1. 新築マンションのクラウドファンディングを企画している会社と各社の特徴
新築マンションのクラウドファンディングを企画している会社を、ピックアップしてご紹介します。
新築マンション投資にかかる金額と、各社の特徴をまとめています。投資先を選ぶ際の参考にしてください。
1.1.『iRD(イルド)』
iRD(イルド)は、JRD株式会社が展開している不動産クラウドファンディングのサービスサイトです。JRD株式会社は不動産会社として25年間の実績があり、自社開発も手がけている実績豊富な会社です。
その運用ノウハウを生かし、97.8%の高い入居率を誇っています。
新築マンションの投資可能額 |
1口10万円〜 |
不動産の組合 |
匿名組合 |
利回り |
5% |
物件所在地 |
東京都 |
リスク対策 |
サブリース契約を締結した物件のみ募集・優先劣後構造を採用 |
特徴 |
設備と利便性がよい賃貸需要の高い物件を小口化 |
参考URL:「不動産クラウドファンディングiRD」
1.2.『CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤーオーナーズ)』
CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤーオーナーズ)は、国内最大級のクラウドファンディングサイトCAMPFIREを運営する会社の子会社にあたります。
新築マンションの投資可能額 |
1口1万円〜 |
不動産の組合 |
匿名組合 |
利回り |
3% |
物件所在地 |
日本全国 |
リスク対策 |
CAMPFIRE Ownersと借入人が債務不履行にならなければ出資金は守られる |
特徴 |
国内の物件だけでなく海外への事業も展開、農家支援や土地活用など多岐にわたるファンドがある |
参考URL:「CAMPFIRE Owners|融資型クラウドファンディング」
1.3.『property+(プロパティプラス)』
property+は、リビングコーポレーションが展開している不動産クラウドファンディングのサイトです。年間で約46,000戸の分譲戸建住宅を提供しており、その分野のシェアでは日本一の実績を誇ります。
新築マンションの投資可能額 |
1口1万円〜 |
不動産の組合 |
匿名組合 |
利回り |
3〜4% |
物件所在地 |
東京都・名古屋などの都市部 |
リスク対策 |
優先劣後構造を採用 |
特徴 |
・投資物件の多くが東京都を中心とした主要都市のもの ・全国で290棟を超える投資用デザインマンションの運用実績があり、すべて自社開発 ・特許を取得した、独自技術が用いられた高い設計効率を実現 |
参考URL:「不動産クラウドファンディング|property+」
1.4.『大家どっとこむ』
大家どっとこむは、株式会社グローベルスが企画する不動産クラウドファンディングのサイトです。
2020年にクラウドファンディングの事業を始め、日が浅い一方で、不動産会社として25年の実績があり、信頼性の高い会社といえます。
新築マンションの投資可能額 |
1口2万円〜 |
不動産の組合 |
匿名組合 |
利回り |
4〜7% |
物件所在地 |
神奈川県・東京都など |
リスク対策 |
優先劣後構造を採用 |
特徴 |
・投資物件の多くが関東一帯、築年数や物件に加え、運営会社についても情報が掲載 ・親会社の株主優待券を用いると、投資にかかった額の1%がキャッシュバック |
参考URL:「大家ドットコム」
1.5.『creal(クリアル)』
crealは、クリアル株式会社が運営する不動産クラウドファンディングのサイトです。
新築マンションの投資可能額 |
1口2万円〜 |
不動産の組合 |
匿名組合 |
利回り |
3〜8% |
物件所在地 |
神奈川県・東京都など |
リスク対策 |
優先劣後構造を採用 |
特徴 |
・投資物件は東京都が中心、無料セミナーを開催 ・5億円以上の大型物件も扱っている |
参考URL:「不動産クラウドファンディングcreal」
2. 不動産クラウドファンディングの概要
不動産クラウドファンディングは、事業者がインターネットを通じて多数の投資家から資金を集め、その資金によって不動産を購入し、運用を通して得られた運用益や売買差益を投資家に分配する仕組みです。
不動産購入に必要な手続きや入居者の募集などの運用業務は運営会社が行ってくれます。その点で、不動産投資初心者向けとなっています。
以前は、不動産を所有する直接投資のみ認められていました。しかし、投資家の資金運用が高度化したことで不動産の金融商品化が進みました。
さらに、2017年には不動産クラウドファンディングを可能とする法律改正が行われ、各社が運営を始めたという背景があります。
ここでは、不動産クラウドファンディングの概要を解説します。
2.1. 必要な資金
不動産クラウドファンディングは少ない資金での投資が可能です。なかには、1万円から投資できるものもあります。
最低投資額の価格帯は1口1万円から100万円程度で、内容によって変わります。利回りや運用期間、物件情報などを分析したうえで投資額を決定することをおすすめします。
クラウドファンディングの申込みには、各サイトの登録が必要です。登録にかかる費用は無料です。
2.2. 募集方式
募集方式には下記の2種類があります。
- 先着式:募集金額の上限に達するまで投資者を先着順に受け付ける方式
- 抽選式:募集期間終了後、抽選を実施する方式
先着式の場合、募集金額の上限にすぐに達してしまうことがあります。そのため、気になるサイトは小まめチェックすることをおすすめします。
抽選式の場合、申し込んだとしても抽選で外れてしまうことや、募集金額を上回ると一部の口数しか当選しないことがあります。
2.3. 案件の規模|募集金額が大きいほど参加しやすい
募集金額の多さのことを指すものが、案件の規模です。案件の規模が大きい(募集金額が大きい)ほど参加が容易です。
一般的に、募集金額が1億円を超える案件は、規模が大きいといえます。規模の大きい分、募集期間も長く、投資機会に恵まれることがメリットです。
一方で、金額が大きいほど一口あたりの最低金額も大きくなる傾向が高いため、購入できる人が限られてきます。運用をスタートした際に想定よりも購入者が少ないと、元本割れのリスクが高まります。
2.4. 案件タイプ
案件タイプは下記の2種類があります。
- 貸付型(ソーシャルレンディング):集めた資金を使い、融資を受けたい企業に対し不動産等を担保として融資します。価格変動がなく、一定の利回りで分配金を受け取れることがメリットです。一方で、計算した以上の額にはなりません。
- エクイティ型:集めた資金を使い、特別目的会社を経由して不動産信託受益権や出資持分などを取得します。購入時よりも高い金額で売れるとその分だけ分配金が増えるというメリットがあります。一方で、物件価格が下落した場合に分配金が減る可能性があります。
2.5. 不動産の組合
契約方法には2種類の組合があります。
- 匿名組合型:出資者は分配金を受け取る権利だけを持ち、所有権は事業者が保有します。登記費用がかかりません。
- 任意組合型:組合員である投資家が事業者に業務執行を委任し、業務執行組合員として事業者が運営します。現物不動産への投資と同様の扱いであり、相続税や贈与税対策として活用可能です。
税金の計算において、どちらの契約方法だとしても手取金を申告します。雑所得の扱いであり、利益が20万円を超えると確定申告が必要です。
新築マンションのクラウドファンディングでは、匿名組合型が多い傾向です。
2.6. 2種類の運用タイプ
クラウドファンディングで得た資金の運用タイプは下記の2種類があります。運営サイトは片方、もしくは両方で利益を生み出し、出資者に分配します。
- キャピタルゲイン型:取得不動産の売却益のことです。不動産が購入価格より高値で売れたときの売却益が、分配金として分配されます。売却価格が想定よりも高いかどうかが、分配金に影響が出ます。
- インカムゲイン型:賃貸料収入のことです。
両方が分配金として設定されている際は、その割合が記載されています。事前に確認しておくことをおすすめします。
2.7. 運用期間|投資は満期まで解約不可
不動産クラウドファンディングは、運用期間が設定されています。多くのサイトにおいて投資後は満期まで解約できません。
運用期間は3ヵ月から3年以上と幅が広いため、目的に応じて使い分けることをおすすめします。運用期間の長さによる傾向は、以下の通りです。
- 短期:すぐに利益を回収できる。リターン金額は低め
- 長期:長期間資金を回収できない。リターン金額は高め
2.8. リスクヘッジに対する取り組み
不動産クラウドファンディングには、出資者のリスクを減らすための仕組みがあります。
リスクヘッジに取り組んでいるかどうかは、クラウドファンディングを企画している会社によって異なります。投資案件を決める際に参考にしてください。
2.8.1. 優先劣後構造|物件を売却するときに関わる
優先劣後構造は、損失が出た際に、運営会社の出資金(劣後出資者)から補填する方法です。そのため、投資家(優先出資者)の損失リスクは低くなります。損失が出るときは、物件評価が下落したときや、売却額が購入額よりも低かったときなどです。
また、ファンドによって補填する割合が5〜30%と変わります。30%に近いほうがリスクが少ないといえます。
2.8.2. マスターリース契約|運用物件の空室リスク対策
マスターリース契約とは、不動産クラウドファンディング企画会社が不動産会社と結ぶ不動産賃貸借契約を指します。
運営に関する実際の業務は不動産会社が行うため、企画会社は収益を確実に受け取れます。結果、空室が起きたとしても収益が得られ、損失が起こりません。
契約方法には、下記の2種類があります。
- 空室保証型:不動産の空室状況に関わらず、一定の賃料が得られる
- 実績連動型:入居者数に応じて支払われる額が決定する
2.8.3. 信託銀行を使った分別管理
信託銀行での分別管理を採用している不動産会社は、投資家から預かった未投資資金を信託銀行に預け、管理を任せます。
信託銀行に管理を任せることによるメリットは下記です。
- 不動産会社が持つ資金と投資家の未投資資金を明確に分けられる
- 第三者がチェックしており、必要時のみ引き出せる
- 不動産クラウドファンディングの会社が倒産しても差し押さえの対象外となる
- 倒産があった場合、資産の返還が行われる
3. クラウドファンディングを用いて新築マンションに投資するメリットとデメリット
不動産クラウドファンディングを用いた新築マンション投資は、取得価格や利回りなどに、中古マンション投資と異なる点があります。ここでは、新築マンション投資のメリットとデメリットを解説します。
3.1. 新築マンション投資のメリット
新築マンション投資の主なメリットは、下記の3点です。
- 高い入居率
- 売却が容易
- 急な修繕費が不要
詳細について解説します。
3.1.1. 高い入居率
新築マンションは仕様や設備が新しく、外観や室内がきれいで内見者によい印象を与えます。さらに、駅や商業施設付近に建設されることが多く、利便性や居住性の高さから賃貸需要を見込めます。
また、入居している人がいないため、購入前に内覧することも可能です。そのため、多くの人が入居を希望します。
3.1.2. 売却が容易
新築マンションは竣工して1年以内でかつ、居住者のいない物件を指します。5年、10年経過したとしても、まだまだ築浅物件です。建物や設備の状態もよいため、売却が容易です。
3.1.3. 急な修繕費が不要
中古マンションとは異なり設備が新しいため、修繕やメンテナンス費用がすぐに発生することはほとんどありません。発生したとしても安価になる傾向があります。そのため、資金計画が立てやすいこともメリットです。
また、中古マンションの場合、購入後に修繕が必要だと判明することがあります。しかし、新築であればそのような心配がありません。
3.2. 新築マンション投資のデメリット
新築マンション投資の主なデメリットは、下記の2点です。
- 購入後、資産価値が大きく下がる
- 賃貸需要の予測がしづらい
詳細について解説します。
3.2.1. 購入後に資産価値が大きく低下
クラウドファンディングを通じて会社が登記をした時点で、築年数が浅かったとしても売りに出す際には中古物件として扱われます。売却価格が予想よりも下落した際は、買い手が見つかりにくいというリスクがあります。
築年数20年程度まで、資産価値が下落し続けることもデメリットです。そのため、家賃収入は徐々に下がります。ファンドの運用期間を事前に確認しておきましょう。
3.2.2. 賃貸需要の予測が困難
過去の運用実績がないため、賃貸需要の予測を立てられないことがデメリットです。そのため、長期的な収支シミュレーションを行う際には、周辺環境や他の新築マンションの状況から予測する必要があります。
4. まとめ
本記事では、新築マンションのクラウドファンディングを企画している企業の特徴をまとめました。
新築マンションのクラウドファンディングは、1口1万円〜10万円と少額から投資可能な点がメリットです。その点で、不動産初心者の方向けの投資といえます。
不動産投資に興味のある方は、ぜひ取り組んでみてください。