住宅ローン破綻…よくある原因、5つ
住宅ローン利用者の2~3%が「ローン破綻予備軍」といえる状況だということがわかりましたが、残りに破綻リスクがないのか、といえば、そうではありません。ローンを利用している人、すべての人が直面する可能性はあるものだといえます。
ローン破綻の理由① 収入減
コロナ禍では、度重なる行動制限などにより、大きく収入を減らした人、さらには職を失った人がいました。住宅金融支援機構によると、コールセンターへの相談件数が2020年3月に214件だったのが、翌4月には1,158件、5月には878件あったそうです。その多くが、ローン返済ができないとか、月々の返済額を下げてもらえないか、などの相談でした。収入減による破綻リスクは、住宅ローン利用者のほぼすべての人が抱えています。
ローン破綻の理由② 月々の住宅関連費の増大
マンションであれば、月々のローン返済のほか、管理費や修繕積立金を別途払っているでしょう。国土交通省『平成30年マンション総合調査』によると、修繕積立金の平均は1万2,268円。ただマンションのなかには修繕計画の見通しが甘かったり、築年数が古くなったりなどのタイミングで、修繕積立金が値上がりとなることが珍しくありません。住宅ローンの返済は見通しが立てやすくても、ランニングコストについては状況によって上下することがあるので、注意が必要です。
ローン破綻の理由③ ペアローン
最近はペアローンを利用してマイホームを購入するケースが増えています。それぞれが、それぞれの収入によってローンを利用することができれば、より高額物件の購入がかなうでしょう。ただし、片方が働けなくなったり、収入が減ったりすると、途端、返済は難しくなります。夫婦共働きでも、片方の収入で返せるだけの月々の返済額が理想ではあります。
ローン破綻の理由④ フルローン
マンション購入の際には頭金を払うのが一般的ですが、最近は、フルローンの利用者が増加傾向。マンション購入者の2割程度にのぼるといわれています。フルローンであれば、物件の買い時を逃さない、手元資金を減らさずにいられるなどのメリットがありますが、総返済額の増加=月返済額の増加、売却を検討する際オーバーローンとなりやすい=思うように売却できない、などのリスクが伴います。フルローンを検討する際は、メリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解する必要があります。
ローン破綻の理由⑤ 老後でもローン返済
昨今、晩婚化などにより、マイホーム購入年齢が上がっています。前出の調査から考えると、繰り上げ返済をしなければ、ローン完済は70歳超え。その間、収入減となるタイミングがいくつか考えられます。
まず定年年齢を迎えたタイミング。60歳定年、その後は嘱託社員などで再雇用、といったパターンが多いですが、その際、収入は約3割ほど減少するとされています。さらに完全リタイアして年金生活になったときも、当然、収入は大幅ダウンとなるでしょう。年金だけの生活でローン返済、というのは、想像するだけでもかなりの大きな負担。最近、高齢者の住宅ローン破綻が増加傾向といわれていますが、このような背景が要因となっています。
平均的なマンション購入者であっても、住宅ローンを利用していれば、多かれ少なかれ、ローン破綻リスクを抱えている、というのは避けられない事実。せっかく手にしたマイホームを手放す事態にならぬよう、まずはローンを抱えていることのリスクを日ごろから意識することが重要です。