最大のネックである「人材不足」を解決する
中小企業が戦略的なホームページを運営するのに足かせとなるのが、予算と人材でしょう。予算はホームページの制作費を少なくして、改善にお金をかける方が効果は出やすいです。ホームページを小さく作って改善で成果を出していけば、例えば年間500万円の売上につながるホームページに年間100万円の改善の予算を確保することはそう難しいことではありません。
しかし、問題は人材の確保です。企業には必ずしもITやマーケティングに詳しい人材がいるわけではなく、兼任でホームページの担当者になっても、もともとの仕事に時間がとられてホームページは放置されてしまうと、成果すら出すことができません。
ホームページの改善は地道な作業です。効果が出るまでには最低でも1年はかかります。ホームページの現状を把握して、改善策を考案し、実際に改善して効果を検証するという作業の繰り返しです。専任の担当者を配置するのが望ましいのですが、社員の少ない企業ではそうした人材を確保するのも難しいことです。担当者もデータをこまめにメンテナンスし、ホームページの現状を把握するのも負担が重いのが現状です。
ホームページは将来必ず業績を牽引することができる基盤です。しかしそのためにはホームページを育てる必要があり、地道な作業が必要です。私は中小企業におけるこの矛盾を痛いほど感じており、導入作業を効率化できないかということをいつも考えていました。そこで一つの解決策として考えたのがAIの活用です。
AIは人工知能とも呼ばれます。明確な定義はないのですが、人間と同じような思考プロセスと同じような形で動作するプログラムといったような広い概念で理解されています。一般的にAIは大まかに「機械学習」と「汎用人工知能」の2つに分類されます。
AIと聞くと「何だかわからないけど難しそう」と敬遠する経営者も多いと思います。しかし、何だかわからないものではなく、普段からおそらく意識せずに使っている統計と同じと考えれば親近感もわいてきます。それほどAIは身近に活用できる存在です。
私が「AIでホームページ運営の課題を解決できないか」と考えたのは今から約7年前です。しかしその時、AIはまだまだ遠い存在でした。
ひとつはAIが学習するための膨大なデータが必要だったということです。AIはデータの量で精度が比例します。いくらAIで判断できたとしても精度が50%となると、実用化するのが難しくなります。必要なデータ数は求める結果にもよるのですが、1千万件とも、1億件ともいわれています。一般的にデータ量が多ければ多いほど精度が高まります。しかしはただ多ければよいというのではなく、AIが学習しやすいようにラベルをつけてあげる必要があります。膨大なデータに対して1件1件メンテナンスする必要があります。さらにAIが誤った判断をした場合は、訂正して間違っていることをAIに教えてあげなくてはいけません。