生きている限り、払拭されることのない「老後不安」。生活を支える年金はいくらもらえるのか、さまざまな統計から平均値が出ていますが、そこには思わぬ落とし穴が……みていきましょう。
平均年金28万円だったが…65歳・高齢夫婦がもらえる「本当の受取額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

共働き夫婦の生活費「月22.5万円」だが…

夫婦共働きであれば月々28万円。総務省『家計調査』(2021年)によると、ともに無職の65歳以上夫婦の1ヵ月の消費支出は22万4,436円。月々5万円程度あまる計算です。

 

――共働きなら、1ヵ月に28万円……老後は余裕だな

 

そう思ったなら、少々残念な話をひとつ。この28万円。あくまでも給与でいうところの額面。給与名産を見て「こんなに天引きされているんだ!」とビックリしたことがあるでしょう。

 

公的年金のうち、障害年金と遺族年金は非課税。老齢年金は雑所得となり、課税の対象となります。課税の対象となるのは、65歳未満であれば108万円以上、65歳以上であれば158万円以上。以下の式で計算されます。

 

所得税=(年金額-社会保険料控除など各種控除)×5.105%(所得税率5%×復興特別所得税1.021)

※1円未満は切り捨て

 

国民年金だけを受給している場合は、課税されません。日本の平均的なサラリーマンであれば、実際は天引きされた年金額を受け取ることになるでしょう。

 

ちなみに公的年金等の受給額の合計額が400万円以下、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下、という2つの条件を満たせば、確定申告は不要です。どちらか一方を超える場合は、年金受給者であっても確定申告が必要になります。

 

前出の家計調査によると、消費支出22万4,436円に加え、実は所得税や住民税、健康保険料等の非消費支出が月々3万0,664円かかっています。合計で25.5万円ほどになる計算で、共働き夫婦の黒字額は月々2.5万円程度と、先ほどの半分になってしまいました。

 

意外にも年金に税金がかかる事実を知らない人は多く、初給与をもらったときのように「えっ、なんか年金が少ない!」と驚く人もいるのだとか。年金だけが頼りとなる高齢者にとっては、数千円でも惜しいもの。老後のマネープランが狂わないよう、本当の年金額はどれくらいになるのか、把握しておきたいものです。