株式投資をする際には、企業を分析するために様々な指標を確認します。そのなかでも「時価総額」は、会社の価値を測るために必ずチェックされる指標といってよいでしょう。
この記事では、時価総額についての基本的な情報や日本及び世界の時価総額ランキング、投資をする際にどのような目線で見ればよいのかを解説します。
1. 時価総額とは?
時価総額は、企業の価値と言われており、株式投資を行う際の指標のひとつにもなります。
時価総額の計算方法は、下記のとおりです。
「時価総額=株価×発行済み株式数」
たとえば、株価1,000円の会社が発行する株式数が50万枚の場合、この会社の時価総額は5億円となります。
2. 国内の時価総額ランキング
2022年7月26日時点の日本企業時価総額ランキングは、下記のとおりです。
順位 |
企業名 |
時価総額(円) |
1位 |
トヨタ自動車 |
35,436,152,763,120 |
2位 |
ソニーG |
14,824,016,335,655 |
3位 |
NTT |
14,049,787,092,624 |
4位 |
キーエンス |
13,157,535,704,400 |
5位 |
KDDI |
10,223,644,663,350 |
6位 |
ソフトバンクG |
9,860,464,196,790 |
7位 |
三菱UFJ |
9,851,255,780,504 |
8位 |
ファーストリテイリング |
8,444,523,754,160 |
9位 |
リクルート |
7,909,957,579,920 |
10位 |
任天堂 |
7,820,711,180,000 |
日本を代表する自動車メーカー「トヨタ自動車」の時価総額は、35兆円と圧倒的な時価総額の高さです。2位のソニーグループと比較すると、約20兆円の差があります。
いまや世界的なブランドとなったユニクロを運営するファーストリテイリング、世界中に熱狂的なファンがいるポケモンを生み出した任天堂がランクインしているのが印象的です。
3. 世界の時価総額ランキング
次に、2022年6月末時点での世界の時価総額ランキングを紹介します。
順位 |
企業 |
時価総額 |
国 |
1位 |
サウジアラムコ |
2.27兆ドル |
サウジアラビア |
2位 |
アップル |
2.21兆ドル |
アメリカ |
3位 |
マイクロソフト |
1.92兆ドル |
アメリカ |
4位 |
アルファベット |
1.44兆ドル |
アメリカ |
5位 |
アマゾン |
1.08兆ドル |
アメリカ |
6位 |
テスラ |
6,977億ドル |
アメリカ |
7位 |
バークシャー・ハサウェイ |
6,025億ドル |
アメリカ |
8位 |
ユナイテッドヘルス |
4,819億ドル |
アメリカ |
9位 |
ジョンソン&ジョンソン |
4,671億ドル |
アメリカ |
10位 |
テンセント |
4,460億ドル |
中国 |
11位 |
メタ・プラットフォームズ |
4,364億ドル |
アメリカ |
12位 |
台湾セミコンダクター |
4,239億ドル |
台湾 |
13位 |
ビザ |
4,167億ドル |
アメリカ |
14位 |
貴州茅台酒 |
3,835億ドル |
中国 |
15位 |
エヌビディア |
3,778億ドル |
アメリカ |
16位 |
エクソンモービル |
3,608億ドル |
アメリカ |
17位 |
P&G |
3,450億ドル |
アメリカ |
18位 |
ウォルマート |
3,333億ドル |
アメリカ |
19位 |
JPモルガン・チェース |
3,307億ドル |
アメリカ |
20位 |
ロシュ |
3,284億ドル |
スイス |
21位 |
ネスレ |
3,221億ドル |
スイス |
22位 |
アリババ |
3,168億ドル |
中国 |
23位 |
イーライリリー |
3,081億ドル |
アメリカ |
24位 |
マスターカード |
3,069億ドル |
アメリカ |
25位 |
LVMH モエヘネシー・ルイヴィトン |
3,065億ドル |
フランス |
26位 |
サムスン電子 |
2,978億ドル |
韓国 |
27位 |
ファイザー |
2,942億ドル |
アメリカ |
28位 |
シェブロン |
2,845億ドル |
アメリカ |
29位 |
ホーム・デポ |
2,819億ドル |
アメリカ |
30位 |
コカ・コーラ |
2,727億ドル |
アメリカ |
足元ではインフレ抑制のために欧州で利上げが行われており、株価は下落しています。そのため、2022年1月時点ではトップだったアップルの時価総額はサウジアラビアのサウジアラムコに抜かされてしまいました。
それでも上位30位にはアメリカの企業が21社ランクインしており、強さを伺うことができます。特に強いのは、「GAFAM」と呼ばれるIT企業のGoogle、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoftの5社です。この5社は、近年のアメリカ株高をけん引してきました。また、電気自動車メーカー「テスラ」の時価総額上昇も著しいです。
なお、日本企業のトップであるトヨタ自動車の時価総額ランキングは、39位という結果でした。
続いて、平成元年(1989年)の世界時価総額ランキングを紹介します。
順位 |
企業名 |
時価総額(億ドル) |
国名 |
1位 |
NTT |
1,639億ドル |
日本 |
2位 |
日本興業銀行 |
716億ドル |
日本 |
3位 |
住友銀行 |
696億ドル |
日本 |
4位 |
富士銀行 |
671億ドル |
日本 |
5位 |
第一勧業銀行 |
661億ドル |
日本 |
6位 |
IBM |
647億ドル |
アメリカ |
7位 |
三菱銀行 |
592億ドル |
日本 |
8位 |
エクソン |
550億ドル |
アメリカ |
9位 |
東京電力 |
545億ドル |
日本 |
10位 |
ロイヤル・ダッチ・シェル |
544億ドル |
イギリス |
11位 |
トヨタ自動車 |
542億ドル |
日本 |
12位 |
GE |
494億ドル |
アメリカ |
13位 |
三和銀行 |
493億ドル |
日本 |
14位 |
野村證券 |
444億ドル |
日本 |
15位 |
新日本製鐵 |
415億ドル |
日本 |
16位 |
AT&T |
381億ドル |
アメリカ |
17位 |
日立製作所 |
358億ドル |
日本 |
18位 |
松下電器 |
357億ドル |
日本 |
19位 |
フィリップ・モリス |
321億ドル |
アメリカ |
20位 |
東芝 |
309億ドル |
日本 |
21位 |
関西電力 |
309億ドル |
日本 |
22位 |
日本長期信用銀行 |
309億ドル |
日本 |
23位 |
東海銀行 |
305億ドル |
日本 |
24位 |
三井銀行 |
297億ドル |
日本 |
25位 |
メルク |
275億ドル |
アメリカ |
26位 |
日産自動車 |
270億ドル |
日本 |
27位 |
三菱重工業 |
267億ドル |
日本 |
28位 |
デュポン |
261億ドル |
アメリカ |
29位 |
GM |
253億ドル |
アメリカ |
30位 |
三菱信託銀行 |
247億ドル |
日本 |
1989年はバブルの絶頂期です。現在の世界時価総額ランキングのトップ30位に日本企業はひとつもありませんが、約33年前はトップを独占していたことがわかります。
バブル崩壊後、日本株は大きく下落し、一度も日経平均高値を更新していません。一方、アメリカはリーマンショックなどの影響を受けながらも、NYダウやS&P500など高値を更新し続けてきました。
不景気により株価を上げられていないことや海外が株高になったことにより、相対的に日本経済が弱くなっているといえます。
4. 投資するなら時価総額が大きい会社が安心?
時価総額が大きい会社は、投資をするかの判断基準から考えると、安心感があります。
たとえば、時価総額が大きい会社が倒産するようなことがあれば経済界に及ぼす影響が大きいので、国や銀行が助ける可能性が高いです。そのため、投資した会社の株価が無価値になるようなことはほとんどないでしょう。
しかし、時価総額上位の会社は、すでに成長している会社と考えることもできます。今から10倍の規模になるようなことは少ないと考えてよいでしょう。
そのため、安心して投資をしたい場合は時価総額上位の会社のなかから選ぶのもいいかもしれませんが、今後時価総額が何倍にもなる可能性がある銘柄に投資したい場合は、成長の観点から有望な企業を探すことをおすすめします。
5. まとめ
バブル絶頂期には世界時価総額ランキングで上位を占めていた日本企業でしたが、現在は上位にほとんど入っていません。アメリカではIT企業の躍進により株高が進みましたが、日本は世界の株高についていけていない状況です。
時価総額が大きい企業に投資するのは安心ですが、大きな利益を得ることに期待しにくいともいえます。投資に何を期待するかによって指標の見方が変わるので、まずはご自身が求めるものを明確にしてください。