発達障害の子ども、急増も氷山の一角に過ぎない
発達障害の子どもは、どれほどいるのか。さまざまな調査がされています。
2012年に文部科学省が教職員に対して行った調査では、発達障害の可能性があるとされた児童生徒は6.5%。1クラスに2人程度いる計算です。また米国政府の統計では、11%の子どもがADHDだとしています。どちらにせよ、発達障害ときちんと医師から診断を受けた割合ではないため、正確な数字は実は分かっていないのが現状です。
ちなみに2020年、全国の小学生は630万0,693人に対し、通級で指導を受ける児童は14万0,117で、全体の2.2%。ADHDは2万7,790人で、全体の0.44%でした。都道府県別にみていくと、児童数に対してADHDの子どもの割合が最も高いのが「岐阜県」で1.84%。一方で最も少ないのが「岩手県」で0.07%でした。
こうしてみていくと、2012年の文部科学省の調査や米国政府の調査に比べて、発達障害の子どもはずいぶんと少ない印象を受けるでしょう。
というのも、発達障害者支援法ができ、発達障害とされる人が急増していても、まだまだ理解が進んでいるとはいえず、医師の診断を受けるに至らない人が大勢います。また偏見も根強いため、医師への相談をためらう保護者も多いとされています。
徐々に理解が進んでいることから、これから発達障害と診断される子どもはさらに増えることでしょう。いま、発達障害と明らかになっているのは、まだまだ氷山の一角でしかないのです。
発達障害は幼い時に適切な治療を受けることが重要だとされ、また法律では発達障害は個人の問題ではなく、社会の問題とされています。理解が進み、偏見が無くなっていけば、発達障害の人たちも生きやすい社会になるはずです。