いまや国民病といわれる「花粉症」。今年は特にスギ花粉の飛散量が多いといわれ、毎日苦しい思いをしている人も多いことでしょう。そんな花粉症で悩む患者について、都道府県別にみていきます。
都道府県「花粉症」ランキング…花粉が少ないといわれる「北海道」の意外な順位

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花粉症…日本人の6人に1人が苦しんでいる

コロナ禍で、多くがマスクをして生活をしているので、少々実感のわかないところもありますが、いままさに花粉症のシーズン。辛い毎日を過ごしている人が多くいます。

 

どれくらいの人が悩んでいるのか、はっきりとしたデータはありませんが、日本アレルギー協会会長の奥田稔氏が行った疫学調査では、全国平均で15.6%、有病率は東北13.7%、北関東21.0%、南関東23.6%、東海28.7%、北陸17.4%、甲信越19.1%、近畿17.4%、四国16.9%、中国16.4%、九州12.8%(厚生労働省ホームページより)。

 

同調査では北海道や沖縄はごくわずかだったということから、スギ花粉による花粉症の調査だったと考えられますが、花粉症を引き起こすのは、樹木ではスギやヒノキの他にシラカンバ、ハンノキ、ケヤキ、コナラ、ブナ、オオバヤシャブシ、草本ではカモガヤなどのイネ科によるもの、ブタクサ、ヨモギなどキク科によるものなど、多彩です。

 

スギ、ヒノキなどの樹木では春が中心ですが、イネ科の場合は初夏に、キク科の場合は真夏から秋口に飛散をはじめるので、ひどい人は「年中、花粉症で悩んでいる」という人もいます。

 

特にスギ花粉がクローズアップされますが、なぜここまで患者が増えたのかというと、戦後の住宅需要に応えるために、大量の木が伐採され、それと同時に大規模な植林が進められました。このとき、採算性の観点からスギやヒノキが選ばれたというわけです。

 

1960年代に大量に植林されたスギが最終的に伐採されずに現存し、一斉に開花適齢期を迎えているというのです。さらに昨今の地球の温暖化で花粉の飛散量も増加しています。

 

あの時代、たとえば地域性を考慮して植林する木が選ばれていたら……ここまで日本国民が花粉症に悩まずにすむ世の中になっていたかもしれません。

 

花粉症に関してはさまざまな治療法や生活の工夫がいわれています。花粉症用のマスクでは花粉が約1/6、花粉症用のめがねでは1/4程度に減少することが分かっています。また悪化因子として、ストレスや生活の乱れがあるとか。何かと忙しい時期ではありますが、花粉症を悪化させないためにも、穏やかな毎日を過ごしたいものです。