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低年金、さらに貯蓄もゼロ…貧困に陥る高齢者
20歳から60歳までのすべての日本国民が加入する国民年金。会社員や公務員が入る厚生年金。自営業であれば国民年金(老齢基礎年金)だけが支払われ、会社員や公務員であれば国民年金に上乗せする形で厚生年金(老齢厚生年金)が支払われます。
国民年金は40年間、満額の保険料を払っていれば、1年で受け取れる年金額は2021年度で78万0,900円。仮に保険料の支払期間が30年(360ヵ月)であれば年金額は4分の3に、20年であれば2分の1になります。一方、厚生年金の場合は国民年金とは異なり、給与や賞与によって将来受け取れる年金額は変わります。
厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の平均年金受給額は月額5万6,358円、厚生年金の平均受給額は月額14万6,145円でした。
受取金額の分布をみていくと、国民年金は「6万~7万未満」が44.6%、「5万~6万未満」と合わせると7割近くになります。一方で約4%、数にして130万人近くの人が「3万円未満」です。厚生年金では、「15万円以上」が46%。「10万円以上」を加えると、約8割に達します。一方で2.6%、数にして40万人近くが「5万円未満」です。
この年金だけで生活できるかどうかはライフスタイルによりますが、もし足りない場合は、多くが貯蓄を取り崩すことになります。いまや「老後生活するには年金だけでは足りないから自助努力が必要」というのが国の正式なスタンスで、計画的な資産形成が必須といわれています。
しかし、すべての人が思うように貯蓄を進められるかといえばそうではないでしょう。低収入で、その時その時の生活で必死、という人もいます。年金生活がスタートするまで貯蓄ゼロというのも決して珍しいはなしではありません。
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査2021年』(2人以上世帯)によると、将来のための貯蓄がまったくないという世帯が全体の2.5%*。このコロナ禍による影響でしょうか、前年から1ポイント、増加しています。
*定期性預金、普通預金等の区分にかかわらず、運用のためまたは将来に備 えて蓄えている部分(金融資産)に、預貯金で日常的な出入れ・引落しに備えている部分を加えたもの(金融商品)を保有していないと回答した世帯