不動産投資に興味があっても、高額な自己資金が必要だからという理由で諦めている方もいるのではないでしょうか。不動産投資にはさまざまな種類がありますが、方法によっては少額から始められるものもあります。たとえば、現物不動産投資であれば1,000万円以上の費用が必要ですが、不動産小口化商品であれば100万円から、不動産クラウドファンディングであれば最低1万円から投資可能です。この記事では、不動産投資に必要な費用と注意点を解説します。
不動産投資はいくらから必要?費用や注意するポイントを解説 (※画像はイメージです/PIXTA)
1. 不動産投資にかかる費用
1.1. 不動産小口化商品|複数人で1つの不動産を保有
1.2. 不動産クラウドファンディング|不動産投資会社発案のプロジェクトに出資
1.3. REIT(不動産投資信託)|預かったお金を賃貸不動産に投資して運用する
1.4. マンションのワンルームに投資
1.5. 一棟投資|アパートとマンション
1.6. 戸建て物件を購入
2. 不動産投資の初期費用
2.1. 不動産仲介手数料|売買契約が成立したあとに支払う
2.2. 不動産投資ローンの事務手数料と保証料
2.3. 印紙代|契約金額に応じて金額が変わる
2.4. 火災保険料|金融機関で担保を保証するために支払う義務がある
2.5. 納付する税金
2.6. 司法書士報酬|所有権移転登記や抵当権設定登記には専門的な知識が必要
3. 不動産投資における自己資金と運用時の注意点
3.1. 準備すべき自己資金は物件価格の15~30%
3.2. 自己資金別、購入可能物件の金額の目安
3.3. 所得形態別で注意するポイント|不動産投資ローン
3.4. 自己資金なしで不動産投資をする方法
3.5. フルローンで不動産投資をする際の注意事項
4. 不動産投資の費用を抑える方法
4.1. 不動産投資ローンを利用
4.2. 頭金を減額
4.3. 資産価値が高い不動産を選択
4.4. 個人属性の高さを利用
4.5. 物件取得時にかかる初期費用を節約
4.6. 少額でできるタイプの不動産投資を選択
5. まとめ

1. 不動産投資にかかる費用

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産投資にはさまざまな種類があり、必要な費用もそれぞれで異なります。ここでは、不動産投資の種類と費用について解説します。

 

1.1. 不動産小口化商品|複数人で1つの不動産を保有

不動産小口化商品は、複数人が1つの物件に共同出資して、物件から得られる家賃収入を分け合う仕組みです。

 

投資対象は開発用地やオフィスビルなど、さまざまなものがあります。そのほとんどが、個人で購入するには高額な物件です。これを小口化することで、1口100万円の少額から投資できます。

 

物件の選定や購入、管理などは国から許可を得た事業者が担っています。そのため、不動産小口化商品を提供している事業者には、一定の安全性が担保されているといえます。

 

少額から始められるため、初心者が低リスクで不動産投資をする手段として最適です。

 

1.2. 不動産クラウドファンディング|不動産投資会社発案のプロジェクトに出資

不動産クラウドファンディングは、インターネットを通じてプロジェクトに出資をする投資の手段です。プロジェクトは不動産投資会社が発案したもので、不特定多数の人が出資をします。

 

メリットには、次のようなものがあります。

 

  • 多くの商品が1万円から投資可能
  • 投資対象の絞り込み作業が不要
  • 運用資金調達目的の事業計画提出や、融資審査を受ける作業が不要

 

デメリットには、次のようなものがあります。

 

  • 現物不動産投資と比較すると利回りが低い
  • 不動産相場が急激に暴落した際、元本割れのリスクがある

 

1.3. REIT(不動産投資信託)|預かったお金を賃貸不動産に投資して運用する

REIT(不動産投資信託)は、投資家から集めた資金で不動産を投資・運用し、家賃などの収益が投資家に分配される商品のことです。

 

メリットには、次のようなものがあります。

 

  • 5万円から投資可能で、融資を受ける必要がない
  • 信託なので、売却したいときにできる

 

デメリットには、次のようなものがあります。

 

  • 運用状況が悪くなった場合、REITの価格は大幅に下落する

 

購入方法は、下記の3通りです。

 

  • 個別REIT:証券取引所に上場している信託を購入する
  • REITファンド:複数のREITに分散して投資する手段
  • REIT ETF:REITの値動きをまとめてつくられた指数と、同様の値動きをするようにつくられた上場投資信託

 

1.4. マンションのワンルームに投資

ワンルーム投資は、マンションの1部屋を購入して、貸し出した際の家賃収入を得る手段です。

 

新築マンションのワンルームは、ほとんどの場合で1,000万円以上の費用がかかります。一方で、中古マンションのワンルームは500万円程度で購入でき、比較的安価です。

 

マンションのワンルームに投資する際、多くの場合、年収の7倍程度の融資を受けられます。用意できる自己資金が増えると、融資額が上がる可能性もあります。

 

ただし、購入予定の物件や融資を受ける金融機関や職業によって、条件が異なります。そのため、あくまでも目安としてお考えください。

 

1.5. 一棟投資|アパートとマンション

一棟投資は、一棟全体を購入して、入居者を募って家賃収入を得る手段です。

 

一棟投資の場合、自己資金を多く用意すると有利です。アパートであれば2,000万円程度から、マンションであれば5,000万円程度から購入できます。頭金は、2割程度用意する必要があります。

 

購入金額が高額になる分、収益として得られる金額も高額であることがメリットです。デメリットは、融資の審査が通りにくい点です。

 

融資が通りやすくなる条件は、以下の通りです。

 

  • 年収が700万円以上あり、将来的にも安定してその収入が見込める
  • 自己資金が頭金以上にある

 

1.6. 戸建て物件を購入

一軒家を購入して、他人に貸し出す手段です。貸し出した際の家賃収入を利益として得られます。

 

購入対象の物件の価格帯は多くの場合、1,000万〜5,000万円です。都心に近い所だと、1億円を超える物件もあります。

 

土地ごと建物を購入できることがメリットです。しかしその分、価格や固定資産税が増えます。

 

利用対象がファミリーのため、賃貸希望する層が限定されてしまうというデメリットがあります。

2. 不動産投資の初期費用

(※画像はイメージです/PIXTA)
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不動産クラウドファンディングやREIT、不動産小口化商品以外の不動産投資にはさまざまな初期費用がかかります。初期費用は大きく分けて2種類あります。

 

  • 節約可能な項目
  • 税金や印紙代などの固定された項目

 

支払うタイミングもさまざまです。ここでは、現物の不動産投資に必要な初期費用と支払いのタイミングについて解説します。

 

2.1. 不動産仲介手数料|売買契約が成立したあとに支払う

不動産仲介手数料は、物件を購入した際に仲介した不動産会社に支払う費用です。売買契約が成立したあとに支払う必要があります。

 

400万円を超える物件は「売買価格×3%+6万円+消費税」で上限額の算出が可能です。あくまで上限額であり、実際の請求額は異なる場合があります。また、中古マンションであれば、割安になったり無料になったりするケースもあります。

 

不動産会社に仲介してもらって購入する際は、かかる費用を確認しておきましょう。

 

2.2. 不動産投資ローンの事務手数料と保証料

不動産投資ローンを組む際、金融機関に支払う事務手数料や保証料がかかります。

 

事務手数料の計算方法には「定額制」と「定率制」の2種類があります。相場は、下記の通りです。

 

  • 定額制:3万円程度
  • 定率制:借入金額の1〜3%程度

 

不動産投資ローンは高額のため、保証会社を連帯保証人とするケースが多いです。その際、保証料が発生します。保証料は「一括前払い型」と「金利上乗せ型」の2種類です。

 

  • 一括前払い型:融資総額の2%
  • 金利上乗せ型:融資総額の0.2〜0.3%

 

事務手数料と保証料が無料である金融機関も存在します。初期費用を節約したい場合は活用できます。

 

2.3. 印紙代|契約金額に応じて金額が変わる

物件を購入する際、下記の課税文書を作成する必要があります。

 

  • 不動産売買契約書:物件の売買契約を締結する文書
  • 金銭消費賃借契約書:不動産投資ローンの借り入れで必要な文書

 

これらの文書には、契約金額に応じた印紙を貼って消印を押す必要があります。印紙税額は年度によって変わる可能性があるため、国税庁の公式情報を参照してください。

 

2.4. 火災保険料|金融機関で担保を保証するために支払う義務がある

金融機関では、不動産投資ローンを組む際に火災保険への加入を義務づけています。その理由は、担保を保証するためです。

 

火災保険料は、物件の構造によって金額が異なります。木造物件は耐火性が低いため、鉄筋コンクリート造の物件よりも3倍ほどの火災保険料がかかってきます。

 

火災保険料は、契約時の物件の評価をもとにして算出されます。評価の基準となるものが、以下のいずれか2点です。

 

  • 再調達価額:物件を再建築する際にかかる費用
  • 時価額:再調達価額から物件の経年劣化と消耗分を差し引いた費用

 

2.5. 納付する税金

物件を購入する際には、下記の税金がかかってきます。

 

  • 登録免許税:登記を進める際に納める税金
  • 固定資産税:土地や家屋に課せられる税金。課税標準額に1.4%をかけて算出。納付期限や通知書が届くタイミングは自治体によって異なる。
  • 都市計画税:市街区内に家屋を所有している人に課せられる税金。課税標準額に0.3%をかけて算出。納付期限や通知書が届くタイミングは自治体によって異なる
  • 不動産取得税:地方税の一種。課税標準額に税率をかけて算出。物件の取得後3〜6ヵ月経過してから納税通知書が届く

 

2.6. 司法書士報酬|所有権移転登記や抵当権設定登記には専門的な知識が必要

所有権移転登記や抵当権設定登記は、手続きに法務の知識を必要とします。自分で登記を進められますが、司法書士に依頼することが一般的です。

 

報酬設定は、事務所によって異なります。すべての登記を司法書士に依頼した場合、一般的に総額10万円〜15万円がかかります。

 

また、遠方の事務所に依頼すると別途出張費が発生することもあるため、近隣で報酬の安い事務所に依頼することをおすすめします。

3. 不動産投資における自己資金と運用時の注意点

(※画像はイメージです/PIXTA)
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自己資金は、頭金と初期費用に分けられます。頭金は、不動産の購入にかかる費用からローン借入額を除いた、自分で準備できる資金のことです。

 

ここでは、準備すべき自己資金の相場と、少ない自己資金でも不動産投資をする方法について解説します。

 

3.1. 準備すべき自己資金は物件価格の15~30%

準備すべき自己資金は、購入する物件価格の15〜30%が目安です。この自己資金は、ローンの頭金としてだけでなく、さまざまな初期費用にも充てられます。

 

頭金は物件価格の20%程度を用意しておくと、ローン審査に通りやすくなります。このとき、融資を受ける人の属性や物件の担保価値が高ければ、10%程度に抑えられます。

 

初期費用には各種手数料や税金などが含まれます。初期費用の目安は以下の通りです。

 

  • 新築物件:物件価格の4〜7%
  • 中古物件:物件価格の7〜10%

 

3.2. 自己資金別、購入可能物件の金額の目安

自己資金別の購入物件と、その金額の目安は下記の通りです。

 

  • 100万円:中古の格安区分マンション(300万円〜600万円)
  • 300万円:中古の区分マンション、中古の戸建賃貸(1,000万円〜2,000万円)
  • 500万円:新築の戸建賃貸、中古の格安一棟アパート(1,600万円〜3,300万円)
  • 1,000万円:新築の区分マンション、中古の一棟アパート、中古のマンション(3,300万円〜6,600万円)
  • 2,000万円:新築の一棟アパート、中古のマンション、中古の収益ビル(6,600万円〜1億3,000万円)

 

上記で紹介したものはあくまでも目安です。実際の金額は、物件の条件や金融機関によって異なります。

 

3.3. 所得形態別で注意するポイント|不動産投資ローン

費用全額を自己資金で賄えないときは、金融機関で不動産投資ローンを組む方法があります。

 

ただし、低所得者や自営業者の場合、不動産投資ローンの審査に通ることがサラリーマンよりも困難です。その理由は、審査において契約者に安定収入があることや、十分な金融資産を所有していることが重要視されるためです。

 

融資をする金融機関は、年収に対する返済率を計算します。年収が安定しなかったり、低かったりすると不利になります。

 

3.4. 自己資金なしで不動産投資をする方法

物件の価値や個人属性が高ければ、自己資金を用意せずにフルローンで不動産を購入できます。ただし、初期費用は自分で準備する必要があります。

 

3.5. フルローンで不動産投資をする際の注意事項

フルローンは、特に次の3点に注意しましょう。

 

  • 融資の審査が厳しい:物件の価値や高い個人属性が望まれる。
  • 毎月の返済金額が高くなる:借入金額が増える。元本に金利が上乗せされる。
  • 返済期間が長いと出口戦略が限られる:自分の資産になるまでに時間がかかり、転売できない。2棟目の獲得が遅くなる。

 

4. 不動産投資の費用を抑える方法

(※画像はイメージです/PIXTA)
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自己資金を抑えると、投資効率が高まります。自己資金を抑える方法は、次の6つです。

 

  • 不動産投資ローンを利用
  • 頭金を減額
  • 資産価値が高い不動産を選択
  • 個人属性の高さを利用
  • 物件取得時にかかる初期費用を節約
  • 少額でできるタイプの不動産投資を選択

 

ここでは、自己資金を抑える手段について解説します。

 

4.1. 不動産投資ローンを利用

融資を受けられる範囲で不動産投資ローンを利用することで、自己資金よりも大きな金額の不動産投資が可能です。

 

不動産投資において、ローンを利用することは一般的です。好条件の金融機関を紹介してくれる不動産会社もあるため、相談することをおすすめします。

 

費用を抑える必要がないほど自己資金があったとしても、ローンを利用するメリットがあります。金融機関の資金を利用することにより、レバレッジ効果を期待できます。

 

4.2. 頭金を減額

頭金を減額すると、費用を抑えられます。この手段は、自己資金に余裕がないときに選択しましょう。頭金はコントロールしやすい一方、少なすぎると融資を受けられない可能性があります。

 

また、金利が上乗せされるため、残債が多すぎる際は返済の負担が大きくなることも考えておく必要があります。

 

4.3. 資産価値が高い不動産を選択

資産価値が高い不動産の場合、フルローンを利用できたり、少ない自己資金でローンを組めたりします。

 

資産価値が高い不動産の基準は、下記の通りです。

 

  • 空室が起こりにくく、確かな収益性がある(安定した家賃収入が見込める)
  • 地価の値上がりが見込める(駅から近い、人気のエリアである、周辺環境の利便性がよい)
  • 高品質で長く住める(築年数が浅い、デザインや景観がよい、安全性が高い)

 

4.4. 個人属性の高さを利用

個人属性の高さを利用することも、自己資金を抑える手段です。個人属性が高いとは、下記の項目に当てはまっていることを指します。

 

  • 安定性が認められている職業に就いている
  • 年収は700万円以上(医師、弁護士、大手企業に勤務、安定した売上のある自営業)
  • 役職を持っていて、地位が高い
  • 既に資産を持っている

 

4.5. 物件取得時にかかる初期費用を節約

物件を取得する際にかかる初期費用を節約することで、自己資金を抑えられます。節約できる初期費用には、次のようなものがあります。

 

  • 不動産仲介手数料:売り主が不動産会社の物件を探して、直接取引する
  • 司法書士報酬:安い報酬で請け負ってくれる司法書士を探す
  • 不動産投資ローン:事務手数料と保証料が無料である金融機関を探す

 

4.6. 少額でできるタイプの不動産投資を選択

不動産投資には、次のような少額から始められるタイプのものがあります。

 

  • 不動産クラウドファンディング:1万円〜投資可能。不動産会社が企画するクラウドファンディングに出資する。
  • REIT(不動産投資信託):5万円〜投資可能。資金を代わりに運用してもらう。
  • 不動産小口化商品:100万円〜投資可能。複数人で1つの物件に共同出資する。

 

5. まとめ

(※画像はイメージです/PIXTA)
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この記事では、不動産投資にかかる費用と注意すべきポイントについて解説しました。

 

不動産投資にはさまざまな種類があり、かかる費用は不動産次第で大きく異なります。

 

そのなかでも、不動産小口化商品は少額から始めることができ、初心者にもおすすめです。選択肢の一つとしてご検討ください。