本記事では、ニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫氏が、2021年11月のツイートをもとに基礎的な投稿状況やツイートに含まれるリンクに関する分析などを行い、「年金」を含むツイートが何を契機に投稿されているかを考察します。
就職氷河期世代と74歳現役社会を取り上げた記事が話題に…「年金」を含むツイートの基礎的な分析(2021年11月) (写真はイメージです/PIXTA)

投稿日とリンク先Webサイト区分ごとの傾向や特徴…Webサイトの宣伝はニュースに反応せず

 

次に、これまでに判明した傾向のうち、2.少数の投稿者のみが数回以上参照しているリンクを含むツイートは投稿日別のツイート数等がほぼ一定水準で推移し、あるWebサイトを宣伝・周知する目的で投稿されている可能性が高い、という傾向が普遍的か否かを確認するために、投稿日とリンク先Webサイト(ドメイン)の区分の組み合わせごとの傾向や特徴を見たのが[図表4]である。

 

[図表4]投稿日×リンク先Webサイト区分ごとの傾向や特徴
[図表4]投稿日×リンク先Webサイト区分ごとの傾向や特徴

 

ツイート数や投稿者数を見ると、「c:新聞等あり」は図表2の「c:Web年金あり」と同様に11月4日に多かった一方で、「d:新聞等なし」や「e:少数者多投稿」は概ね一定の水準で推移している。この結果から、前述した2.の傾向は、今月も概ね当てはまっていると考えられる。
※ 「e:少数者多投稿」のツイート数は11月25日に大きく減少したが、その後はほぼ同じ水準で推移している。

 

投稿日といいね数・リツイート数区分ごとの傾向や特徴…ごく少数のツイートが全数を左右

 

前述した3.いいね数やリツイート数が多い少数のツイートがいいね数全体とリツイート数全体の大部分を占めるかを確認するために、投稿日と各ツイートのいいね数やリツイート数の区分を組み合わせて傾向や特徴を見たのが、[図表5]である。

 

[図表5]投稿日×いいね数とリツイート数の区分(それぞれの上位パーセンタイル)ごとの傾向や特徴
[図表5]投稿日×いいね数とリツイート数の区分(それぞれの上位パーセンタイル)ごとの傾向や特徴

 

[図表5]の左上段と右上段を見ると、前述したとおり、[図表2]で年金に関するページの参照が少なかった11月8日にいいね数とリツイート数が特に多く、それぞれの月間の上位0.1%以上に該当するツイートのいいね数やリツイート数がいいね数やリツイート数の大半を占めている。

 

[図表5]の左下段と右下段(ともに対数軸)を見ると、それぞれの上位0.1%以上に該当するツイートは各日とも概ね数件(10の0乗=1件と10の1乗=10件の間)であり、いいね数やリツイート数が多い11月8日に上位0.1%以上に該当するツイートが多いわけでもない。

 

これらの状況から、3.いいね数やリツイート数が多い少数のツイートがいいね数全体とリツイート数全体の大部分を占めるという傾向は、今月も概ね当てはまっていると考えられる。

 

なお、分析対象のツイートの中でいいね数とリツイート数が最も多かったのは、ともに、11月8日に投稿されたマイナンバーカードの活用方法に関するツイートで、この1件のツイートだけで分析データ(約13万ツイート)の総いいね数(約72万件)の約9%、総リツイート数(約17万件)の約10%を占めていた。

 

このツイートの中では、死亡届を出したらマイナンバーカードから死亡情報が伝わり自動的に契約を終了にして欲しい、という対象の1つに「年金」が入っていた。

 

年金に特化した内容でいいね数やリツイート数が最も多かったのは、11月14日に投稿された年金関連業務の委託に関するツイートだった
※ このツイートに付されている動画には、エアメール風の封筒と年金手帳に見える冊子(「年金手帳」や「社会保険庁」と印字してある青色の冊子)とが並んでいる机の様子が映っている。なお、社会保険庁は2009年末に廃止されている。

 

また11月4日には、本章第2節で紹介した論考記事(厚生労働省が2020年10月から開始した『就職氷河期世代活躍支援プラン』と2020年12月に厚生労働省が公表した平均年金額と2018年9月に経済産業省が産業構造審議会で提示した資料を参照したもの)へのリンクを付したコメントの投稿が、同日の中では多めのいいね数とリツイート数を得ていた。

 

[図表6]いいね数かリツイート数が上位20件に入ったツイート
[図表6]いいね数かリツイート数が上位20件に入ったツイート