「デジタルのことはよくわからない。自社のHP作成はプロへ一任したい」…そのように考える経営者は数多くいます。しかし、大切なHP制作を人任せにしては、せっかくの経営改善のチャンスは掴めません。デジタルに苦手意識があっても大丈夫です。自社HP上の顧客の流れを自分の目でとらえた経営者は、きっと深い感動を覚えることでしょう。株式会社コウズ代表取締役の浜野耕一氏が解説します。

HP運営を変えれば、業績も「明らかに変わる」

アメリカでは中小企業でもホームページの専門部署があるケースも多いですが、日本ではまだまだホームページを十分に活用できていません。しかし、ホームページで業績を伸ばした企業は少なからず存在します。その一例をご紹介します。

 

◆アフターサポートで顧客接点を作り、関係を深める

あるボイラーメーカーでは、アフターサービスの業務プロセスに課題がありました。ボイラーは1回販売すると、定期的なメンテナンスが必要になります。今までは営業担当者が顧客のボイラー点検が必要な時期をチェックして顧客に連絡し、点検可能な日程を調整していました。この一連の作業が非常に煩雑で顧客数も膨大だったため、営業担当者に負荷がかかっていました。メンテナンスが必要な時期に連絡がもれたという人的ミスも頻発し、顧客からのクレームも増えていました。

 

そこで制作会社と営業担当者を交えて話し合った結果、ホームページに顧客専用のマイページを用意することになりました。メンテナンスが必要な時期になると自動でメールが送信され、顧客は都合の良い日をマイページから予約できる仕組みです。この仕組みにより営業担当者は煩雑な作業から解放され、連絡もれもなくなりました。顧客にとっても都合の良い日をすぐに予約できるようになり、利便性が向上しました。

 

この事例では生産性向上や人的ミスの軽減はもちろんですが、顧客接点の強化につながったのが大きなポイントです。マイページを作って必要な時期に必要な情報を顧客に提供することで顧客満足度が向上し、売上が前年比1.5倍に増加しました。

 

◆ホームページの自社運営を実現

「制作会社に頼らずホームページを運営するのは現実的でない」と考える経営者が多いかもしれません。しかし実際に私が支援した企業では、最初はホームページについて右も左もわからない状態でしたが、今では私の手を離れて自社で運営しています。

 

この企業の経営者とはホームページリニューアルの商談で初めてお会いしました。「これからのホームページは企業の経営基盤になる」という私の話に共感した経営者は、さっそく社内にホームページ運営のチームを作りました。担当者は事務職と兼任でITの知識はまったくありませんでしたが、経営者が「3年間は育てる」という意向のもとで、制作会社と改善に取り組ませることで育成しました。また、営業部門やアフターサポート部門のマネージャーに定例会に参加してもらい、ホームページでどのような改善をするべきか、意見を反映するようにしました。

 

チームを作る前は問い合わせが月に1件しか来ませんでしたが、改善を繰り返したことで3年後には約40件に増加しました。3年間で蓄積したノウハウをもとに、今では自社で戦略を立てて運営しています。

 

事例からもわかる通り、ホームページは24時間365日全世界の人に見てもらえるという受け身のスタンスから、ターゲットを絞り込んで生活習慣やライフスタイルに合わせて訴求する攻めのスタンスに移行しています。ホームページの可能性が劇的に広がる今この瞬間を、一人でも多くの経営者に感じ取ってもらえたら幸いです。
 

 

浜野 耕一

株式会社コウズ

代表取締役

 

※令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成

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