一般の会社員まで購入層が拡大しているタワーマンション。堅実な返済プランで、年金生活に入る前にローンも完済。悠々自適なタワマン生活が待っていると思いきや、想定外の事態に陥るケースも。みていきましょう。
年収800万円「幸せ家族が叶えたタワマン生活」だったが…定年後に直面する「悲惨な年金生活」

タワマンならではの豪華な共用部が、老後負担に拍車をかける

年収800万円であれば、月にもらえる年金は20万円程度。仮に会社員の夫と専業主婦の妻という夫婦であれば、月に26万円程度手にすることになります。

 

老後、最低限の生活費は22万円、余裕ある暮らしをするなら36万円が必要といわれているので、少しだけ余裕のある暮らしがかなう水準だといえます。とはいえ、何かあるか分からない老後。できるだけ無駄な支出は避けたいところです。

 

そんな老後生活。タワマンならではの出費を考えておく必要があります。まずは維持費。前出のとおり、タワマンの魅力である共用施設。ただその分、管理費が高くなります。1平米当たりの管理費は300円ほどといわれていますので、80平米程度のファミリータイプであれば、月2万4,000円の出費となります。

 

さらに修繕積立金。こちらは1平米あたり170円ほどといわれているので、同じく80平米であれば1万3,600円ほどになります。つまり、ローンを払い終えていても、月4万円の住宅関連費を考えておく必要があります。

 

また月々の積立金で来たる大規模修繕に備えることになりますが、予算内で修繕が行えないタワマンが増加しています。特に1回目の修繕は予算内で行えても、2回目の修繕では予算内で行えず、管理不全のままのタワマンが増えているのです。

 

これはタワマンの歴史が浅く、また修繕の手法が確立されていないため。そのため通常のマンションより修繕費は割高で、しかも2回目以降の修繕に関しては予測がはずれ、想定外の修繕が発生。結果、予算オーバーになるというわけです。

 

そうなると積立金とは別途、修繕費の徴収があるかもしれませんし、修繕が叶わなければ、外観は良くても内部はボロが目立つ……そんなタワマンで住み続けることになってしまうわけです。

 

現役時代に夢のタワマン生活を叶えた会社員ファミリー。堅実な生活を送り、年金生活に突入する前にローンを完済しても、通常以上の負担を覚悟せねばなりません。さらに長期を見据えた管理・修繕プランのないタワマンは多く、せっかくの設備が台無しというケースも考えられます。

 

老後はタワマンで優雅に……そのようなことも思い描くのであれば「タワマンならどこでも」という発想はNG。ローン完済後の負担や細かな管理体制まで目を光らせる必要があります。