職場内の優位性を利用した「自らの権力や立場を利用した嫌がらせ」であるパワーハラスメント、いわゆるパワハラ。いまだにニュースになるなど、問題は根深いものがあります。その実態について、みていきましょう。
脅迫、名誉棄損、侮辱「40代サラリーマン」が一番の標的に…「パワハラ」凄惨な実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

3人に1人がハラスメント経験アリ…その多くがパワハラ

さらに日本労働組合総連合会『仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021』で、職場におけるパワハラの実態をみていきましょう。

 

職場でハラスメントを受けたことがある人の割合を見ると32.4%。意外に少ないと思われるかもしれませんが、27.6%が「パワハラ」を受けたと回答。ハラスメント被害そのものは3人に1人ではあるものの、そのほとんどがパワハラという驚きの事実があります。

 

またパワハラ被害を男女別・年代別に見ていくと、40代男性が40.0%と突出して多いのがひとつの特徴です。40代男性は、上司・先輩にとってすぐ下の同性というケースが多く、攻撃の対象になりやすい、ということがいえそうです。

 

【男女・年齢別「パワハラ被害」】

20代:22.4%/18.4%

30代:26.4%/27.2%

40代:40.0%/28.8%

50代:26.4%/31.2%

 

出所:日本労働組合総連合会『仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021』

※数値左より、男性、女性

 

受けたパワハラの内容を細かく見ていくと、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」が最も多く43.8%。「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」28.6%、「私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害」23.2%、「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求」22.5%と続きます。

 

いま多くの職場でハラスメントの相談先を用意していることが多くなりましたが、実際に相談したのは56.8%と半数強。多くは「相談しても無駄だと思ったから」66.4%と声さえあげずにいます。結果、「仕事のやる気がなくなった」56.8%、「心身に不調をきたした」24.1%、「仕事をやめた・変えた」22.5%と、プラスになることなどひとつもありません。

 

本人にも職場にも、大きな損失となる「パワハラ」。改正労働施策総合推進法、通称パワハラ防止法は、中小企業においても2022年4月から義務化され、具体的な防止策が求められています。時代錯誤な組織体質の撲滅となるか……注目されています。