自社のホームページを作成しても、業者に管理運営を一任している会社がほとんどではないでしょうか。ホームページの立ち上げや、運営開始時に専門業者の力を借りるメリットは大きいですが、延々と「他社任せ」の状態にしていては、せっかくのホームページを本業のビジネスに有効活用することはできません。株式会社コウズ代表取締役の浜野耕一氏が専門家の目線で解説します。

企業のホームページ運用における日本とアメリカの差

アメリカではホームページの運用も活発で、日本とは比べ物になりません。中小企業でもホームページの専門部署があり、自社の戦略のもとで改善プロセスを行っています。アメリカの中小企業がホームページに力を入れる理由のひとつに、店舗だけでは商品が売れなくなっている現象が、日本よりも先行して起きているということです。

 

例えば流通・小売業界を席巻しているAmazon社は、もともとはオンライン書店でした。Amazon社は1995年の運用開始当初から100万タイトルを超える圧倒的な品揃えで「買えない本はない」と言われていました。その結果、大手書店チェーン「Borders(ボーダーズ)」が倒産したのは記憶に新しいところです。Amazonは買収を繰り返して取り扱い商品を拡大し、今では「誰でも知っているAmazon」になりました。本だけでなく、アパレルもビール・洋酒も日用品も、全てがインターネットでないと売れない時代に突入しているのです。

 

アメリカで起こっている現象が数年後に日本でも起こるという歴史が繰り返されているのを忘れてはいけません。Borders社が倒産したのが2011年のことですが、日本は違うと考えて、インターネットに力を入れていなかった企業は軒並み失速し、インターネットの販路を開拓した企業が成功しています。

 

私の知っているアメリカの企業は社員数十名の企業ですが、ホームページへの問い合わせが日に何十件、何百件と来ています。そして膨大な問い合わせを効率的にさばくために「MA(マーケティングオートメーション)」も取り組んでいます。

 

MAのツールを使うと見込み客の育成のプロセスの自動化が期待できます。例えば「カタログを送ってください」という依頼がホームページの問い合わせからありました。カタログを送り、数日後にウェビナーの招待メールを送ります。ウェビナーに参加してくれたら営業担当者からコンタクトを取ります。ウェビナーの招待に反応がなければ事例を紹介する資料を送ります。

 

このように、見込み客の興味・関心の段階に応じて、アプローチする作業を日本では手作業でやって疲弊もしくは人的リソースがなくてやっていないというケースがほとんどです。日本ではまだまだホームページの活用が進んでいないため、問い合わせ件数も少なく、MAツールを入れるには費用対効果が見合わないためです。

 

しかしあと数年もしたら日本もアメリカと同じように、ホームページがなければ事業が立ち行かない時代がやってくるはずです。

 

 

浜野 耕一

株式会社コウズ

代表取締役

 

※令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成