老後のための貯蓄や投資に1年間で拠出している金額
次に、[図表3]は、「あなたは、老後準備のための貯蓄や投資に、現在1年間で何万円程度拠出していますか。(ご結婚されている方はご夫婦での総額をお答え下さい)」という質問への回答の分布を有配偶者/独身者別及び年齢層別に示したものである。
有配偶者全体の平均値は150万円で、中央値は50万円、最小値は0円で、最大値は1億2000万円であった。独身者全体の平均値は108万円で、中央値は16万円、最小値は0円で最大値は5000万円であった※。
※ 図表3に示した分布や平均値は、調査の回答のすべてを使い、こうした最小値や最大値を除外しないで計算したものである。参考に、上位下位各5%の回答を除外した場合の平均値(5%トリム平均)は、有配偶者全体で74万円(n=1307)、独身者全体で47万円(n=1036)である。
年齢層別の分布を見ると、有配偶者、独身者ともに、どの年齢層でも「10万円未満」の金額と回答した人の割合が最も大きい。中でも0円と回答した人の割合は、有配偶者全体の約19%、独身者全体の約21%であった。
年齢層ごとの違いを見ると、老後準備意識の高まりからか、50代で10万円以上拠出している人の割合が少し大きい傾向が見られる。
おわりに
本稿では、老後までに準備が必要と考える金額と、老後のための貯蓄や投資に1年間で拠出すべきと考える金額、そして、老後のための貯蓄や投資に現在拠出している金額について、ニッセイ基礎研究所が実施した独自の調査を用いて確認した結果を紹介した。
そして、老後までに準備が必要と考える金額は2000万円程度、老後のための貯蓄や投資に1年間で拠出する必要がある金額は100万円程度と考えている人が多いことが確認された。
一方、実際の老後のための貯蓄や投資への年間拠出額の中央値は、有配偶者で50万円、独身者で16万円であり、必要であると考える年間拠出額の中央値である100万円を下回った。
老後のための貯蓄や投資に必要と考える金額を実際に拠出できない理由としては、主に経済的な理由が考えられるが、その他にも、老後準備がついつい後回しにされてしまう傾向などの要因が考えられるかもしれない。こうした要因が今後検証されていくことで、人々がより安心して暮らすことができる社会の構築につながっていくことが期待される※。
※ 本稿の本文で示した、老後のために準備する必要があると考える金額、老後のための貯蓄や投資に1年間で拠出する必要があると考える金額、老後のための貯蓄や投資に現在拠出している金額の平均値は、最大値として記載したような大きな値の回答についてもサンプルからの除外等は行わずに、回答をそのまま集計した結果を掲載している。(注釈には参考として、上位下位各5%を除外したトリム平均を掲載。)
これらの回答の分布は、左に傾いた分布であるため、これらの平均値は、中央値より大きい数値になっていることに、注意が必要である。
また、本調査は日本の住民全体からランダムサンプリングによって選ばれた人々を対象に行ったわけではなく、マイボイスコム株式会社のモニター会員を対象に実施したWeb調査であり、日本の住民全体の傾向とは異なる可能性がある点に注意が必要である。
岩﨑 敬子
ニッセイ基礎研究所