「人生100年時代」といわれる現代において、若いうちから資産形成に取り組むことは大切です。しかし「どれくらい貯金があれば、将来十分なのだろう」「毎月どれくらい貯金したらよいのかわからない」という人もいるでしょう。
この記事では、20代の平均貯金額や貯金額の目安などについて解説します。
1. 20代の平均貯金額
金融広報中央委員会の「令和3年(2021年)家計の金融行動に関する世論調査」では、年代別の金融資産額についての調査が行われました。下記の表は、20代の金融資産保有額の調査結果を「2人以上の世帯」と「単身世帯」別にまとめたものです。
2人以上の世帯の |
単身世帯の |
|
100万円未満 |
14.1% |
26.6% |
100~200万円未満 |
12.4% |
11.5% |
200~300万円未満 |
8.2% |
4.1% |
300~400万円未満 |
6.5% |
4.5% |
400~500万円未満 |
5.3% |
1.5% |
500~700万円未満 |
6.5% |
3.2% |
700~1,000万円未満 |
3.5% |
2.6% |
1,000~1,500万円未満 |
1.2% |
1.5% |
1,500~2,000万円未満 |
0.6% |
0.4% |
2,000~3,000万円未満 |
0.6% |
0.6% |
3,000万円以上 |
0.6% |
0.4% |
金融資産非保有 |
37.1% |
39.0% |
平均額 |
212万円 |
179万円 |
中央値 |
63万円 |
20万円 |
(参照:金融広報中央委員会「令和3年(2021年)家計の金融行動に関する世論調査」)
20代の平均貯金額は、2人以上の世帯が212万円、単身世帯が179万円となっており「思ったよりも多い」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、金額別の分布を見ると、金融資産をまったく持っていない人の割合が最も多くなっており、中央値を大きく引き下げる要因となっています。
2. 平均年収ごとの貯金額
金融中央広報委員会の同調査では、年収別による貯金額の調査も行われました。
年収 |
2人以上の世帯 |
単身世帯 |
300万円未満 |
801万円 |
722万円 |
300~500万円未満 |
1,151万円 |
1,035万円 |
500~750万円未満 |
1,407万円 |
1,834万円 |
750~1,000万円未満 |
1,789万円 |
4,639万円 |
1,000~1,200万円未満 |
2,361万円 |
6,528万円 |
1,200万円以上 |
5,379万円 |
8,690万円 |
(参照:金融広報中央委員会「令和3年(2021年)家計の金融行動に関する世論調査」)
「2人以上の世帯」「単身世帯」ともに年収が上がるほど貯金額も増加しており、貯蓄の多さは年収と比例していることがわかります。
ただし、上記の表は全世代共通の調査結果であるため、20代に限定して考えると、もう少し下振れした結果になると考えられます。
3. 20代の貯金額の目安
毎月貯金をするなかで、「給料のどれくらいを貯金に回せばよいかわからない」と感じている人もいるでしょう。
金融中央広報委員会の同調査では、手取り年収に対する貯蓄割合の調査も行われました。下記の表にその結果をまとめています。
手取り年収に対する |
2人以上の世帯 |
単身世帯 |
5%未満 |
6.5% |
5.6% |
5~10%未満 |
10.3% |
8.0% |
10~15%未満 |
13.1% |
11.7% |
15~20%未満 |
5.6% |
4.0% |
20~25%未満 |
15.0% |
11.4% |
25~30%未満 |
1.9% |
2.8% |
30~35%未満 |
8.4% |
7.1% |
35%以上 |
15.0% |
23.8% |
貯蓄しなかった |
24.3% |
25.6% |
平均 |
17.0% |
20.0% |
(参照:金融広報中央委員会「令和3年(2021年)家計の金融行動に関する世論調査」)
手取り収入からの貯蓄割合は、「2人以上の世帯」が17.0%、「単身世帯」が20.0%となっており、同調査では他の年代の結果と比較して最も高い数値が出ています。
この結果は、20代が他の世代に比べてまだ子供の教育資金がそれほどかからないなど、大きなお金が必要となるライフイベントを迎えていないことが影響していると考えられます。
もちろん収入から貯蓄へ回す割合は家族構成などによって異なるため、20代の平均値を参考にしつつ無理のない範囲で貯金額を設定することが大切です。
4. 貯蓄のために20代が取り組むべきこと
お金は自然に増えたり、貯まったりするものではありません。貯蓄のために取り組むべきことを4つ紹介します。
4.1. 収支の把握
計画的に貯金に取り組むためには、自分の収支をしっかりと把握する必要があります。毎月どれくらいの生活費がかかっているのか、無駄な出費はないかなどを家計簿につけながら確認しましょう。
最近ではアプリで手軽に家計簿が管理できるツールもあるため、そのようなサービスを利用するのもいいでしょう。
4.2. 先取り貯金
自分の収支を把握したら、毎月の貯金額を設定します。貯金をする際は、毎月の生活費の余りを貯金へ回すのではなく、「先取り貯金」であらかじめ貯金額を差し引いておきましょう。
たとえば「毎月3万円貯金する」と決めた場合、給与から先に3万円を他の口座へ移します。先取り貯金には、最初に貯金額を確保することで「今月は使いすぎて貯金ができなかった」ということを避けられるメリットがあります。
勤務先によっては、給与から貯蓄額を天引きしてくれる「財形貯蓄制度」を導入しているところもあります。給与から自動で貯蓄をしてくれる便利な制度なので、気になる方は一度会社に確認することをおすすめします。
4.3. NISA制度
NISA制度を活用した貯蓄も、20代の資産形成に有効な方法です。NISAは「少額投資非課税制度」といい、金融商品への投資で得た譲渡益や分配金に対する税金が非課税となる仕組みです。
NISA制度には「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、それぞれ非課税期間や非課税金額、対象の金融商品などが異なります。NISA口座は1人1口座しか作れないため、開設前にどちらが自分に合っているかよく検討しましょう。
また、金融商品への投資はリスクが伴います。貯蓄の全額を運用商品へ回すのではなく、先取り貯金など他の貯蓄方法と併せて利用するようにしましょう。
4.4. iDeCo
iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」と呼ばれる制度で、将来の年金を私的に準備するものです。毎月の掛金を投資信託などの金融商品で運用し、その成果を60歳以降に年金として受け取ります。
iDeCoは「掛金が全額所得控除となる」「運用益が非課税になる」「年金受取時にも控除が利用できる」など、税制上で優遇が受けられる点も大きな魅力です。
ただし、原則60歳まで引き出しができないため、住宅の購入資金や子供の教育資金に充てることはできません。あくまで老後の生活資金のためにある制度なので、毎月の掛金はよく検討して設定するようにしましょう。
5. まとめ
本記事では、20代の平均貯金額や貯金額の目安などを解説しました。これから多くのライフイベントを迎える20代は、早いうちから計画的に貯蓄に取り組むことが大切です。
その際は、まずは自分の収支をしっかりと把握したうえで先取り貯金やNISA制度、iDeCoなどを積極的に活用しましょう。それぞれ特徴が異なる貯蓄方法であるため、しっかり勉強して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。