コストも低下し、使いやすさは格段に向上
AIが効力を発揮するには、データが必要となることが分かっていただけたと思います。しかしデータが活用できる状態で蓄積されていないというのが日本の問題でもあります。政府もそれに気づいており、2018年に発表された「DXレポート」では、部署ごとにデータ管理が分断されており、統合してデータを活用することがDXの原動力と訴えています。
もうひとつ足かせとなるのがAIにデータを学習させる環境です。AIは膨大なデータを読み込んで膨大な計算をします。それを支えるコンピューター能力つまり、スペックが高いハードウェア環境が求められ、それは高額なものでした。企業が単独で環境を構築するのはコスト面、技術面から非常に困難でした。
この2つのハードルも最近ではかなり低くなっています。AIの処理が改善され、少ないデータでも精度を出せるようになりました。また、クラウドサービスの普及により、高いコンピューター能力を持った環境を使った分だけ使用料を支払う環境も整備されてきました。また、大手企業がAIのプラットフォームを提供するサービスも続々と登場しています。
7年前、私はAIを活用したホームページ運営の効率化という構想は持っていたものの、AIのデータ量、環境構築という問題に直面しました。7年前の状況であれば、私はAIを活用した開発を断念していたと思います。しかし、現在ではAIを簡単に使える環境が整備されてきており、より少ない労力でAIの能力を活用することができるようになりました。そこで私は中小企業がより効率的にホームページの運営を行えるAIサービスの開発を決断しました。
開発の中でさまざまな苦労はあったものの、思ったよりもはるかにAIのハードルが下がっているというのが実感としてあります。中小企業にとっても数年後にはAIをビジネスで使いこなさないと、スピードに追い付けない状態になっているでしょう。簡単に導入できるツールを今から活用していくことは、将来に向けての準備として非常に重要だと私は思います。
浜野 耕一
株式会社コウズ
代表取締役