる「NISA制度」を導入したり、高校生の金融教育を必修化したりするなど、投資の促進に力を入れています。
1.2. キャピタルゲインとインカムゲイン
投資により得られる利益は、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類です。
キャピタルゲインは、投資した商品の価格の上昇により得られる利益のことです。たとえば、1株1,000円の株を100株買ったとします。購入代金は合計10万円です。それが1,200円になったら、2万円の利益になります(税引前)。この値上がり益のことを、キャピタルゲインといいます。
一方、インカムゲインは、株の場合は配当金、投資信託の場合は分配金、不動産投資の場合は家賃収入など、商品を所有している間は自動的に入ってくる利益をいいます。
どちらの利益を得たいかにより、投資方法が異なります。そのため、投資で求めるものを明確にしてから投資を始めることをおすすめします。
2. 投資のメリット・デメリット
ここでは、投資のメリット・デメリットについてそれぞれ説明します。
2.1. 預金よりも高い利回りを得られることがある
金利が低い日本において、銀行預金の利息は微々たるものです。三菱UFJ銀行の普通預金の金利は0.001%です。
一方、投資を行うことで銀行預金より高い利回りを得られる可能性があります。
たとえば、投資信託で人気の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の過去1年間のトータルリターンは2022年8月24日時点で+14.46%です。足元ではS&P500が下落していますが、1年間保有している人は+14.46%という高いリターンを得ています。
2.2. 元本割れのリスクがある
投資商品は、リターンが期待できる一方で、値動きによって元本割れのリスクがあります。
インデックスファンドの場合は、指数が購入時より下落すれば、元本割れします。将来的に株価が上がれば、損失が減って利益が出る可能性がありますが、経済状況が大きく影響するので確実とはいえません。
投資では、このような元本割れリスクについても理解しておきましょう。
3. 金融商品の特徴は?
ここでは、7つの金融商品の特徴を説明します。
3.1. 株式投資
証券取引所を通じて、企業が発行している株式の取引を行います。購入時から株価が上がったときに売却するとキャピタルゲインが得られ、配当金がある企業に投資するとインカムゲインが得られます。
3.2. 投資信託
投資家から資産を集め、ファンドマネージャーが運用する商品です。基準価額が値上がりするとキャピタルゲインを得られます。なかには、分配金を得られる商品もあります。
3.3. 債券
国や企業が発行する債券を購入します。満期時には、元本が返還されるようになっています。国や企業が倒産しない限り元本が割れずに利息を得られるので、比較的安定した投資方法といえます。
3.4. 外貨預金
円高のときに外貨に交換し、円安になったタイミングで再び円に交換すると為替差益を得られます。また、金利が高い国の通貨を保有すれば、金利収入を得ることも可能です。
3.5. 不動産
銀行からお金を借りて物件を購入し、家賃収入を得る投資方法などがあります。メリットとして、実際に保有している資金より大きな金額で投資できる(=レバレッジ効果)点や、物件によっては毎月安定した家賃収入が見込める点などがあります。
3.6. 暗号資産
ビットコインやイーサリアムのような暗号資産を売買することでキャピタルゲインを狙います。また、暗号資産を貸し出して金利収入を得る「レンディング」という方法もあります。
3.7. ゴールド・プラチナなど
現物資産のゴールドやプラチナなどを売買して売却益を狙う方法です。市場がリスクオフの動きになると安全資産として買われ、価格が上がる傾向があります。
4. リスクを減らして投資する方法は?
最後に、リスクを減らして投資を行う方法について説明します。
4.1. リスクが少ない金融商品に投資する
元本割れのリスクを減らしたい場合、値動きが少なくリスクが少ない金融商品に投資をしましょう。
たとえば、株や投資信託は日々値動きがありますが、債券の場合は発行時に購入すれば日々の値動きがありません。債券は、発行時に購入して発行体が倒産しない限り、満期時には元本と利息を受け取ることができます。発行体の倒産リスクが少ない債券に投資すれば、元本割れのリスクを避けられるでしょう。
4.2. 投機的に投資しない
元本割れのリスクを避けたいのであれば、投機的な投資はNGです。
たとえば、暗号資産は値動きが大きいので、短期間でも数倍に資産を増やせる可能性があります。しかし、暗号資産の歴史は短いということもあり、値動きの分析がしにくいです。過去には、1日で価格が半分になってしまうこともありました。
4.3. 長期・分散・積立投資を行う
日本人の投資を促進するために、NISA制度(一般NISA・つみたてNISA)やiDeCo制度ができました。特に投資初心者には長期・分散・積立投資が可能なつみたてNISAやiDeCoでの運用がおすすめです。
つみたてNISAは、証券会社によっては月々100円からの少額投資が可能です。手元にある資金が少なくても、毎月コツコツ投資することで資産形成を始められます。また、長期で運用すれば複利の効果で雪だるま式に資産を増やすことも不可能ではありません。
5. まとめ
投資は、元本割れのリスクはあるものの、銀行に預金として預けるよりも資産を増やせる可能性があります。特に、日本では過去30年間給与が上がっておらず、労働だけで資産を増やすことは難しいです。
金融商品はたくさんあり、リスク範囲や得られるリターンが異なります。目的に合わせたものを選びましょう。