「貯金1,000万円」と聞くと、ハードルが高いと感じる人も多いのではないでしょうか。しかし、毎月の貯金に加えて資産運用をすれば、貯金1,000万円というのは不可能な金額ではありません。
この記事では、1,000円万を貯める具体的な方法について解説します。
1. 貯金1,000万円の世帯の割合は?
現在1,000万円以上の金融資産を持っている人は、どの程度いるのでしょうか。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」によると、次のような結果が出ています。
■年代別の貯蓄額(単身世帯)
1,000万円以上の割合 |
平均貯蓄額 |
中央値 |
|
全体 |
23.5% |
1,062万円 |
100万円 |
20代 |
2.9% |
179万円 |
20万円 |
30代 |
10.9% |
606万円 |
56万円 |
40代 |
20.3% |
818万円 |
92万円 |
50代 |
24.2% |
1,067万円 |
130万円 |
60代 |
36.8% |
1,860万円 |
460万円 |
70代 |
45.9% |
1,786万円 |
800万円 |
出典:家計の金融行動に関する世論調査【単身世帯調査】(令和3年)
単身世帯では、全体の平均貯蓄額が1,062万円となっています。ただし、「平均値」は真ん中の値を示すものではありません。データの真ん中に位置する値を表すのは「中央値」なので、全体の中央値は100万円です。
貯蓄額が1,000万円以上の全体の割合が23.5%なので、約4人に1人は1,000万円以上の貯蓄があることになります。
しかし、これも年代によって大きく異なり、20代では2.9%、30代では10.9%となっています。一方、60代は36.8%、70代は45.9%が貯蓄1,000万円以上で、年齢が上がるほど貯蓄1,000万円以上の割合は増えていることがわかります。
■年代別の貯蓄額(2人以上世帯)
1,000万円以上の割合 |
平均貯蓄額 |
中央値 |
|
全体 |
34.4% |
1,563万円 |
450万円 |
20代 |
3.0% |
212万円 |
63万円 |
30代 |
17.5% |
752万円 |
238万円 |
40代 |
23.9% |
916万円 |
300万円 |
50代 |
33.2% |
1,386万円 |
400万円 |
60代 |
46.8% |
2,427万円 |
810万円 |
70代 |
50.3% |
2,209万円 |
1,000万円 |
出典:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)
2人以上世帯では、全体の34.4%が1,000万円以上の貯蓄を持っています。つまり、約3人に1人が1,000万円以上の金融資産を保有していることになります。
そして、60代では46.8%、70代では50.3%と、60代以上では約半数の世帯が1,000万円以上の金融資産を保有しており、平均貯蓄額も2,000万円を超えています。
このように、貯蓄額1,000万円に到達している割合は、20代~40代の割合は少なく、50代以降の年代になると増えているという結果になりました。全年代を平均してみると、割合は多くはないと言えます。
2. 貯蓄1,000万円を達成するための方法
現在お金がなくても、貯蓄1,000万円を目指して行動することが大切です。お金を貯めるには、「貯金する目的(ゴール)」と「貯金したお金を使う時期」を決め、そこから逆算して、毎月貯める金額を算出することがポイントです。
たとえば、3年後に100万円の資金が必要な場合、
100万円÷36ヵ月=約2.8万円
のように、単純計算で毎月2.8万円の貯金をすれば、3年後には100万円の貯金ができます。
それでは、貯金に回すお金をどのように確保するのかについて考えていきましょう。
2.1. 支出を管理する
まず、家計のバランスを把握し、生活費を見直すことが大切です。お金が貯まらない人の特徴として、現在の資産と負債のバランスを把握していないことが多いからです。
自分がいくら稼いで、いくら使っているのかがわからないと、お金を貯めることはできません。現在の家計の収入と支出を、大まかでもいいのでリストアップして管理するようにしてください。
その際、「先取り貯金」をすることをおすすめします。使わなかったお金を貯めるのでは、なかなかお金は貯まりません。生活費の口座とは別に貯金用の口座を作り、毎月の給料が入ったらすぐに一定額を貯金用の口座に預けるようにしましょう。
財形貯蓄のように、あらかじめ自動的に貯蓄できる制度を利用すると取り組みやすいです。ちなみに、財形貯蓄とは、会社の福利厚生の一環として、毎月の給与やボーナスから一定額が自動的に差し引かれ、貯蓄していく制度です。会社に財形貯蓄があれば、積極的に活用しましょう。
2.2. 無駄な出費を抑える
節約を長続きさせるためには、固定費のなかで無駄な出費がないかを見直しましょう。
固定費には、保険の見直しやプラン変更、通わなくなったスポーツジムの解約、サブスクリプションサービスの見直しなどがあります。これらは年単位で見ると大きな金額になるので、使っていないサービスがあれば解約も検討しましょう。
たとえば、スマートフォンをキャリアから格安SIMに変更するだけでも、月々数千円、年間にすると数万円のコストダウンにつながります。
2.3. 転職をする
今の会社よりも給与が高い会社に転職するのも一つの方法です。収入が増えた分を貯金に充てれば、今までの生活水準を変えずに貯金を増やすことも可能です。
しかし、転職した場合としない場合とで生涯年収を比較した際、同じ会社で長く働き続けたほうが転職するよりも多い場合もあります。そのため、収入アップを目的とした転職の場合は、直近の収入だけでなく、長い目で見たときの収入も考えて検討しましょう。
3. 貯金が少ない人は資産運用を始めてみよう
コツコツと貯金に励むだけでは目標貯金額1,000万円を達成するのは難しいので、投資にもチャレンジしましょう。
いろいろな考え方がありますが、一般的に「貯蓄」はコツコツとお金を貯めていくことであり、銀行預金が該当します。一方、「投資」とは、お金を中長期で運用して利益を生み出す資産形成のことで、株式や投資信託などの購入が該当します。
3.1. 投資信託
投資信託(ファンド)は、多くの投資家から集めたお金を大きなひとつの資金としてまとめ、投資の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などに投資して運用し、その成果を投資額に応じて投資家に分配する金融商品です。
投資信託の運用成績は、市場環境等によって変動します。投資信託を購入したあと、投資信託の運用がうまくいって利益を得ることもあれば、その反対に運用がうまくいかず、元本割れ(投資額を下回って損をすること)のリスクもあります。
このように、投資信託の運用によって得られた利益や損失は、投資額に応じてすべて投資家に帰属します。ただし、ネット証券を利用すれば100円から購入でき、幅広い銘柄に分散投資できるので、リスクを抑えた運用が可能です。
3.2. つみたてNISA
投資信託を購入するときは「つみたてNISA」の利用がおすすめです。
つみたてNISAは、2018年1月にスタートした少額投資非課税制度で、年間の非課税投資枠から得た分配金や譲渡益に税金がかかりません。非課税投資枠は年間40万円(月間約3.3万円)で、投資期間は最長20年です(最大800万円)。
つみたてNISAの対象商品は、安定した資産形成を目的とした長期・積立・分散投資に適した、以下の条件を満たす投資信託とETF(上場投資信託)に限られます。
- 信託期間が無期限または20年以上であること
- 信託報酬が低い
- 販売手数料がかからない
- 分配頻度が毎月ではない
なお、つみたてNISAのシミュレーションは、金融庁のサイトから行えます。年率3%で20年運用した場合、毎月の積立金額を3.1万円に設定することで、最終積立金額は10,177,362円となり、目標貯金額1,000万円を達成できます。
4. まとめ
1,000万円を貯めるには、10~20年といった時間がかかるのが通常です。そのため、「短期で貯めたい!」と焦るのではなく、まずは家計を見直し、余ったお金で無理のない投資を始めるようにしましょう。
投資をするときは、少額から始められる投資信託がおすすめです。そして、非課税制度のつみたてNISAを活用して、長期での資産形成を考えるようにしてください。